最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ゲームショー取材動画発信者情報開示請求事件
東京地裁令和3.4.23令和2(ワ)5914発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 矢野紀夫
裁判官 佐々木亮
*裁判所サイト公表 2021.5.24
*キーワード:著作物性、二次的著作物性、動画
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■事案
ゲームショー会場で取材収録された動画の著作物性が争点となった事案
原告:個人
被告:プロバイダ
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、11号
1 本件原告動画の著作物性
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■事案の概要
『本件は,原告が,インターネットサービスプロバイダ事業を営む被告に対し,被告の電気通信設備を用いて動画投稿サイトであるニコニコ動画に別紙2投稿動画目録記載1及び2の各動画(以下,同目録記載1の動画を「本件投稿動画1」と,同目録記載2の動画を「本件投稿動画2」といい,これらを「本件各投稿動画」と総称する。)が投稿されたことによって,原告が撮影,編集して作成した動画に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたことが明らかであり,その投稿を行った者に対する差止請求権及び損害賠償請求権の行使のため,被告が保有する別紙1発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受けるべき正当な利益があるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H13.09 ゲームショー開催。原告が取材、動画撮影
原告動画を原告サイトに掲載
H19.11 ニコニコ動画に氏名不詳者による投稿
R01.11 ドワンゴが原告にIPアドレスなどを開示
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■判決内容
<争点>
1 本件原告動画の著作物性
原告が制作した動画の著作物性について、裁判所は、ゲームのプレイ動画に対する原告動画の二次的著作物性に関して、ポパイネクタイ事件の最高裁判例(最判平成9年7月17日平成4(オ)1443)に言及した上で、「本件原告動画が本件プレイ動画の二次的著作物として著作物性を有するといえるためには,本件プレイ動画の具体的表現に修正,増減,変更等を加えることにより,本件プレイ動画における創作的表現とは異なる新たな創作的表現が付与されていることを要するものと解するのが相当である。」旨、説示。
そして、原告動画が、プレイ中の動画のほかに、機材や来場者の声、フラッシュが映り込んでいるにすぎず、その点については、制作者の個性が表れていない、として本件プレイ動画に対しての二次的著作物性を否定しています(9頁以下)。
結論として、権利侵害の明白性(プロバイダ責任制限法4条1項)の要件を充足せず、原告の主張は認められていません。
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■コメント
ライターさんがゲームショーの取材名目で制作した動画で、そこに映っているのが、会場で上映されているゲームをプレイしている映像、背景音楽、会場の音、フラッシュ光で、そうしたものが固定で撮影されていたといった動画でした。編集としても、動画自体に実況が入っているとかではなく、特段、工夫がされたものではなかったようです。
近時の写真の著作物性の判断とパラレルに考えれば、動画のスナップ撮影にも著作物性を緩やかに認めても良い方向になるかとは思いますが、本件で、二次的著作物性を争点としているということは、よほどプレイ画面しかないような動画だったかと思うところです。
ゲームショー取材動画発信者情報開示請求事件
東京地裁令和3.4.23令和2(ワ)5914発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官 矢野紀夫
裁判官 佐々木亮
*裁判所サイト公表 2021.5.24
*キーワード:著作物性、二次的著作物性、動画
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■事案
ゲームショー会場で取材収録された動画の著作物性が争点となった事案
原告:個人
被告:プロバイダ
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、11号
1 本件原告動画の著作物性
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■事案の概要
『本件は,原告が,インターネットサービスプロバイダ事業を営む被告に対し,被告の電気通信設備を用いて動画投稿サイトであるニコニコ動画に別紙2投稿動画目録記載1及び2の各動画(以下,同目録記載1の動画を「本件投稿動画1」と,同目録記載2の動画を「本件投稿動画2」といい,これらを「本件各投稿動画」と総称する。)が投稿されたことによって,原告が撮影,編集して作成した動画に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたことが明らかであり,その投稿を行った者に対する差止請求権及び損害賠償請求権の行使のため,被告が保有する別紙1発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受けるべき正当な利益があるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H13.09 ゲームショー開催。原告が取材、動画撮影
原告動画を原告サイトに掲載
H19.11 ニコニコ動画に氏名不詳者による投稿
R01.11 ドワンゴが原告にIPアドレスなどを開示
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■判決内容
<争点>
1 本件原告動画の著作物性
原告が制作した動画の著作物性について、裁判所は、ゲームのプレイ動画に対する原告動画の二次的著作物性に関して、ポパイネクタイ事件の最高裁判例(最判平成9年7月17日平成4(オ)1443)に言及した上で、「本件原告動画が本件プレイ動画の二次的著作物として著作物性を有するといえるためには,本件プレイ動画の具体的表現に修正,増減,変更等を加えることにより,本件プレイ動画における創作的表現とは異なる新たな創作的表現が付与されていることを要するものと解するのが相当である。」旨、説示。
そして、原告動画が、プレイ中の動画のほかに、機材や来場者の声、フラッシュが映り込んでいるにすぎず、その点については、制作者の個性が表れていない、として本件プレイ動画に対しての二次的著作物性を否定しています(9頁以下)。
結論として、権利侵害の明白性(プロバイダ責任制限法4条1項)の要件を充足せず、原告の主張は認められていません。
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■コメント
ライターさんがゲームショーの取材名目で制作した動画で、そこに映っているのが、会場で上映されているゲームをプレイしている映像、背景音楽、会場の音、フラッシュ光で、そうしたものが固定で撮影されていたといった動画でした。編集としても、動画自体に実況が入っているとかではなく、特段、工夫がされたものではなかったようです。
近時の写真の著作物性の判断とパラレルに考えれば、動画のスナップ撮影にも著作物性を緩やかに認めても良い方向になるかとは思いますが、本件で、二次的著作物性を争点としているということは、よほどプレイ画面しかないような動画だったかと思うところです。