最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
LINEスタンプキャラクター事件
東京地裁令和2.10.14令和1(ワ)26106損害賠償請求事件PDF
添付文書1(作品目録)
添付文書2(主張対比表)
添付文書3(対比キャラクター)
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 三井大有
裁判官 斉藤 敦
*裁判所サイト公表 2020.-.-
*キーワード:LINEスタンプ、イラスト、キャラクター、複製、翻案
--------------------
■事案
LINEスタンプで販売されたキャラクターデザインが他人のイラストを複製、翻案したかどうかが争点となった事案
原告:漫画家
被告:イラストレーター
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法21条、27条
1 被告作品が原告作品の複製又は翻案に当たるか
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,被告に対し,被告が制作したキャラクターの画像を用いた「LINE」のスタンプやグッズを販売する行為が,原告の制作した漫画に係る原告の著作権(複製権・翻案権,公衆送信権及び譲渡権)並びに著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)を侵害するなどと主張して,著作権法112条1項に基づき,別紙1作品目録の「うるせぇトリ」欄記載の画像を使用した上記スタンプ等の商品の作成,販売の差止めを,同条2項に基づき,上記画像及び商品の廃棄を求めるとともに,民法709条,著作権法114条2項に基づき,損害賠償として1892万円及びこれに対する不法行為の日である令和元年5月6日から支払済みまで民法(平成29年法律第44条による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)
<経緯>
H16 原告漫画「Mr.BEAK」が雑誌「FromA」に連載
--------------------
■判決内容
<争点>
1 被告作品が原告作品の複製又は翻案に当たるか
被告は、mame&coのペンネームで「うるせぇトリ」と題するキャラクターを用いた各イラストをLINE株式会社が運営するSNSプラットフォーム「LINE」おいて、「クリエイターズスタンプ」として販売するほか、被告作品を使用した様々なグッズを販売していました。
裁判所は、複製及び翻案の意義について言及した上で、まずは、原告作品全体の創作性及び被告作品全体とを対比。
原告作品の特徴について、
『原告の原著作物(別紙2)に描かれた原告キャラクターは,頭部は髪がなく半楕円形であり,目は小さい黒点で顔の外側に広く離して配され,上下に分かれたくちばし部分はいずれも厚くオレンジ色であり,上下のくちばしから構成される口は横に大きく広がり,体は黄色く,顔部分と下半身部分との明確な区別はなく寸胴であり,手足は先細の棒状であるとの特徴を有しており,原告作品においては,原告キャラクターのこれらの特徴の全部又は一部が表現されているものと認められる。』
『証拠(乙1)及び別紙6「対比キャラクター」を含む弁論の全趣旨によれば,原告作品に描かれた原告キャラクターの上記特徴のうち,キャラクターの髪を描かず,頭部を半楕円形で描く点は同別紙の「エリザベス」及び「タキシードサム」と,目を小さい黒点のみで描く点は同別紙の「タキシードサム」,「アフロ犬」,「ハローキティ」,「にゃんにゃんにゃんこ」及び「ライトン」と,口唇部分を全体的に厚く,口を横に大きく描く点は同別紙の「おばけのQ太郎」と,顔部分と下半身部分とを明確に区別をせずに寸胴に描き,手足は手首・足首を描かずに先細の棒状に描く点は同別紙の「おばけのQ太郎」及び「エリザベス」(ただし,いずれも手の部分)と共通し,いずれも,擬人化したキャラクターの漫画・イラスト等においては,ありふれた表現であると認められる。』
『そうすると,原告作品は,上記の特徴を組み合わせて表現した点にその創作性があるものと認められるものの,原告作品に描かれているような単純化されたキャラクターが,人が日常的にする表情をし,又はポーズをとる様子を描く場合,その表現の幅が限定されることからすると,原告作品が著作物として保護される範囲も,このような原告作品の内容・性質等に照らし,狭い範囲にとどまるものというべきである。』(10頁以下)
と判断。
さらに、被告作品が原告作品の複製又は翻案に当たるか否かについて作品ごと(22点)に検討。
結論として、両作品はアイデア又はありふれた表現において共通するにすぎず、具体的な表現においても相違点があることにも照らし、被告作品から原告作品の本質的特徴を感得することはできないなどとして、複製又は翻案に当たらないと判断。原告の主張は認められていません。
--------------------
■コメント
被告代理人が山本隆司先生で、丁寧に原告作品と類似の要素を持つ他者のイラスト(「おばけのQ太郎」などのキャラクター)を挙げて反論がされています。
ありがちなキャラクターイラストでの類否の判断事例としてとても参考になります。
LINEスタンプキャラクター事件
