最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

コンタクトレンズ販売チラシ事件(控訴審)

大阪高裁令和1.7.25平成31(ネ)500損害賠償請求控訴事件PDF

大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官    倉地康弘
裁判官    久保井恵子

*裁判所サイト公表 2019.8.
*キーワード:チラシ、著作物性、競業避止義務違反、一般不法行為論

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■事案

コンタクトレンズ販売用のチラシの著作物性などが争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :コンタクトレンズ販売会社
被控訴人(1審被告):コンタクトレンズ販売会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号

1 本件チラシの著作物性
2 従業員の引抜きによる不法行為の成否
3 被控訴人の競業避止義務違反性
4 被告チラシの作成、頒布は控訴人の営業上保護された法的利益を侵害する不法行為に該当するか

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■事案の概要

『本件は,いずれもコンタクトレンズ販売店の経営等を行う会社である控訴人と被控訴人の間の損害賠償請求の事案である。
 控訴人は,被控訴人に対し,(1)被控訴人の頒布しているチラシが控訴人の著作権(複製権及び翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)を侵害しているとして不法行為に基づき損害金178万2000円及びこれに対する不法行為の後であるとする平成29年8月18日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,(2)被控訴人が控訴人の従業員を違法に引き抜いたとして不法行為に基づき損害金192万2092円及びこれに対する上記(1)と同様の遅延損害金の支払を求め,(3)被控訴人は控訴人との間のフランチャイズ契約又は信義則に基づき競業避止義務を負っているにもかかわらず,これに違反して控訴人の販売店の隣に販売店を設けて顧客を自店に誘導するなどしたので,債務不履行又は不法行為が成立し,競業避止義務を負わないとしても自由競争を逸脱する違法な競業行為による不法行為が成立するとして損害金550万円(ただし,損害の一部であるとする。)及びこれに対する請求の日の翌日である上記(1)と同じ日から支払済みまで商事法定利率年6分(不法行為に基づく場合は民法所定の年5分)の割合による遅延損害金の支払を求めている。
 原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため控訴人が控訴し,当審において上記(1)について請求原因を追加し,当該チラシの頒布による不法行為の保護法益は,著作権及び著作者人格権にとどまらず,控訴人の営業上保護された法的な利益一般でもあると主張した。』
(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本件チラシの著作物性
2 従業員の引抜きによる不法行為の成否
3 被控訴人の競業避止義務違反性

争点1から3まで、結論について原審の判断が控訴審でも維持されています(5頁以下)。

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4 被告チラシの作成、頒布は控訴人の営業上保護された法的利益を侵害する不法行為に該当するか

控訴審で追加された争点ですが(6頁以下)、控訴人は本件チラシが著作物と認められないとしても被告チラシの作成、頒布は控訴人に対する不法行為を構成すると主張しました。
この点について、控訴審は控訴人の主張を認めていません。

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■コメント

控訴審でも原審の判断が維持されています。

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■過去のブログ記事

大阪地裁平成31.1.24平成29(ワ)6322損害賠償請求事件
原審記事