最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

夜景写真無断使用損害賠償請求事件

東京地裁令和1.10.30令和1(ワ)15601損害賠償(著作権等侵害)請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 山田真紀
裁判官    神谷厚毅
裁判官    西山芳樹

*裁判所サイト公表 2020.−.−
*キーワード:夜景写真、損害論

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■事案

夜景写真を無断でアダルトサイトで使用した者に対する損害賠償請求事件

原告:写真家
被告:個人

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、114条3項、113条7項

1 侵害論
2 損害論

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■事案の概要

『本件は,原告が,別紙原告写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)は原告の著作物であり,被告において本件写真を複製し,ウェブサイトにアップロードして公衆送信したことにより,原告の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害するとともに,原告の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為として原告の著作者人格権を侵害すると主張して,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害金160万円(著作権侵害につき41万8316円,著作者人格権侵害につき118万1684円の合計であると解される。)及びこれに対する本件写真のアップロード日である平成30年3月17日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H30.3 本件写真が被告サイトにアップロード

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■判決内容

<争点>

1 侵害論

擬制自白により、被告が本件写真を複製し、被告サイトにアップロードして公衆送信したことによって原告の本件写真についての著作権(複製権、公衆送信権)を侵害したこと、また、アダルトサイトへの使用が原告の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為であるとして、原告の著作者人格権を侵害したとみなされること(113条7項)も認められています(4頁)。

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2 損害論

(1)逸失利益(114条3項)
   3万2400円

(2)著作者人格権侵害に係る慰謝料
   30万円

(3)弁護士費用相当額損害
   3万円

合計 36万2400円 (4頁以下)。

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■コメント

原告の岩崎拓哉さんから昨年、本件の判決文を頂いていましたが、年が明けて最高裁判所サイトで判決内容が公開された旨情報を頂きました。プロバイダが情報を任意に開示したため、前段階の発信者情報開示請求訴訟はなかったとのことです。
被告が対応せず擬制自白となりますが、権利者側の違法配信に対する地道な対応には頭が下がります。

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夜景写真発信者情報開示事件(対エキサイト)
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