最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
FC2アダルト動画発信者情報開示請求事件
東京地裁令和1.9.4令和1(ワ)11739発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 三井大有
裁判官 今野智紀
*裁判所サイト公表 2019.9.24
*キーワード:発信者情報開示請求、著作者の推定
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■事案
アダルトビデオの違法アップロード事案について発信者情報開示がされた事案
原告:アダルトビデオ制作会社
被告:プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法23条、14条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 原告が本件作品の著作者であるか否か
2 原告が被告に対して被告保有情報の開示を請求し得るか否か
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■事案の概要
『本件は,原告が,インターネットの動画投稿サイトである「FC2動画」に原告が著作権を有する別紙作品目録記載の動画(以下「本件作品」という。)の一部を何者かが無断でアップロードしたことにより,原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるから,同アップロードをした者(以下「発信者」という。)への損害賠償請求権の行使等のために経由プロバイダである被告から発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるなどと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する別紙発信者情報目録記載の発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H30.09 本件作品を原告が販売
H30.09 原告が違法アップロードを発見
H30.11 米国ネバダ連邦地方裁判所に対してFC2社を相手方として情報開示申し立て
H30.12 FC2社が原告に対して本件IPアドレスを開示
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■判決内容
<争点>
1 原告が本件作品の著作者であるか否か
映画の著作物である本件作品のDVDのパッケージの裏面左下隅には「DEEP’S」の文字がそのロゴと共に表示されており、その下に「制作・著作・受審/ディープス」と表示されていることなどから、原告はこれをレーベル名として用いてアダルトビデオ作品を全国的に流通・販売しており、AV業界ではそのことが広く知られていると裁判所は認定。
原告の変名として周知の「ディープス」が著作者名として通常の方法により表示されているということができるとして、原告は本件作品の著作者と推定され、その推定を覆すに足りる証拠は存在しないとして、原告が本件作品の著作者であると判断しています(4頁)。
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2 原告が被告に対して被告保有情報の開示を請求し得るか否か
裁判所は、発信者が本件作品の一部の抜粋である本件動画を本件ウェブページにアップロードして送信可能化したことにより、原告の本件作品に係る著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであると判断。
また、FC2社が原告に開示した本件IPアドレスは発信者が本件動画をアップロードした際のIPアドレスであることが認められるとして、被告保有情報は原告の上記公衆送信権の侵害に係る発信者情報に当たると判断。
そして、原告は発信者に対して不法行為に基づく損害賠償等の請求をする予定であるから、そのために上記発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は認定。
結論として、原告は被告に対してプロバイダ責任制限法4条1項に基づいて被告保有情報の開示を請求することができると判断しています(4頁以下)。
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■コメント
アダルト動画の海賊版対策に関わる発信者情報開示の事案となります。
ちなみに令和元年に入っての提訴で9月の判決なので、迅速な対応です。
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■過去のブログ記事
FC2動画アダルトサイト無断配信事件4
東京地裁平成31.3.27平成30(ワ)34818発信者情報開示請求事件
アダルトビデオ海賊版発信者情報開示請求事件
東京地裁平成31.4.17平成30(ワ)38035発信者情報開示請求事件
アダルト動画発信者情報開示請求事件
東京地裁令和1.5.23平成30(ワ)39200発信者情報開示請求事件
FC2アダルト動画発信者情報開示請求事件
東京地裁令和1.9.4令和1(ワ)11739発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官 三井大有
裁判官 今野智紀
*裁判所サイト公表 2019.9.24
*キーワード:発信者情報開示請求、著作者の推定
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■事案
アダルトビデオの違法アップロード事案について発信者情報開示がされた事案
原告:アダルトビデオ制作会社
被告:プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法23条、14条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 原告が本件作品の著作者であるか否か
2 原告が被告に対して被告保有情報の開示を請求し得るか否か
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■事案の概要
『本件は,原告が,インターネットの動画投稿サイトである「FC2動画」に原告が著作権を有する別紙作品目録記載の動画(以下「本件作品」という。)の一部を何者かが無断でアップロードしたことにより,原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるから,同アップロードをした者(以下「発信者」という。)への損害賠償請求権の行使等のために経由プロバイダである被告から発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるなどと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する別紙発信者情報目録記載の発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H30.09 本件作品を原告が販売
H30.09 原告が違法アップロードを発見
H30.11 米国ネバダ連邦地方裁判所に対してFC2社を相手方として情報開示申し立て
H30.12 FC2社が原告に対して本件IPアドレスを開示
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■判決内容
<争点>
1 原告が本件作品の著作者であるか否か
映画の著作物である本件作品のDVDのパッケージの裏面左下隅には「DEEP’S」の文字がそのロゴと共に表示されており、その下に「制作・著作・受審/ディープス」と表示されていることなどから、原告はこれをレーベル名として用いてアダルトビデオ作品を全国的に流通・販売しており、AV業界ではそのことが広く知られていると裁判所は認定。
原告の変名として周知の「ディープス」が著作者名として通常の方法により表示されているということができるとして、原告は本件作品の著作者と推定され、その推定を覆すに足りる証拠は存在しないとして、原告が本件作品の著作者であると判断しています(4頁)。
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2 原告が被告に対して被告保有情報の開示を請求し得るか否か
裁判所は、発信者が本件作品の一部の抜粋である本件動画を本件ウェブページにアップロードして送信可能化したことにより、原告の本件作品に係る著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであると判断。
また、FC2社が原告に開示した本件IPアドレスは発信者が本件動画をアップロードした際のIPアドレスであることが認められるとして、被告保有情報は原告の上記公衆送信権の侵害に係る発信者情報に当たると判断。
そして、原告は発信者に対して不法行為に基づく損害賠償等の請求をする予定であるから、そのために上記発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は認定。
結論として、原告は被告に対してプロバイダ責任制限法4条1項に基づいて被告保有情報の開示を請求することができると判断しています(4頁以下)。
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■コメント
アダルト動画の海賊版対策に関わる発信者情報開示の事案となります。
ちなみに令和元年に入っての提訴で9月の判決なので、迅速な対応です。
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