最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
学際教育研究論文著作者事件
東京地裁令和3.6.11令和1(ワ)30491損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 佐々木亮
*裁判所サイト公表 2021.6.29
*キーワード:著作者の推定、許諾、論文
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■事案
論文の著作者性が争点となった事案
原告:研究者
被告:研究者
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法14条、63条1項、64条1項、65条2項
1 本件著作物の著作者が誰であるか
2 本件著作物に係る著作権の放棄並びに著作権法64条1項及び65条2項の合意
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告に対し,被告が別紙記載のタイトル(以下「本件タイトル」という。)の論文(以下「本件論文」という。)を作成したことが,原告及びC(以下「C」という。)が創作した共同著作物の著作権(複製権)を侵害し,本件論文をインターネット上において公開したことなどが上記共同著作物の著作者人格権(氏名表示権)を侵害すると主張して,不法行為に基づく損害賠償として,330万円(著作権侵害による損害額150万円,著作者人格権侵害による損害額150万円及び弁護士費用相当額30万円)及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達日の翌日)である令和元年12月19日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁)
<経緯>
H28.10 被告がACSETで研究概要を発表
H28.11 本件著作物作成
H28.11 被告が本件論文作成、IAFORへ送付
H28.12 本件論文がIAFORサイトに掲載
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■判決内容
<争点>
1 本件著作物の著作者が誰であるか
原告は、本件著作物は原告及びCが共同してこれを創作し、各人の寄与を分離して個別的に利用することができない共同著作物であり、本件著作物の著作者は原告及びCであるとして、被告は著作者ではない旨主張しました。
この点について、裁判所は、結論として、本件著作物は原告及びCの思想又は感情が創作的に表現されたものであると判断。本件著作物の著作者に関する著作権法14条による被告との推定は覆滅されると判断しています(8頁以下)。
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2 本件著作物に係る著作権の放棄並びに著作権法64条1項及び65条2項の合意
裁判所は、結論として、本件著作物の著作者である原告及びCは、被告に対して被告が本件著作物を複製することを許諾し、当該複製物の公衆への提示に際して原告の氏名を著作者名として表示しないことを合意したと認めるのが相当であると判断しています(65条2項、63条1項、64条1項)(11頁以下)。
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■コメント
被告代理人に桑野雄一郎先生が付いておいでです。原告と被告は婚姻関係にあったものの、論文公表後に関係悪化ということで、なんと申し上げればよいのやら、といった事案です。
学際教育研究論文著作者事件
東京地裁令和3.6.11令和1(ワ)30491損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 佐々木亮
*裁判所サイト公表 2021.6.29
*キーワード:著作者の推定、許諾、論文
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■事案
論文の著作者性が争点となった事案
原告:研究者
被告:研究者
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法14条、63条1項、64条1項、65条2項
1 本件著作物の著作者が誰であるか
2 本件著作物に係る著作権の放棄並びに著作権法64条1項及び65条2項の合意
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告に対し,被告が別紙記載のタイトル(以下「本件タイトル」という。)の論文(以下「本件論文」という。)を作成したことが,原告及びC(以下「C」という。)が創作した共同著作物の著作権(複製権)を侵害し,本件論文をインターネット上において公開したことなどが上記共同著作物の著作者人格権(氏名表示権)を侵害すると主張して,不法行為に基づく損害賠償として,330万円(著作権侵害による損害額150万円,著作者人格権侵害による損害額150万円及び弁護士費用相当額30万円)及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送達日の翌日)である令和元年12月19日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁)
<経緯>
H28.10 被告がACSETで研究概要を発表
H28.11 本件著作物作成
H28.11 被告が本件論文作成、IAFORへ送付
H28.12 本件論文がIAFORサイトに掲載
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■判決内容
<争点>
1 本件著作物の著作者が誰であるか
原告は、本件著作物は原告及びCが共同してこれを創作し、各人の寄与を分離して個別的に利用することができない共同著作物であり、本件著作物の著作者は原告及びCであるとして、被告は著作者ではない旨主張しました。
この点について、裁判所は、結論として、本件著作物は原告及びCの思想又は感情が創作的に表現されたものであると判断。本件著作物の著作者に関する著作権法14条による被告との推定は覆滅されると判断しています(8頁以下)。
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2 本件著作物に係る著作権の放棄並びに著作権法64条1項及び65条2項の合意
裁判所は、結論として、本件著作物の著作者である原告及びCは、被告に対して被告が本件著作物を複製することを許諾し、当該複製物の公衆への提示に際して原告の氏名を著作者名として表示しないことを合意したと認めるのが相当であると判断しています(65条2項、63条1項、64条1項)(11頁以下)。
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■コメント
被告代理人に桑野雄一郎先生が付いておいでです。原告と被告は婚姻関係にあったものの、論文公表後に関係悪化ということで、なんと申し上げればよいのやら、といった事案です。