最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
緊縛写真Twitter無断使用事件
東京地裁平成30.9.24平成29(ワ)41277損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官 奥 俊彦
裁判官 高櫻慎平
*裁判所サイト公表 2018.10.12
*キーワード:写真、著作物性、無断使用、Twitter、プライバシー権、肖像権
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■事案
写真を無断でTwitterに掲載された事案
原告:個人
被告:個人
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、23条、114条3項、民法710条
1 著作権侵害の成否
2 プライバシー権侵害の成否
3 肖像権侵害の成否
4 故意・過失の有無
5 損害論
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告において原告が被写体となっている写真1点(訴状別紙原告写真目録記載の写真。以下「本件写真」という。)を原告に無断で複製してインターネット上の短文投稿サイトTwitter(以下「ツイッター」という。)上にアップロードした行為が,原告の当該写真に係る著作権(複製権及び公衆送信権),肖像権及びプライバシー権を侵害すると主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,著作権法114条3項による使用料相当額12万1500円,慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計232万1500円及びこれに対する不法行為後である平成29年12月16日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H25.06 原告と訴外Cが本件写真を創作
H28.05 原告が「D」アカウントでTwitter登録
H29.10 CのTwitterに本件写真掲載
被告が自己のTwitterに本件写真掲載
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■判決内容
<争点>
1 著作権侵害の成否
本件写真の著作物性(著作権法2条1項1号)について、裁判所は、
『本件写真は,民家風の建物の畳敷きの室内において,鞭を持って座っている男性の正面に,女性が縄で緊縛された状態で柱に吊るされている状況が撮影されたものであるところ,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,被写体と光線との関係,陰影の付け方,部分の強調,背景等の総合的な表現に撮影者等の個性が表れており,創作性が認められ,著作物に当たる。』
(6頁以下)
と判断しています。
その上で、著作権侵害性について、裁判所は、本件写真が訴外Cと原告が共同して創作したものであり、また、訴外Cから本件写真の著作権が原告に譲渡されていたと認定。
被告が原告に無断で自己のTwitter上に本件写真を複製した上でアップロードした行為は、原告の複製権及び公衆送信権を侵害すると判断しています。
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2 プライバシー権侵害の成否
本件写真が緊縛写真であり、裁判所は、被写体の女性においてはその内容に照らして、一般人の感受性を基準にすれば、公開を欲しないものといえるとして、このような写真を本人の許諾なく公開することはプライバシー権を侵害し得るものであると判断。
もっとも、本件写真のみからは被写体の向き等により被写体の女性が原告であると同定することはできないものであるものの、原告と被告が知り合いであったこと等から原告及び被告のツイッター仲間からすれば、被告のツイッター上に掲載された本件写真の被写体の女性が原告であると同定することは可能であると裁判所は判断。
結論として、被告による原告のプライバシー権侵害を肯定しています(8頁以下)。
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3 肖像権侵害の成否
さらに裁判所は、
『肖像権と呼ぶかは別として,人は,自己の容ぼう,姿態を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益を有すると解される(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁参照)ところ,本件写真は,原告の姿態が撮影されたものであり,前記(1)のとおり,被写体の女性において,その内容に照らして公開を欲しないものというべきであり,また,前記(2)のとおり,被写体の女性が原告であるとの同定も可能であるから,原告の意に反してこれをツイッター上にアップロードすること(本件被告行為)は,原告の上記人格的利益を違法に侵害する』
と判断。
裁判所は被告による原告の肖像権(人格的利益)侵害を肯定しています(9頁)。
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4 故意・過失の有無
裁判所は、原告の公開を欲しないであろう写真を暴露するために本件被告行為を行ったものといえるとして、プライバシー権及び人格的利益の侵害について被告は故意を有していたものと認められるし、また、著作権侵害についても少なくとも過失が認められると判断しています(9頁以下)。
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5 損害論
裁判所は、損害論について、以下のように認定しています(10頁以下)。
(1)著作権侵害による損害(著作権法114条3項)
12万1500円
(2)プライバシー権、人格的利益の侵害による慰謝料
30万円
(3)弁護士費用相当額損害
5万
合計47万1500円
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■コメント
