最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ブライダル映像事件
大阪地裁平成31.3.25平成30(ワ)2082著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 高松宏之
裁判官 野上誠一
裁判官 大門宏一郎
*裁判所サイト公表 2019.ーー
*キーワード:映画の著作権、ブライダル、映画製作者、音楽著作権使用料
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■事案
ブライダル映像製作に関して撮影者と発注元との間で紛争となった事案
原告:映像製作事業者
被告:映像企画制作会社、挙式者
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法29条、18条、19条、20条
1 被告Beeは著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
2 著作者人格権侵害のおそれの有無
3 原告のその他の主張について
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■事案の概要
『本件は,原告が,自己が著作権及び著作者人格権を有する別紙被告らビデオコンテンツ目録記載の著作物について,被告らが複製,頒布するおそれがあると主張して,被告らに対し,(1)著作権(複製権,頒布権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権,公表権)に基づき,同目録記載の著作物の複製,頒布の差止めを求める(著作権法112条1項)とともに,(2)同目録記載の著作物の廃棄を求めた(同条2項)事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H20 被告Beeがホテルから婚礼等のビデオ撮影について受注
H26 被告Beeが原告に撮影を発注
H26 原告が被告P2、P3の挙式披露宴を撮影
H27 原告が被告P4、P5の挙式披露宴を撮影
H29 原告がジャスラックから使用料411万円請求を受ける
H29 被告Beeが原告を提訴(福岡地方裁判所小倉支部)、原告が反訴
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■判決内容
<争点>
1 被告Beeは著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
原告が撮影、編集した本件記録ビデオについて、裁判所は映画の著作物(2条3項、10条1項7号)であるとした上で、原告が著作者であるが(16条)、著作権の帰属については、被告Beeが全体としての婚礼ビデオの製作業務を統括していたこと、ビデオを完成させて納品するのも被告Beeであり、ビデオ内容の最終的決定は被告Beeがしたことなどから、裁判所は、本件記録ビデオの製作に発意と責任を有する者は被告Beeであり、被告Beeは「映画製作者」(29条1項)に当たると認めるのが相当であると判断。
そして、原告は被告Beeから委託を受けて原告撮影ビデオの撮影をしており、被告Beeに対して本件記録ビデオの製作に参加することを約束したものといえることから、29条1項により本件記録ビデオの著作権は被告Beeに帰属し、原告は著作権を有しないと裁判所は判断しています(10頁以下)。
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2 著作者人格権侵害のおそれの有無
同一性保持権について、裁判所は、本件記録ビデオは原告撮影ビデオを編集したものであるが、原告は被告Beeが原告撮影ビデオを適宜編集することを承諾していたと認められることから、本件記録ビデオは原告の同一性保持権を侵害して製作されたものではないと判断。
また、仮に、被告らが本件記録ビデオを複製、頒布するとしても意に反する改変を行うことにはならないとして、同一性保持権の侵害は生じないと裁判所は判断しています(13頁以下)。
また、氏名表示権、公表権について、被告らに侵害するおそれがあるとは認められていません。
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3 原告のその他の主張について
原告は、本件において本件ビデオに収録された楽曲の著作権使用料を被告Beeが負担することとなっていたにもかかわらず、被告Beeがそれを支払っていない結果として、本件ビデオは楽曲を違法に使用したものであると主張しました。
この点について、裁判所は、仮に原告の主張の通りであるとしても、そのことが原告の著作権の有無や被告らの侵害行為のおそれの有無に影響を及ぼすものではないとして、著作権の帰属や著作者人格権に関する判断を左右するものではないと裁判所は判断しています(14頁)。
結論として、原告の請求は認められていません。
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■コメント
ブライダル映像に音楽を利用していましたが、ジャスラックとの権利処理がされておらず、後日高額な請求を受けたことも紛争の一因のようです。
原告は発注先である被告会社のほか、ビデオ撮影した新郎新婦4組についても被告としており、新郎新婦としては晴れの舞台の記録映像について、思いがけない紛争に巻き込まれることになり、ブライダル映像制作に携わる者として、どうしてこうした対応に出たのか(ジャスラック対応のためか)、状況がよく理解できないところです。
