最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
会議運営ノウハウテキスト事件
東京地裁令和3.3.26平成31(ワ)4521著作権侵害行為差止等請求事件PDF
別紙2
別紙3
別紙5
別紙6
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 佐々木亮
*裁判所サイト公表 2021.6.8
*キーワード:著作物性、複製、翻案、キャッチコピー、営業秘密
--------------------
■事案
会議運営のノウハウテキストの複製権、翻案権侵害性などが争点となった事案
原告:経営コンサルティング会社、代表者A
被告:経営コンサルティング会社ら、代表者B
--------------------
■結論
請求棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、不正競争防止法2条6項
1 原告ワークブックに関する著作権侵害及び著作者人格権侵害の有無
2 原告キャッチコピーに関する著作権侵害の有無
3 本件各ノウハウに関する不正競争の成否
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告会社が,被告らに対し,著作権(複製権又は翻案権)侵害を理由として,原告Aが,被告らに対し,著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)侵害を理由として,原告会社が,被告ヴァンガード社及び被告サムライヴィジョン社(以下「被告会社ら」という。)に対し,著作権(翻案権)侵害を理由として,原告会社が,被告らに対し,不正競争防止法(以下「不競法」という。)違反を理由として,以下の請求をする事案である。』
(2頁以下)
<経緯>
H15 株式会社すごい会議設立
H17 原告Aが「すごい会議――短期間で会社が劇的に変わる!」刊行
H18 原告Aが記事寄稿
H19 原告Aらが「秘伝すごい会議」刊行
H23 原告Aらが「2011年度すごい計画作成キット ピーチパーリーマタドール版」(原告ワークブック)制作
H23 被告Bがすごい会議社とコーチング委託契約締結
H25 原告Aが「すごい会議ワークブック 2013」刊行
H26 原告Aが「すごい会議ワークブック 2014−15」刊行
H26 原告会社設立
H26 被告Bが被告ヴァンガード社設立
H30 被告サムライヴィジョン社が被告レジュメを侍会議で交付
すごい会議の手法:企業において行われていた従前の会議の方法を見直し、どういった手順で会議を進めるかを「型」(一定の決まった枠組み)にして指導するというもの
原告キャッチコピー:「会議が変わる。会社が変わる。」
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■判決内容
<争点>
1 原告ワークブックに関する著作権侵害及び著作者人格権侵害の有無
主に言語で記述された原告ワークブックと被告レジュメの同一性を有する部分について、裁判所は、複製や翻案の意義に言及したうえで表現上の創作性が認められるか否かを判断。
結論としては、著作権侵害及び著作者人格権侵害の成立を否定しています(32頁以下)。
(1)個別の記述部分について
いずれも、アイデアやありふれた表現であって、表現それ自体ではないか又は表現上の創作性がないものであって、被告記述部分からそれらに対応する原告記述部分の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。
(2)原告ワークブック全体の構成と被告レジュメ全体の構成について
原告ワークブック全体の構成と被告レジュメ全体の構成の同一性を有する部分は、表現それ自体ではないか又は表現上の創作性がないものであって、被告レジュメ全体の構成から原告ワークブック全体の構成の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。
(3)原告ワークブックに係る著作者人格権侵害の成否
前述のとおり、そもそも被告らが原告記述部分及び原告ワークブック全体の構成を複製又は翻案したものであるとは認められず、氏名表示権及び同一性保持権の侵害をいう原告Aの上記主張はその前提を欠くと裁判所は判断しています(50頁)。
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2 原告キャッチコピーに関する著作権侵害の有無
原告キャッチコピー(「会議が変わる。会社が変わる。」)の著作物性について、裁判所は、文字の分量、内容の両面から見ても表現の選択の幅が極めて小さく、作成者の個性が表れる余地がごく限られており、結論としては、ありふれた表現であり創作性はないと判断。著作物性、著作権侵害性を否定しています(50頁以下)。
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3 本件各ノウハウに関する不正競争の成否
本件各ノウハウの「営業秘密」性(不正競争防止法2条6項)について、裁判所は、秘密管理性、非公知性のいずれも認められないと判断。原告の不正競争防止法上の主張を容れていません(52頁以下)。
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■コメント
会議の運営方法に関するノウハウテキストについては、24箇所の記述部分で類否が争われています。別紙2対比表をみると、裁判所の類否判断の事例として参考になります。