著作権侵害論については大きな論点とはなっておらず、プライバシー権侵害論や損害論が参考になるところです。
緊縛写真Twitter無断使用事件
東京地裁平成30.9.24平成29(ワ)41277損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官 奥 俊彦
裁判官 高櫻慎平
*裁判所サイト公表 2018.10.12
*キーワード:写真、著作物性、無断使用、Twitter、プライバシー権、肖像権
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■事案
写真を無断でTwitterに掲載された事案
原告:個人
被告:個人
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、23条、114条3項、民法710条
1 著作権侵害の成否
2 プライバシー権侵害の成否
3 肖像権侵害の成否
4 故意・過失の有無
5 損害論
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告において原告が被写体となっている写真1点(訴状別紙原告写真目録記載の写真。以下「本件写真」という。)を原告に無断で複製してインターネット上の短文投稿サイトTwitter(以下「ツイッター」という。)上にアップロードした行為が,原告の当該写真に係る著作権(複製権及び公衆送信権),肖像権及びプライバシー権を侵害すると主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,著作権法114条3項による使用料相当額12万1500円,慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計232万1500円及びこれに対する不法行為後である平成29年12月16日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
H25.06 原告と訴外Cが本件写真を創作
H28.05 原告が「D」アカウントでTwitter登録
H29.10 CのTwitterに本件写真掲載
被告が自己のTwitterに本件写真掲載
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■判決内容
<争点>
1 著作権侵害の成否
本件写真の著作物性(著作権法2条1項1号)について、裁判所は、
『本件写真は,民家風の建物の畳敷きの室内において,鞭を持って座っている男性の正面に,女性が縄で緊縛された状態で柱に吊るされている状況が撮影されたものであるところ,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,被写体と光線との関係,陰影の付け方,部分の強調,背景等の総合的な表現に撮影者等の個性が表れており,創作性が認められ,著作物に当たる。』
(6頁以下)
と判断しています。
その上で、著作権侵害性について、裁判所は、本件写真が訴外Cと原告が共同して創作したものであり、また、訴外Cから本件写真の著作権が原告に譲渡されていたと認定。
被告が原告に無断で自己のTwitter上に本件写真を複製した上でアップロードした行為は、原告の複製権及び公衆送信権を侵害すると判断しています。
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2 プライバシー権侵害の成否
本件写真が緊縛写真であり、裁判所は、被写体の女性においてはその内容に照らして、一般人の感受性を基準にすれば、公開を欲しないものといえるとして、このような写真を本人の許諾なく公開することはプライバシー権を侵害し得るものであると判断。
もっとも、本件写真のみからは被写体の向き等により被写体の女性が原告であると同定することはできないものであるものの、原告と被告が知り合いであったこと等から原告及び被告のツイッター仲間からすれば、被告のツイッター上に掲載された本件写真の被写体の女性が原告であると同定することは可能であると裁判所は判断。
結論として、被告による原告のプライバシー権侵害を肯定しています(8頁以下)。
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3 肖像権侵害の成否
さらに裁判所は、
『肖像権と呼ぶかは別として,人は,自己の容ぼう,姿態を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益を有すると解される(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁参照)ところ,本件写真は,原告の姿態が撮影されたものであり,前記(1)のとおり,被写体の女性において,その内容に照らして公開を欲しないものというべきであり,また,前記(2)のとおり,被写体の女性が原告であるとの同定も可能であるから,原告の意に反してこれをツイッター上にアップロードすること(本件被告行為)は,原告の上記人格的利益を違法に侵害する』
と判断。
裁判所は被告による原告の肖像権(人格的利益)侵害を肯定しています(9頁)。
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4 故意・過失の有無
裁判所は、原告の公開を欲しないであろう写真を暴露するために本件被告行為を行ったものといえるとして、プライバシー権及び人格的利益の侵害について被告は故意を有していたものと認められるし、また、著作権侵害についても少なくとも過失が認められると判断しています(9頁以下)。
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5 損害論
裁判所は、損害論について、以下のように認定しています(10頁以下)。
(1)著作権侵害による損害(著作権法114条3項)
12万1500円
(2)プライバシー権、人格的利益の侵害による慰謝料
30万円
(3)弁護士費用相当額損害
5万
合計47万1500円
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■コメント
著作権侵害論については大きな論点とはなっておらず、プライバシー権侵害論や損害論が参考になるところです。