最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ペンギン画像無断改変事件(控訴審)
知財高裁令和1.12.26令和1(ネ)10048損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 國分隆文
裁判官 筈井卓矢
原審
東京地裁令和1.5.31平成30(ワ)32055損害賠償請求事件PDF
*裁判所サイト公表 2020.1.10
*キーワード:動物写真、外国法人、情報開示請求、損害論、著作物性、損害論
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■事案
ペンギンの画像を無断で改変してプロフ画像などに利用していた事案
控訴人(1審原告) :写真家
被控訴人(1審被告):個人
--------------------
■結論
請求一部変更
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、19条、20条、21条、23条、114条3項
1 侵害論
2 損害論
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■事案の概要
『本件は,1審原告が,1審被告が1審原告の著作物である別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)の画像データを一部改変の上,オンライン・カラオケサービスのアカウントの自己のプロフィール画像等としてアップロードした行為が1審原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)の侵害行為に当たる旨主張して,1審被告に対し,著作権侵害及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償として,168万9848円及びうち84万4924円に対する平成28年1月7日から,うち84万4924円に対する同年2月18日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原判決は,1審被告に対し,71万2226円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を命じる限度で1審原告の請求を認容し,その余の請求を棄却した。
原判決に対して,1審原告は,1審原告の敗訴部分のうち,76万6000円及びこれに対する遅延損害金の支払請求を棄却した部分を不服として控訴を提起し,1審被告は,1審被告の敗訴部分全部を不服として控訴を提起した。』
(2頁)
<経緯>
H16.03 原告が本件写真を撮影、原告サイトに掲載
H28.01 被告がプロフ画像を掲載
H28.02 原告が米国法人Smule社に削除依頼
H29.05 原告がSmule社に対して仮処分申立
H30.06 原告がKDDIに発信者情報開示請求
H30.07 原告が被告に内容証明書通知
H30.10 本訴提起
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■判決内容
<争点>
1 侵害論
(1)著作物性
2羽のペンギンが行進している様子を撮影した本件写真の著作物性(著作権法2条1項1号、10条1項8号)について、控訴審も原審同様、これを肯定しています。
また、右側のペンギンのみ、左側のペンギンのみを被写体とした画像についても、それぞれ著作物性があると判断しています(13頁以下)。
(2)著作権侵害、著作者人格権侵害
本件写真をトリミングなどしてアップロードした1審被告の行為は、1審原告の有する本件写真の複製権及び公衆送信権の侵害に当たるとともに、1審原告の氏名表示権及び同一性保持権の侵害に当たると控訴審も判断しています(14頁)。
(3)過失
原審同様、控訴審も1審被告に少なくとも過失があることを認めています(14条)。
結論として、原審同様、控訴審も1審被告は損害賠償責任を負う(民法709条)と判断しています。
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2 損害論
(1)利用料相当額損害(114条3項)
・原審 5万円×3年×1.08=16万2000円
・控訴審 維持(16頁以下)
(2)内容証明郵便費用
・原審 2226円
・控訴審 維持
(3)仮処分申立費用
・原審 27万円(弁護士着手金相当額。翻訳費用等を含む)
・控訴審 15万円(19頁以下)
(4)保全執行費用
・原審 10万8000円(弁護士報酬。翻訳費用等を含む)
・控訴審 維持
(5)KDDIに対する発信者情報開示請求費用
・原審 否定
・控訴審 否定
(6)慰謝料
・原審 10万円
・控訴審 10万円(氏名表示権侵害4万、同一性保持権侵害6万 21頁)
(7)弁護士費用相当額損害
・原審 7万円
・控訴審 6万円(21頁)
*合計
・原審 71万2226円
・控訴審 58万2226円
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■コメント
控訴審では損害額が減額(翻訳費用12万円と弁護士費用1万円の13万円)されてしまいましたが、著作権侵害事案での外国法人に対する情報開示請求の手続や裁判に当たっての各種費用など、実務上参考になる事案です。
なお、原審の判決文ですが、原審の裁判所サイト掲載確認のタイミングを逃してしまい、控訴審の判決文公開のタイミングで原審も確認できた次第です(原審については、ちょうど改元で裁判所サイトの改修時期前後だったかと思います)。