会議運営ノウハウテキスト事件
東京地裁令和3.3.26平成31(ワ)4521著作権侵害行為差止等請求事件PDF
別紙2
別紙3
別紙5
別紙6
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 小川 暁
裁判官 佐々木亮
*裁判所サイト公表 2021.6.8
*キーワード:著作物性、複製、翻案、キャッチコピー、営業秘密
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■事案
会議運営のノウハウテキストの複製権、翻案権侵害性などが争点となった事案
原告:経営コンサルティング会社、代表者A
被告:経営コンサルティング会社ら、代表者B
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、不正競争防止法2条6項
1 原告ワークブックに関する著作権侵害及び著作者人格権侵害の有無
2 原告キャッチコピーに関する著作権侵害の有無
3 本件各ノウハウに関する不正競争の成否
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■事案の概要
『本件は,原告会社が,被告らに対し,著作権(複製権又は翻案権)侵害を理由として,原告Aが,被告らに対し,著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)侵害を理由として,原告会社が,被告ヴァンガード社及び被告サムライヴィジョン社(以下「被告会社ら」という。)に対し,著作権(翻案権)侵害を理由として,原告会社が,被告らに対し,不正競争防止法(以下「不競法」という。)違反を理由として,以下の請求をする事案である。』
(2頁以下)
<経緯>
H15 株式会社すごい会議設立
H17 原告Aが「すごい会議――短期間で会社が劇的に変わる!」刊行
H18 原告Aが記事寄稿
H19 原告Aらが「秘伝すごい会議」刊行
H23 原告Aらが「2011年度すごい計画作成キット ピーチパーリーマタドール版」(原告ワークブック)制作
H23 被告Bがすごい会議社とコーチング委託契約締結
H25 原告Aが「すごい会議ワークブック 2013」刊行
H26 原告Aが「すごい会議ワークブック 2014−15」刊行
H26 原告会社設立
H26 被告Bが被告ヴァンガード社設立
H30 被告サムライヴィジョン社が被告レジュメを侍会議で交付
すごい会議の手法:企業において行われていた従前の会議の方法を見直し、どういった手順で会議を進めるかを「型」(一定の決まった枠組み)にして指導するというもの
原告キャッチコピー:「会議が変わる。会社が変わる。」
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■判決内容
<争点>
1 原告ワークブックに関する著作権侵害及び著作者人格権侵害の有無
主に言語で記述された原告ワークブックと被告レジュメの同一性を有する部分について、裁判所は、複製や翻案の意義に言及したうえで表現上の創作性が認められるか否かを判断。
結論としては、著作権侵害及び著作者人格権侵害の成立を否定しています(32頁以下)。
(1)個別の記述部分について
いずれも、アイデアやありふれた表現であって、表現それ自体ではないか又は表現上の創作性がないものであって、被告記述部分からそれらに対応する原告記述部分の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。
(2)原告ワークブック全体の構成と被告レジュメ全体の構成について
原告ワークブック全体の構成と被告レジュメ全体の構成の同一性を有する部分は、表現それ自体ではないか又は表現上の創作性がないものであって、被告レジュメ全体の構成から原告ワークブック全体の構成の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。
(3)原告ワークブックに係る著作者人格権侵害の成否
前述のとおり、そもそも被告らが原告記述部分及び原告ワークブック全体の構成を複製又は翻案したものであるとは認められず、氏名表示権及び同一性保持権の侵害をいう原告Aの上記主張はその前提を欠くと裁判所は判断しています(50頁)。
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2 原告キャッチコピーに関する著作権侵害の有無
原告キャッチコピー(「会議が変わる。会社が変わる。」)の著作物性について、裁判所は、文字の分量、内容の両面から見ても表現の選択の幅が極めて小さく、作成者の個性が表れる余地がごく限られており、結論としては、ありふれた表現であり創作性はないと判断。著作物性、著作権侵害性を否定しています(50頁以下)。
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3 本件各ノウハウに関する不正競争の成否
本件各ノウハウの「営業秘密」性(不正競争防止法2条6項)について、裁判所は、秘密管理性、非公知性のいずれも認められないと判断。原告の不正競争防止法上の主張を容れていません(52頁以下)。
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■コメント
会議の運営方法に関するノウハウテキストについては、24箇所の記述部分で類否が争われています。別紙2対比表をみると、裁判所の類否判断の事例として参考になります。