ブライダル映像事件
大阪地裁平成31.3.25平成30(ワ)2082著作権侵害差止等請求事件PDF
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 高松宏之
裁判官 野上誠一
裁判官 大門宏一郎
*裁判所サイト公表 2019.ーー
*キーワード:映画の著作権、ブライダル、映画製作者、音楽著作権使用料
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■事案
ブライダル映像製作に関して撮影者と発注元との間で紛争となった事案
原告:映像製作事業者
被告:映像企画制作会社、挙式者
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法29条、18条、19条、20条
1 被告Beeは著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
2 著作者人格権侵害のおそれの有無
3 原告のその他の主張について
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■事案の概要
『本件は,原告が,自己が著作権及び著作者人格権を有する別紙被告らビデオコンテンツ目録記載の著作物について,被告らが複製,頒布するおそれがあると主張して,被告らに対し,(1)著作権(複製権,頒布権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権,公表権)に基づき,同目録記載の著作物の複製,頒布の差止めを求める(著作権法112条1項)とともに,(2)同目録記載の著作物の廃棄を求めた(同条2項)事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H20 被告Beeがホテルから婚礼等のビデオ撮影について受注
H26 被告Beeが原告に撮影を発注
H26 原告が被告P2、P3の挙式披露宴を撮影
H27 原告が被告P4、P5の挙式披露宴を撮影
H29 原告がジャスラックから使用料411万円請求を受ける
H29 被告Beeが原告を提訴(福岡地方裁判所小倉支部)、原告が反訴
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■判決内容
<争点>
1 被告Beeは著作権法29条1項により本件ビデオの著作権を取得したか
原告が撮影、編集した本件記録ビデオについて、裁判所は映画の著作物(2条3項、10条1項7号)であるとした上で、原告が著作者であるが(16条)、著作権の帰属については、被告Beeが全体としての婚礼ビデオの製作業務を統括していたこと、ビデオを完成させて納品するのも被告Beeであり、ビデオ内容の最終的決定は被告Beeがしたことなどから、裁判所は、本件記録ビデオの製作に発意と責任を有する者は被告Beeであり、被告Beeは「映画製作者」(29条1項)に当たると認めるのが相当であると判断。
そして、原告は被告Beeから委託を受けて原告撮影ビデオの撮影をしており、被告Beeに対して本件記録ビデオの製作に参加することを約束したものといえることから、29条1項により本件記録ビデオの著作権は被告Beeに帰属し、原告は著作権を有しないと裁判所は判断しています(10頁以下)。
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2 著作者人格権侵害のおそれの有無
同一性保持権について、裁判所は、本件記録ビデオは原告撮影ビデオを編集したものであるが、原告は被告Beeが原告撮影ビデオを適宜編集することを承諾していたと認められることから、本件記録ビデオは原告の同一性保持権を侵害して製作されたものではないと判断。
また、仮に、被告らが本件記録ビデオを複製、頒布するとしても意に反する改変を行うことにはならないとして、同一性保持権の侵害は生じないと裁判所は判断しています(13頁以下)。
また、氏名表示権、公表権について、被告らに侵害するおそれがあるとは認められていません。
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3 原告のその他の主張について
原告は、本件において本件ビデオに収録された楽曲の著作権使用料を被告Beeが負担することとなっていたにもかかわらず、被告Beeがそれを支払っていない結果として、本件ビデオは楽曲を違法に使用したものであると主張しました。
この点について、裁判所は、仮に原告の主張の通りであるとしても、そのことが原告の著作権の有無や被告らの侵害行為のおそれの有無に影響を及ぼすものではないとして、著作権の帰属や著作者人格権に関する判断を左右するものではないと裁判所は判断しています(14頁)。
結論として、原告の請求は認められていません。
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■コメント
ブライダル映像に音楽を利用していましたが、ジャスラックとの権利処理がされておらず、後日高額な請求を受けたことも紛争の一因のようです。
原告は発注先である被告会社のほか、ビデオ撮影した新郎新婦4組についても被告としており、新郎新婦としては晴れの舞台の記録映像について、思いがけない紛争に巻き込まれることになり、ブライダル映像制作に携わる者として、どうしてこうした対応に出たのか(ジャスラック対応のためか)、状況がよく理解できないところです。