最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ブライダル映像事件(控訴審)
大阪高裁令和1.11.7令和1(ネ)1187著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
別紙1
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 倉地康弘
裁判官 三井教匡
*裁判所サイト公表 2019.11.27
*キーワード:映画の著作権、ブライダル、映画製作者、音楽著作権使用料、著作者人格権
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■事案
ブライダル映像製作に関して撮影者と発注元との間で紛争となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :映像製作事業者
被控訴人(1審被告):映像企画制作会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法29条、18条、19条、20条
1 被控訴人ビデオコンテンツ目録記載の著作物のうち本件ビデオを除くものの著作権の帰属
2 被控訴人は著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
3 著作者人格権侵害のおそれの有無
4 控訴審における控訴人の主張
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■事案の概要
『控訴人は,自己が原判決別紙被告らビデオコンテンツ目録記載の著作物について著作権及び著作者人格権を有しているとした上で,被控訴人及び原審被告P2らがこれを複製,頒布するおそれがあると主張して,被控訴人及び原審被告P2らに対し,著作権(複製権,頒布権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権,公表権)に基づき,(1)同目録記載の著作物の複製,頒布の差止め(著作権法112条1項),(2)同目録記載の著作物の廃棄(同条2項)を求めていた。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却した。
控訴人は,原判決中被控訴人に関する部分を不服として,本件控訴を提起した(原審被告P2らに関する部分は確定した。)。
控訴人は,当審において,著作物の複製,頒布の差止請求,著作物の廃棄請求の対象を別紙被控訴人ビデオコンテンツ目録記載の著作物とする(原判決別紙被告らビデオコンテンツ目録記載2について,平成27年4月18日に行われたP4及びP5の挙式及び披露宴のために制作された「オープニングムービー」,「プロフィールムービー」を追加し,同目録記載3について,「収録された管理著作物」を削除している。)とともに,不法行為(著作権侵害,著作者人格権侵害)に基づく損害賠償請求(慰謝料200万円)を追加した。』
(3頁)
本件ビデオ:原判決別紙被告らビデオコンテンツ目録記載1及び2の「記録ビデオ」(本件記録ビデオ)と原告撮影ビデオ
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■判決内容
<争点>
1 被控訴人ビデオコンテンツ目録記載の著作物のうち本件ビデオ(原告撮影ビデオ及び本件記録ビデオ)を除くものの著作権の帰属
被控訴人ビデオコンテンツ目録記載1及び2の著作物について、「プロフィールビデオ」「フォトムービー」及び「エンドロール」は、新郎新婦の依頼があった場合に控訴人が撮影するビデオとは別に被控訴人が製作し、披露宴で上映されるのであり、控訴人はその作業に関与していないとして、控訴審は、控訴人は著作者ではなく、著作権及び著作者人格権を有するものではないと判断しています(6頁以下)。
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2 被控訴人は著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
控訴審も著作権法29条1項により本件記録ビデオの著作権は被控訴人に帰属し、控訴人は著作権を有しないと判断しています(7頁以下)。
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3 著作者人格権侵害のおそれの有無
(1)同一性保持権について
原告撮影ビデオについて、控訴人は被控訴人がこれを適宜編集することを承諾していたと認められるとして、本件記録ビデオは控訴人の同一性保持権を侵害して製作されたものではないと控訴審は判断しています(10頁以下)。
(2)氏名表示権について
被控訴人が、本件記録ビデオの製作を依頼した新郎新婦以外のために本件記録ビデオを新たに複製し、頒布した事実を認める証拠はなく、また、将来そのようなことをするとは考え難いとして、被控訴人が控訴人の氏名表示権を侵害するおそれがあるとは認められないと判断しています。
(3)公表権について
被控訴人が、本件記録ビデオを公表(著作権法4条,3条)した事実を認める証拠はなく、将来そのようなことをするとは考えがたいとして、被控訴人が控訴人の公表権を侵害するおそれがあるとは認められないと判断しています。
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4 控訴審における控訴人の主張
著作権(複製権及び翻案権)侵害、著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権、公表権)侵害に関する控訴審での追加請求について、いずれも控訴人の主張を控訴審は認めていません(11頁)。
結論として、控訴は棄却されています。
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■コメント
結論としては原審の判断が控訴審でも維持されています。
原審では挙式に関わる新郎新婦2組も被告とされていましたが、控訴審では対象とされていません。
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■過去のブログ記事
