最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
Twitterプロフィール画像事件
大阪地裁令和3.1.14令和2(ワ)1995発信者情報開示請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 杉浦一輝
裁判官 布目真利子
*裁判所サイト公表 2021.1.26
*キーワード:写真、ツイッター、著作物性、発信者情報開示請求、アイコン、プロフ画像
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■事案
他人の自画像写真をトリミングしてツイッターのプロフィール画像に流用した事案
原告:高校生
被告:プロバイダ
--------------------
■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 被告の開示関係役務提供者該当性及び本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性
2 著作物性の有無
3 著作権及び著作者人格権の侵害の成否
4 違法性阻却事由の存否
5 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
--------------------
■事案の概要
『本件は,自己を被写体とする写真を自ら撮影した原告が,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してソーシャルネットワーキングサービス「ツイッター」(以下「ツイッター」という。)に当該写真を使用して別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)を投稿したことにより,当該写真に係る原告の著作権(複製権,翻案権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたと主張して,ツイッターの運営会社から開示された IP アドレスの保有者である被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁)
<経緯>
H31.04 本件アカウントの登録
R01.07 氏名不詳者が本件投稿を行う
R01.10 東京地裁令和1(ヨ)22089仮処分命令申立事件(対ツイッター社)
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■判決内容
<争点>
1 被告の開示関係役務提供者該当性及び本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性
裁判所は、侵害情報の発信者と同一の者によるものと認められる通信を媒介し、その際に割り当てられた当該IPアドレス等を保有する特定電気通信役務提供者は、「当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」である「開示関係役務提供者」に当たるというべきであると判断。
本件投稿の送信の後に割り当てられたIPアドレス等である本件IPアドレス等から把握される発信者情報は、原告が侵害情報と主張する特定電気通信による情報の送信である本件投稿の発信者のものと認められるなどとして、結論として各該当性を肯定しています(12頁以下)。
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2 著作物性の有無
本件元画像は、「髪型を整えて化粧を施した原告が,正面を向きながら大きく目を開いて顔をやや左に傾け,左手中指を右斜め上方に向けて鼻部左側の隆起を始める部分付近に伸ばし当て,左手示指を左耳付近に伸ばすように左側顔部の輪郭に沿うようにして伸ばすなどして左手を顔に当てるポーズを決めた状態で,原告の胸部から額部分付近までの部位を撮影したものであり,撮影の方向及び角度等は,原告の目の高さから正面又はそれよりわずかに上方向から撮影したもの」でした(16頁)。
本件画像は、本件元画像を原告の鼻部分を中心として顔写真が丸くトリミングされたものでした。
被告は、本件元画像には原告の個性の発露は見られないから本件元画像は著作物とはいえないなどと反論しましたが、裁判所は、著作物性を肯定しています。
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3 著作権及び著作者人格権の侵害の成否
裁判所は、本件投稿者による本件投稿は、少なくとも原告の本件元画像に係る複製権ないし翻案権を侵害するものであると判断しています(16頁以下)。
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4 違法性阻却事由の存否
裁判所は、本件において著作権者である原告の同意その他の本件投稿につき、違法性阻却事由の存在をうかがわせる具体的事情はおよそ見当たらないと判断しています(17頁)。
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5 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
原告は、本件投稿者に対して著作権及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求等をする意思を有しており、その損害賠償請求権の行使のためには被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があることが認められるとして、裁判所は、原告にはその開示を受けるべき正当な理由があると判断しています(17頁以下)。
結論として、原告の発信者情報開示請求を認容しています。
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■コメント
2021年(令和3年)に出された判決のうち、最高裁判所サイトで公開された最初の著作権関連事件となります。
バストショットの自画像写真の著作物性が肯定されていますが、画像の無断使用について、原告の身体的特徴を指摘して原告を嘲笑するといった、原告に対する嫌がらせ目的その他の悪意をうかがわせるニュアンスで使用されている事案です。
