最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
Pornhub動画無断投稿事件
東京地裁令和2.2.25令和1(ワ)19689発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 田中孝一
裁判官 奥 俊彦
裁判官 本井修平
*裁判所サイト公表 2020.3.24
*キーワード:発信者情報開示請求、動画
--------------------
■事案
動画コンテンツの無断投稿に関する発信者情報開示請求事件
原告:個人
被告:プロバイダ
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 プロバイダ責任制限法4条1項
1 本件各発信者情報は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
--------------------
■事案の概要
『本件は,原告が,氏名不詳者によりインターネット上のウェブサイトに投稿された別紙記事目録の「本件投稿動画」欄記載の動画(以下「本件投稿動画」という。)は,原告が著作権を有する同目録の「本件著作物」欄記載の動画(以下「原告動画」という。)と同一であり,同氏名不詳者が本件投稿動画を投稿した行為は原告動画に係る原告の公衆送信権又は送信可能化権を侵害するものであることが明らかであると主張して,上記投稿行為に係る経由プロバイダである被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,本件投稿動画が投稿されたウェブサイトに最後にログインした者に関する別紙発信者情報目録1記載の情報,及び,同人が最後にログインした際に割り当てられたIPアドレスを,本件投稿動画の投稿日時頃に割り当てられていた者に関する別紙発信者情報目録2又は同目録3記載の情報(以下,上記3つの情報を併せて「本件各発信者情報」といい,各情報をいう場合には,目録の番号に従い,「本件発信者情報1」などという。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H29.06 原告が原告動画を投稿
H29.08 氏名不詳者が本件投稿動画を「Pornhub」(本件サイト)に投稿
H31.04 本件発信者情報1、2、3
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■判決内容
<争点>
1 本件各発信者情報は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
本件発信者情報1のプロバイダ責任制限法4条1項1号「当該権利の侵害に係る発信者情報」該当性について、裁判所は、本件発信者情報1は本件投稿行為から約1年8か月が経過した平成31年4月28日午後0時00分34秒に本件サイトにログインした者の情報であって、このログイン時に本件投稿行為が行われたものではないとして、法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないことは明らかであると判断。
また、本件発信者情報2、3についても、平成31年4月28日午後00時00分34秒に本件サイトにログインがされた際の割当てに係るIPアドレスを、約1年8か月前である本件投稿行為が行われた日時頃に割り当てられていた者に関する情報であるところ、裁判所は、本件投稿行為から最終ログイン時までは約1年8か月の期間があることなどを考慮すれば、最終ログイン者が本件投稿動画の投稿者であると認め難いと判断。
本件各発信者情報の「当該権利の侵害に係る発信者情報」該当性をいずれも否定しています
(7頁以下)。
結論として、そのほかの争点の判断をすることなく棄却の判断となっています。
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■コメント
原告の動画コンテンツの内容が判然としませんが、「Pornhub」が世界最大規模のアダルトサイトですので、アダルト動画であったかと推測されます。
アダルト動画の無断投稿に関わる発信者情報開示請求事件訴訟のうち、発信者情報該当性が否定されて棄却判決の裁判例というのも、近時では見かけないところです。
最終ログイン者が本件投稿動画の投稿者である可能性が高いとは思われますが、本件投稿行為から同人のログインまで1年8ヶ月ほど期間が経過している点が裁判所に重く受け止められた結果となっています。
Pornhub動画無断投稿事件
東京地裁令和2.2.25令和1(ワ)19689発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 田中孝一
裁判官 奥 俊彦
裁判官 本井修平
*裁判所サイト公表 2020.3.24
*キーワード:発信者情報開示請求、動画
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■事案
動画コンテンツの無断投稿に関する発信者情報開示請求事件
原告:個人
被告:プロバイダ
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 プロバイダ責任制限法4条1項
1 本件各発信者情報は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
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■事案の概要
『本件は,原告が,氏名不詳者によりインターネット上のウェブサイトに投稿された別紙記事目録の「本件投稿動画」欄記載の動画(以下「本件投稿動画」という。)は,原告が著作権を有する同目録の「本件著作物」欄記載の動画(以下「原告動画」という。)と同一であり,同氏名不詳者が本件投稿動画を投稿した行為は原告動画に係る原告の公衆送信権又は送信可能化権を侵害するものであることが明らかであると主張して,上記投稿行為に係る経由プロバイダである被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,本件投稿動画が投稿されたウェブサイトに最後にログインした者に関する別紙発信者情報目録1記載の情報,及び,同人が最後にログインした際に割り当てられたIPアドレスを,本件投稿動画の投稿日時頃に割り当てられていた者に関する別紙発信者情報目録2又は同目録3記載の情報(以下,上記3つの情報を併せて「本件各発信者情報」といい,各情報をいう場合には,目録の番号に従い,「本件発信者情報1」などという。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H29.06 原告が原告動画を投稿
H29.08 氏名不詳者が本件投稿動画を「Pornhub」(本件サイト)に投稿
H31.04 本件発信者情報1、2、3
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■判決内容
<争点>
1 本件各発信者情報は法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当するか
本件発信者情報1のプロバイダ責任制限法4条1項1号「当該権利の侵害に係る発信者情報」該当性について、裁判所は、本件発信者情報1は本件投稿行為から約1年8か月が経過した平成31年4月28日午後0時00分34秒に本件サイトにログインした者の情報であって、このログイン時に本件投稿行為が行われたものではないとして、法4条1項1号の「当該権利の侵害に係る発信者情報」に該当しないことは明らかであると判断。
また、本件発信者情報2、3についても、平成31年4月28日午後00時00分34秒に本件サイトにログインがされた際の割当てに係るIPアドレスを、約1年8か月前である本件投稿行為が行われた日時頃に割り当てられていた者に関する情報であるところ、裁判所は、本件投稿行為から最終ログイン時までは約1年8か月の期間があることなどを考慮すれば、最終ログイン者が本件投稿動画の投稿者であると認め難いと判断。
本件各発信者情報の「当該権利の侵害に係る発信者情報」該当性をいずれも否定しています
(7頁以下)。
結論として、そのほかの争点の判断をすることなく棄却の判断となっています。
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■コメント
原告の動画コンテンツの内容が判然としませんが、「Pornhub」が世界最大規模のアダルトサイトですので、アダルト動画であったかと推測されます。
アダルト動画の無断投稿に関わる発信者情報開示請求事件訴訟のうち、発信者情報該当性が否定されて棄却判決の裁判例というのも、近時では見かけないところです。
最終ログイン者が本件投稿動画の投稿者である可能性が高いとは思われますが、本件投稿行為から同人のログインまで1年8ヶ月ほど期間が経過している点が裁判所に重く受け止められた結果となっています。