ペンギン画像無断改変事件(控訴審)
知財高裁令和1.12.26令和1(ネ)10048損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 國分隆文
裁判官 筈井卓矢
原審
東京地裁令和1.5.31平成30(ワ)32055損害賠償請求事件PDF
*裁判所サイト公表 2020.1.10
*キーワード:動物写真、外国法人、情報開示請求、損害論、著作物性、損害論
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■事案
ペンギンの画像を無断で改変してプロフ画像などに利用していた事案
控訴人(1審原告) :写真家
被控訴人(1審被告):個人
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■結論
請求一部変更
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、19条、20条、21条、23条、114条3項
1 侵害論
2 損害論
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■事案の概要
『本件は,1審原告が,1審被告が1審原告の著作物である別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)の画像データを一部改変の上,オンライン・カラオケサービスのアカウントの自己のプロフィール画像等としてアップロードした行為が1審原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)の侵害行為に当たる旨主張して,1審被告に対し,著作権侵害及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償として,168万9848円及びうち84万4924円に対する平成28年1月7日から,うち84万4924円に対する同年2月18日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
原判決は,1審被告に対し,71万2226円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を命じる限度で1審原告の請求を認容し,その余の請求を棄却した。
原判決に対して,1審原告は,1審原告の敗訴部分のうち,76万6000円及びこれに対する遅延損害金の支払請求を棄却した部分を不服として控訴を提起し,1審被告は,1審被告の敗訴部分全部を不服として控訴を提起した。』
(2頁)
<経緯>
H16.03 原告が本件写真を撮影、原告サイトに掲載
H28.01 被告がプロフ画像を掲載
H28.02 原告が米国法人Smule社に削除依頼
H29.05 原告がSmule社に対して仮処分申立
H30.06 原告がKDDIに発信者情報開示請求
H30.07 原告が被告に内容証明書通知
H30.10 本訴提起
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■判決内容
<争点>
1 侵害論
(1)著作物性
2羽のペンギンが行進している様子を撮影した本件写真の著作物性(著作権法2条1項1号、10条1項8号)について、控訴審も原審同様、これを肯定しています。
また、右側のペンギンのみ、左側のペンギンのみを被写体とした画像についても、それぞれ著作物性があると判断しています(13頁以下)。
(2)著作権侵害、著作者人格権侵害
本件写真をトリミングなどしてアップロードした1審被告の行為は、1審原告の有する本件写真の複製権及び公衆送信権の侵害に当たるとともに、1審原告の氏名表示権及び同一性保持権の侵害に当たると控訴審も判断しています(14頁)。
(3)過失
原審同様、控訴審も1審被告に少なくとも過失があることを認めています(14条)。
結論として、原審同様、控訴審も1審被告は損害賠償責任を負う(民法709条)と判断しています。
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2 損害論
(1)利用料相当額損害(114条3項)
・原審 5万円×3年×1.08=16万2000円
・控訴審 維持(16頁以下)
(2)内容証明郵便費用
・原審 2226円
・控訴審 維持
(3)仮処分申立費用
・原審 27万円(弁護士着手金相当額。翻訳費用等を含む)
・控訴審 15万円(19頁以下)
(4)保全執行費用
・原審 10万8000円(弁護士報酬。翻訳費用等を含む)
・控訴審 維持
(5)KDDIに対する発信者情報開示請求費用
・原審 否定
・控訴審 否定
(6)慰謝料
・原審 10万円
・控訴審 10万円(氏名表示権侵害4万、同一性保持権侵害6万 21頁)
(7)弁護士費用相当額損害
・原審 7万円
・控訴審 6万円(21頁)
*合計
・原審 71万2226円
・控訴審 58万2226円
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■コメント
控訴審では損害額が減額(翻訳費用12万円と弁護士費用1万円の13万円)されてしまいましたが、著作権侵害事案での外国法人に対する情報開示請求の手続や裁判に当たっての各種費用など、実務上参考になる事案です。
なお、原審の判決文ですが、原審の裁判所サイト掲載確認のタイミングを逃してしまい、控訴審の判決文公開のタイミングで原審も確認できた次第です(原審については、ちょうど改元で裁判所サイトの改修時期前後だったかと思います)。