Twitterプロフィール画像事件
大阪地裁令和3.1.14令和2(ワ)1995発信者情報開示請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 杉浦正樹
裁判官 杉浦一輝
裁判官 布目真利子
*裁判所サイト公表 2021.1.26
*キーワード:写真、ツイッター、著作物性、発信者情報開示請求、アイコン、プロフ画像
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■事案
他人の自画像写真をトリミングしてツイッターのプロフィール画像に流用した事案
原告:高校生
被告:プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 被告の開示関係役務提供者該当性及び本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性
2 著作物性の有無
3 著作権及び著作者人格権の侵害の成否
4 違法性阻却事由の存否
5 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
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■事案の概要
『本件は,自己を被写体とする写真を自ら撮影した原告が,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してソーシャルネットワーキングサービス「ツイッター」(以下「ツイッター」という。)に当該写真を使用して別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)を投稿したことにより,当該写真に係る原告の著作権(複製権,翻案権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたと主張して,ツイッターの運営会社から開示された IP アドレスの保有者である被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙発信者情報目録記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁)
<経緯>
H31.04 本件アカウントの登録
R01.07 氏名不詳者が本件投稿を行う
R01.10 東京地裁令和1(ヨ)22089仮処分命令申立事件(対ツイッター社)
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■判決内容
<争点>
1 被告の開示関係役務提供者該当性及び本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性
裁判所は、侵害情報の発信者と同一の者によるものと認められる通信を媒介し、その際に割り当てられた当該IPアドレス等を保有する特定電気通信役務提供者は、「当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」である「開示関係役務提供者」に当たるというべきであると判断。
本件投稿の送信の後に割り当てられたIPアドレス等である本件IPアドレス等から把握される発信者情報は、原告が侵害情報と主張する特定電気通信による情報の送信である本件投稿の発信者のものと認められるなどとして、結論として各該当性を肯定しています(12頁以下)。
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2 著作物性の有無
本件元画像は、「髪型を整えて化粧を施した原告が,正面を向きながら大きく目を開いて顔をやや左に傾け,左手中指を右斜め上方に向けて鼻部左側の隆起を始める部分付近に伸ばし当て,左手示指を左耳付近に伸ばすように左側顔部の輪郭に沿うようにして伸ばすなどして左手を顔に当てるポーズを決めた状態で,原告の胸部から額部分付近までの部位を撮影したものであり,撮影の方向及び角度等は,原告の目の高さから正面又はそれよりわずかに上方向から撮影したもの」でした(16頁)。
本件画像は、本件元画像を原告の鼻部分を中心として顔写真が丸くトリミングされたものでした。
被告は、本件元画像には原告の個性の発露は見られないから本件元画像は著作物とはいえないなどと反論しましたが、裁判所は、著作物性を肯定しています。
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3 著作権及び著作者人格権の侵害の成否
裁判所は、本件投稿者による本件投稿は、少なくとも原告の本件元画像に係る複製権ないし翻案権を侵害するものであると判断しています(16頁以下)。
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4 違法性阻却事由の存否
裁判所は、本件において著作権者である原告の同意その他の本件投稿につき、違法性阻却事由の存在をうかがわせる具体的事情はおよそ見当たらないと判断しています(17頁)。
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5 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
原告は、本件投稿者に対して著作権及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求等をする意思を有しており、その損害賠償請求権の行使のためには被告が保有する本件発信者情報の開示を受ける必要があることが認められるとして、裁判所は、原告にはその開示を受けるべき正当な理由があると判断しています(17頁以下)。
結論として、原告の発信者情報開示請求を認容しています。
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■コメント
2021年(令和3年)に出された判決のうち、最高裁判所サイトで公開された最初の著作権関連事件となります。
バストショットの自画像写真の著作物性が肯定されていますが、画像の無断使用について、原告の身体的特徴を指摘して原告を嘲笑するといった、原告に対する嫌がらせ目的その他の悪意をうかがわせるニュアンスで使用されている事案です。