大阪地裁平成31.3.25平成30(ワ)2082著作権侵害差止等請求事件
原審記事
ブライダル映像事件(控訴審)
大阪高裁令和1.11.7令和1(ネ)1187著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
別紙1
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官 倉地康弘
裁判官 三井教匡
*裁判所サイト公表 2019.11.27
*キーワード:映画の著作権、ブライダル、映画製作者、音楽著作権使用料、著作者人格権
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■事案
ブライダル映像製作に関して撮影者と発注元との間で紛争となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :映像製作事業者
被控訴人(1審被告):映像企画制作会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法29条、18条、19条、20条
1 被控訴人ビデオコンテンツ目録記載の著作物のうち本件ビデオを除くものの著作権の帰属
2 被控訴人は著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
3 著作者人格権侵害のおそれの有無
4 控訴審における控訴人の主張
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■事案の概要
『控訴人は,自己が原判決別紙被告らビデオコンテンツ目録記載の著作物について著作権及び著作者人格権を有しているとした上で,被控訴人及び原審被告P2らがこれを複製,頒布するおそれがあると主張して,被控訴人及び原審被告P2らに対し,著作権(複製権,頒布権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権,公表権)に基づき,(1)同目録記載の著作物の複製,頒布の差止め(著作権法112条1項),(2)同目録記載の著作物の廃棄(同条2項)を求めていた。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却した。
控訴人は,原判決中被控訴人に関する部分を不服として,本件控訴を提起した(原審被告P2らに関する部分は確定した。)。
控訴人は,当審において,著作物の複製,頒布の差止請求,著作物の廃棄請求の対象を別紙被控訴人ビデオコンテンツ目録記載の著作物とする(原判決別紙被告らビデオコンテンツ目録記載2について,平成27年4月18日に行われたP4及びP5の挙式及び披露宴のために制作された「オープニングムービー」,「プロフィールムービー」を追加し,同目録記載3について,「収録された管理著作物」を削除している。)とともに,不法行為(著作権侵害,著作者人格権侵害)に基づく損害賠償請求(慰謝料200万円)を追加した。』
(3頁)
本件ビデオ:原判決別紙被告らビデオコンテンツ目録記載1及び2の「記録ビデオ」(本件記録ビデオ)と原告撮影ビデオ
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■判決内容
<争点>
1 被控訴人ビデオコンテンツ目録記載の著作物のうち本件ビデオ(原告撮影ビデオ及び本件記録ビデオ)を除くものの著作権の帰属
被控訴人ビデオコンテンツ目録記載1及び2の著作物について、「プロフィールビデオ」「フォトムービー」及び「エンドロール」は、新郎新婦の依頼があった場合に控訴人が撮影するビデオとは別に被控訴人が製作し、披露宴で上映されるのであり、控訴人はその作業に関与していないとして、控訴審は、控訴人は著作者ではなく、著作権及び著作者人格権を有するものではないと判断しています(6頁以下)。
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2 被控訴人は著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
控訴審も著作権法29条1項により本件記録ビデオの著作権は被控訴人に帰属し、控訴人は著作権を有しないと判断しています(7頁以下)。
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3 著作者人格権侵害のおそれの有無
(1)同一性保持権について
原告撮影ビデオについて、控訴人は被控訴人がこれを適宜編集することを承諾していたと認められるとして、本件記録ビデオは控訴人の同一性保持権を侵害して製作されたものではないと控訴審は判断しています(10頁以下)。
(2)氏名表示権について
被控訴人が、本件記録ビデオの製作を依頼した新郎新婦以外のために本件記録ビデオを新たに複製し、頒布した事実を認める証拠はなく、また、将来そのようなことをするとは考え難いとして、被控訴人が控訴人の氏名表示権を侵害するおそれがあるとは認められないと判断しています。
(3)公表権について
被控訴人が、本件記録ビデオを公表(著作権法4条,3条)した事実を認める証拠はなく、将来そのようなことをするとは考えがたいとして、被控訴人が控訴人の公表権を侵害するおそれがあるとは認められないと判断しています。
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4 控訴審における控訴人の主張
著作権(複製権及び翻案権)侵害、著作者人格権(同一性保持権、氏名表示権、公表権)侵害に関する控訴審での追加請求について、いずれも控訴人の主張を控訴審は認めていません(11頁)。
結論として、控訴は棄却されています。
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■コメント
結論としては原審の判断が控訴審でも維持されています。
原審では挙式に関わる新郎新婦2組も被告とされていましたが、控訴審では対象とされていません。
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■過去のブログ記事
大阪地裁平成31.3.25平成30(ワ)2082著作権侵害差止等請求事件
原審記事