最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
動画無断投稿事件(控訴審)
知財高裁令和3.2.4令和2(ネ)10020発信者情報開示請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 菅野雅之
裁判官 本吉弘行
裁判官 岡山忠広
東京地裁令和2.2.25令和1(ワ)19689発信者情報開示請求事件
原審判決文PDF
*裁判所サイト公表 2021.2.25
*キーワード:動画、発信者情報開示請求、発信者情報該当性
--------------------
■事案
アダルトサイトへの動画の無断投稿について発信者情報開示請求がされた事案
控訴人(1審原告) :個人
被控訴人(1審被告):プロバイダ
--------------------
■結論
控訴棄却
--------------------
■争点
条文 プロバイダ責任制限法4条1項
1 本件発信者情報1は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
2 本件発信者情報2又は同3は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
--------------------
■事案の概要
『本件は,控訴人が,氏名不詳者によりインターネット上のウェブサイトに投稿された本件投稿動画は,控訴人が著作権を有する「控訴人動画」(原判決における「原告動画」)と同一であり,同氏名不詳者の本件投稿行為は,控訴人動画に係る控訴人の公衆送信権又は送信可能化権を侵害するものであることが明らかであると主張して,本件投稿行為に係る経由プロバイダであると主張する被控訴人に対し,法4条1項に基づき,本件投稿動画が投稿されたウェブサイトに,投稿者と同じユーザIDで最後にログインした者(最終ログイン者。なお,このログインを「最終ログイン」という。)に関する本件各発信者情報の開示を求めた事案である。』
『原判決は,本件各発信者情報は法4条1項の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないとして,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,控訴人が控訴を提起した。なお,控訴人は,当審において,侵害されたとする権利について,控訴人動画の静止画像(甲2−1−2。以下「控訴人画像」という。)に係る公衆送信権,氏名表示権及び同一性保持権を追加した。』
(2頁)
<経緯>
H29.06 1審原告が動画を投稿
H29.08 氏名不詳者が動画をPornhubに投稿
本件発信者情報1:平成31年4月28日午後0時00分34秒)に本件サイトにログインした者の情報
本件発信者情報2、3:平成31年4月28日午後0時00分34秒に上記の者が本件サイトにログインした際に割り当てられたIPアドレスを本件投稿行為が行われた日時頃に割り当てられていた者に関する情報
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件発信者情報1は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
本件発信者情報1は侵害情報の送信である本件投稿行為そのものの発信者情報ではなく、法4条1項の定める開示対象とはいえないとして、原審同様、控訴審でも該当性を否定しています(16頁以下)。
--------------------
2 本件発信者情報2又は同3は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
本件発信者情報2及び同3は、本件IPアドレスを本件投稿行為が行われた日時頃に割り当てられていた者の氏名又は名称及び住所であるが、そもそも本件IPアドレスが平成31年4月28日午後0時00分34秒時)と、本件投稿行為が行われた平成29年8月23日午前3時38分に同一人物に割り当てられていたと認めるに足りる証拠はないとして、原審同様、控訴審でも該当性を否定しています(21頁)。
結論として、控訴審は原審の判断を維持しています。
--------------------
■コメント
無断投稿行為時点での情報と、それから約1年8か月の期間が経過した時点での情報が投稿行為を行った人物の同一性判断として蓋然性が高くはないとして、同一の発信者のものとは認められなかった事案となります。
--------------------
■追記(2021/2/27)
総務省第204回国会(常会)提出法案
国会提出日令和3年2月26日
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
(所管課室名)総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課
動画無断投稿事件(控訴審)
知財高裁令和3.2.4令和2(ネ)10020発信者情報開示請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 菅野雅之
裁判官 本吉弘行
裁判官 岡山忠広
東京地裁令和2.2.25令和1(ワ)19689発信者情報開示請求事件
原審判決文PDF
*裁判所サイト公表 2021.2.25
*キーワード:動画、発信者情報開示請求、発信者情報該当性
--------------------
■事案
アダルトサイトへの動画の無断投稿について発信者情報開示請求がされた事案
控訴人(1審原告) :個人
被控訴人(1審被告):プロバイダ
--------------------
■結論
控訴棄却
--------------------
■争点
条文 プロバイダ責任制限法4条1項
1 本件発信者情報1は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
2 本件発信者情報2又は同3は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
--------------------
■事案の概要
『本件は,控訴人が,氏名不詳者によりインターネット上のウェブサイトに投稿された本件投稿動画は,控訴人が著作権を有する「控訴人動画」(原判決における「原告動画」)と同一であり,同氏名不詳者の本件投稿行為は,控訴人動画に係る控訴人の公衆送信権又は送信可能化権を侵害するものであることが明らかであると主張して,本件投稿行為に係る経由プロバイダであると主張する被控訴人に対し,法4条1項に基づき,本件投稿動画が投稿されたウェブサイトに,投稿者と同じユーザIDで最後にログインした者(最終ログイン者。なお,このログインを「最終ログイン」という。)に関する本件各発信者情報の開示を求めた事案である。』
『原判決は,本件各発信者情報は法4条1項の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないとして,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,控訴人が控訴を提起した。なお,控訴人は,当審において,侵害されたとする権利について,控訴人動画の静止画像(甲2−1−2。以下「控訴人画像」という。)に係る公衆送信権,氏名表示権及び同一性保持権を追加した。』
(2頁)
<経緯>
H29.06 1審原告が動画を投稿
H29.08 氏名不詳者が動画をPornhubに投稿
本件発信者情報1:平成31年4月28日午後0時00分34秒)に本件サイトにログインした者の情報
本件発信者情報2、3:平成31年4月28日午後0時00分34秒に上記の者が本件サイトにログインした際に割り当てられたIPアドレスを本件投稿行為が行われた日時頃に割り当てられていた者に関する情報
--------------------
■判決内容
<争点>
1 本件発信者情報1は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
本件発信者情報1は侵害情報の送信である本件投稿行為そのものの発信者情報ではなく、法4条1項の定める開示対象とはいえないとして、原審同様、控訴審でも該当性を否定しています(16頁以下)。
--------------------
2 本件発信者情報2又は同3は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
本件発信者情報2及び同3は、本件IPアドレスを本件投稿行為が行われた日時頃に割り当てられていた者の氏名又は名称及び住所であるが、そもそも本件IPアドレスが平成31年4月28日午後0時00分34秒時)と、本件投稿行為が行われた平成29年8月23日午前3時38分に同一人物に割り当てられていたと認めるに足りる証拠はないとして、原審同様、控訴審でも該当性を否定しています(21頁)。
結論として、控訴審は原審の判断を維持しています。
--------------------
■コメント
無断投稿行為時点での情報と、それから約1年8か月の期間が経過した時点での情報が投稿行為を行った人物の同一性判断として蓋然性が高くはないとして、同一の発信者のものとは認められなかった事案となります。
--------------------
■追記(2021/2/27)
総務省第204回国会(常会)提出法案
国会提出日令和3年2月26日
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
(所管課室名)総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課