最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「ツェッペリン飛行船と黙想」事件(控訴審)3
知財高裁令和1.8.7平成31(ネ)10026損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 高橋 彩
裁判官 菅 洋輝
*裁判所サイト公表 2019.8.26
*キーワード:編集著作者性
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■事案
書籍の編集著作者性が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :個人
被控訴人(1審被告):出版社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条2項、12条
1 控訴人が本件書籍の編集著作者であるか否か
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,編集著作物である原判決別紙書籍目録記載の書籍(本件書籍)の編集著作者であるところ,被控訴人による本件書籍の複製及び販売は,控訴人の有する編集著作物に係る編集著作権(複製権及び譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権)を侵害する行為である旨主張して,被控訴人に対し,著作権及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償金215万2000円(印税相当額の損害15万2000円及び慰謝料200万円の合計額)及びこれに対する不法行為の日である平成24年12月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,著作権法115条に基づき,編集著作者としての名誉及び声望の回復措置として謝罪広告等の掲載を求める事案である。』
『原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,控訴人がこれを不服として控訴するとともに,当審において,控訴の趣旨2項にかかる謝罪広告等を求める内容につき訴えを変更した。』
(1頁以下)
原審:横浜地方裁判所川崎支部平成30年(ワ)第476号
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■判決内容
<争点>
1 控訴人が本件書籍の編集著作者であるか否か
控訴人は、控訴審における補充主張として、編集著作物において素材の選択、配列を決定した者は問題とならず、配列を行ったのは控訴人であるなどと主張しました(4頁以下)。
この点について、控訴審は、
『しかしながら,控訴人の主張が,決定権限を持たずに素材の配列に関与した者,例えば,単なる原案,参考案の作成者や,相談を受けて参考意見を述べた者までがおよそ編集著作者となるというものであるとすれば,そのような主張は,著作者の概念を過度に拡張するものであって,採用することはできない。また,本件において本件書籍の分類項目を設け,選択された作品をこれらの分類項目に従って配列することを決定したのが被控訴人であることは先に引用した原判決認定のとおりであって,当審における控訴人の主張を踏まえてもかかる認定は左右されない。』
と判断。また、控訴人は、被控訴人の前件訴訟における訴訟行為を捉えて本件において被控訴人は自分自身が編集著作者であると主張することは許されないなどと主張しました。
この点についても控訴審は、
『しかしながら,そもそも控訴人が前提とするところの,前件訴訟において被控訴人が編集著作者でないと自白し,本件書籍が編集著作物であれば控訴人が編集著作者であると認めたなどとする事実関係を裏付ける証拠はないから,控訴人の主張はその前提を欠くものである。かえって,控訴人による本件訴訟は,前件訴訟においてAが敗訴したことを受けて,原告を控訴人とするとともに,Aは控訴人の代理人であったなどとして,実質的には前件訴訟と同様の事実関係の主張を繰り返すものに過ぎず,前件訴訟の蒸し返しであるといわざるを得ない。』
として、控訴人の主張を認めていません。
結論として、控訴審でも原審の判断を維持しています。
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■コメント
原審の内容が分からないため正確には把握できませんが、「ツェッペリン飛行船と黙想」事件の関係者による3つ目の訴訟ではないかと推測されます。
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■過去のブログ記事
知財高裁平成28.1.27平成27(ネ)10022損害賠償等請求控訴事件
「ツェッペリン飛行船と黙想」事件(控訴審)
知財高裁平成30.3.19平成30(ネ)10008独立当事者参加事件
「ツェッペリン飛行船と黙想」独立当事者加事件2
「ツェッペリン飛行船と黙想」事件(控訴審)3
知財高裁令和1.8.7平成31(ネ)10026損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 高橋 彩
裁判官 菅 洋輝
*裁判所サイト公表 2019.8.26
*キーワード:編集著作者性
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■事案
書籍の編集著作者性が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :個人
被控訴人(1審被告):出版社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条2項、12条
1 控訴人が本件書籍の編集著作者であるか否か
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,編集著作物である原判決別紙書籍目録記載の書籍(本件書籍)の編集著作者であるところ,被控訴人による本件書籍の複製及び販売は,控訴人の有する編集著作物に係る編集著作権(複製権及び譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権)を侵害する行為である旨主張して,被控訴人に対し,著作権及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償金215万2000円(印税相当額の損害15万2000円及び慰謝料200万円の合計額)及びこれに対する不法行為の日である平成24年12月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,著作権法115条に基づき,編集著作者としての名誉及び声望の回復措置として謝罪広告等の掲載を求める事案である。』
『原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したところ,控訴人がこれを不服として控訴するとともに,当審において,控訴の趣旨2項にかかる謝罪広告等を求める内容につき訴えを変更した。』
(1頁以下)
原審:横浜地方裁判所川崎支部平成30年(ワ)第476号
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■判決内容
<争点>
1 控訴人が本件書籍の編集著作者であるか否か
控訴人は、控訴審における補充主張として、編集著作物において素材の選択、配列を決定した者は問題とならず、配列を行ったのは控訴人であるなどと主張しました(4頁以下)。
この点について、控訴審は、
『しかしながら,控訴人の主張が,決定権限を持たずに素材の配列に関与した者,例えば,単なる原案,参考案の作成者や,相談を受けて参考意見を述べた者までがおよそ編集著作者となるというものであるとすれば,そのような主張は,著作者の概念を過度に拡張するものであって,採用することはできない。また,本件において本件書籍の分類項目を設け,選択された作品をこれらの分類項目に従って配列することを決定したのが被控訴人であることは先に引用した原判決認定のとおりであって,当審における控訴人の主張を踏まえてもかかる認定は左右されない。』
と判断。また、控訴人は、被控訴人の前件訴訟における訴訟行為を捉えて本件において被控訴人は自分自身が編集著作者であると主張することは許されないなどと主張しました。
この点についても控訴審は、
『しかしながら,そもそも控訴人が前提とするところの,前件訴訟において被控訴人が編集著作者でないと自白し,本件書籍が編集著作物であれば控訴人が編集著作者であると認めたなどとする事実関係を裏付ける証拠はないから,控訴人の主張はその前提を欠くものである。かえって,控訴人による本件訴訟は,前件訴訟においてAが敗訴したことを受けて,原告を控訴人とするとともに,Aは控訴人の代理人であったなどとして,実質的には前件訴訟と同様の事実関係の主張を繰り返すものに過ぎず,前件訴訟の蒸し返しであるといわざるを得ない。』
として、控訴人の主張を認めていません。
結論として、控訴審でも原審の判断を維持しています。
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■コメント
原審の内容が分からないため正確には把握できませんが、「ツェッペリン飛行船と黙想」事件の関係者による3つ目の訴訟ではないかと推測されます。
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「ツェッペリン飛行船と黙想」事件(控訴審)
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「ツェッペリン飛行船と黙想」独立当事者加事件2