最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

藤川千愛「ライカ」無断配信事件

東京地裁令和2.11.16令和2(ワ)10689発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 國分隆文
裁判官    小川 暁
裁判官    佐々木 亮

*裁判所サイト公表 2020.-.-
*キーワード:プロバイダ、原盤、発信者情報開示請求、ファイル交換ソフト

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■事案

ファイル交換ソフトウェアBitTorrentを利用した音楽原盤無断配信の事案

原告:レコード会社ら
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法96条の2

1 原告らの送信可能化権が侵害されたことが明らかであるか
2 本件各発信者情報は権利侵害に係る発信者情報といえるか
3 本件各発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

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■事案の概要

『本件は,レコード製作会社である原告らが,インターネット接続プロバイダ事業を営む被告に対して,被告の用いる電気通信設備を経由したファイル交換ソフトウェアの使用によって,原告らがレコード製作者の権利を有するレコードについての送信可能化権(著作権法96条の2)が侵害されたことが明らかであり,上記のソフトウェアの使用者に対する損害賠償請求等のために必要であるとして,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づいて,別紙発信者情報目録記載1ないし4の各情報(以下,併せて「本件各発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(2頁)

音楽CDタイトル名:「ライカ」「空が呼ぶほうへ」「花咲キオトメ」「TRICK」

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■判決内容

<争点>

1 原告らの送信可能化権が侵害されたことが明らかであるか

本件各発信者が、ファイル交換ソフトウェアであるBitTorrentを用いて本件各レコードを複製したファイルを不特定多数の他のBitTorrentの利用者からの求めに応じて自動的に送信し得る状態にしたことが認められると裁判所は判断。
当該各行為について原告らによる許諾や著作隣接権の権利制限事由その他の違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は認められないとして、原告らの送信可能化権の侵害性が肯定されています(5頁)。

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2 本件各発信者情報は権利侵害に係る発信者情報といえるか

本件各発信者情報は各権利侵害に係る発信者情報に該当すると認められています(5頁)。

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3 本件各発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

原告らは,自己の送信可能化権を侵害したことが明らかな本件各発信者に対して損害賠償請求及び差止請求を行う意思を有しており、そのためには被告が保有する本件各発信者情報の開示を受ける必要があると認められることから、それぞれ自己の権利侵害に係る発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断しています。(5頁以下)。

結論として、原告らの請求が認容されています。

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■コメント

ファイル交換ソフトを利用した音楽原盤の無断配信の発信者情報開示請求の事案となります。