東京地裁令和2.10.14令和1(ワ)26106損害賠償請求事件PDF
添付文書1(作品目録)
添付文書2(主張対比表)
添付文書3(対比キャラクター)
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 三井大有
裁判官 斉藤 敦
*裁判所サイト公表 2020.-.-
*キーワード:LINEスタンプ、イラスト、キャラクター、複製、翻案
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■事案
LINEスタンプで販売されたキャラクターデザインが他人のイラストを複製、翻案したかどうかが争点となった事案
原告:漫画家
被告:イラストレーター
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法21条、27条
1 被告作品が原告作品の複製又は翻案に当たるか
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告に対し,被告が制作したキャラクターの画像を用いた「LINE」のスタンプやグッズを販売する行為が,原告の制作した漫画に係る原告の著作権(複製権・翻案権,公衆送信権及び譲渡権)並びに著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)を侵害するなどと主張して,著作権法112条1項に基づき,別紙1作品目録の「うるせぇトリ」欄記載の画像を使用した上記スタンプ等の商品の作成,販売の差止めを,同条2項に基づき,上記画像及び商品の廃棄を求めるとともに,民法709条,著作権法114条2項に基づき,損害賠償として1892万円及びこれに対する不法行為の日である令和元年5月6日から支払済みまで民法(平成29年法律第44条による改正前)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)
<経緯>
H16 原告漫画「Mr.BEAK」が雑誌「FromA」に連載
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■判決内容
<争点>
1 被告作品が原告作品の複製又は翻案に当たるか
被告は、mame&coのペンネームで「うるせぇトリ」と題するキャラクターを用いた各イラストをLINE株式会社が運営するSNSプラットフォーム「LINE」おいて、「クリエイターズスタンプ」として販売するほか、被告作品を使用した様々なグッズを販売していました。
裁判所は、複製及び翻案の意義について言及した上で、まずは、原告作品全体の創作性及び被告作品全体とを対比。
原告作品の特徴について、
『原告の原著作物(別紙2)に描かれた原告キャラクターは,頭部は髪がなく半楕円形であり,目は小さい黒点で顔の外側に広く離して配され,上下に分かれたくちばし部分はいずれも厚くオレンジ色であり,上下のくちばしから構成される口は横に大きく広がり,体は黄色く,顔部分と下半身部分との明確な区別はなく寸胴であり,手足は先細の棒状であるとの特徴を有しており,原告作品においては,原告キャラクターのこれらの特徴の全部又は一部が表現されているものと認められる。』
『証拠(乙1)及び別紙6「対比キャラクター」を含む弁論の全趣旨によれば,原告作品に描かれた原告キャラクターの上記特徴のうち,キャラクターの髪を描かず,頭部を半楕円形で描く点は同別紙の「エリザベス」及び「タキシードサム」と,目を小さい黒点のみで描く点は同別紙の「タキシードサム」,「アフロ犬」,「ハローキティ」,「にゃんにゃんにゃんこ」及び「ライトン」と,口唇部分を全体的に厚く,口を横に大きく描く点は同別紙の「おばけのQ太郎」と,顔部分と下半身部分とを明確に区別をせずに寸胴に描き,手足は手首・足首を描かずに先細の棒状に描く点は同別紙の「おばけのQ太郎」及び「エリザベス」(ただし,いずれも手の部分)と共通し,いずれも,擬人化したキャラクターの漫画・イラスト等においては,ありふれた表現であると認められる。』
『そうすると,原告作品は,上記の特徴を組み合わせて表現した点にその創作性があるものと認められるものの,原告作品に描かれているような単純化されたキャラクターが,人が日常的にする表情をし,又はポーズをとる様子を描く場合,その表現の幅が限定されることからすると,原告作品が著作物として保護される範囲も,このような原告作品の内容・性質等に照らし,狭い範囲にとどまるものというべきである。』(10頁以下)
と判断。
さらに、被告作品が原告作品の複製又は翻案に当たるか否かについて作品ごと(22点)に検討。
結論として、両作品はアイデア又はありふれた表現において共通するにすぎず、具体的な表現においても相違点があることにも照らし、被告作品から原告作品の本質的特徴を感得することはできないなどとして、複製又は翻案に当たらないと判断。原告の主張は認められていません。
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■コメント
被告代理人が山本隆司先生で、丁寧に原告作品と類似の要素を持つ他者のイラスト(「おばけのQ太郎」などのキャラクター)を挙げて反論がされています。
ありがちなキャラクターイラストでの類否の判断事例としてとても参考になります。