最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
5tion専属契約報酬未払い事件
東京地裁平成30.8.30平成28(ワ)6073等報酬金支払等請求事件(本訴)過払報酬金返還請求事件(反訴)PDF
別紙1
別紙2
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官 奥 俊彦
裁判官 高桜慎平
*裁判所サイト公表 2018.9.12
*キーワード:専属契約、マネジメント契約、債務不履行
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■事案
K-POPアイドルグループが専属事務所との間で報酬支払いなどを巡って紛争になった事案
本訴原告・反訴被告:グループアーティスト4名
本訴被告・反訴原告:芸能マネジメント会社
--------------------
■結論
本訴請求一部認容、反訴請求棄却
--------------------
■争点
条文 民法415条
1 報酬1及び報酬2の算定において収益から経費を控除すべきか
2 報酬2における原告らへの分配の割合
3 平成27年3月の被告による公演開催義務違反の有無
4 報酬1ないし報酬3における売上、経費及び既払金の額
5 報酬1ないし報酬3の支払時期
6 未払報酬額ないし過払報酬額
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■事案の概要
『本件は,原告らが,エンターテイメント事業を行う被告との間でマネジメント委託等を内容とする専属契約及び附属合意(以下,併せて「本件契約」という。)を平成25年8月に締結し,グループ名「5tion」としてアーティスト活動をしていたところ,被告が本件契約に定められた報酬を支払わず,また,本件契約に定められた公演を開催しなかったことにより報酬を得られなかったと主張して,被告に対し,本件契約に基づく未払報酬請求及び債務不履行に基づく損害賠償請求として,原告Aにおいて,847万9821円及びこれに対する本件契約終了以後である平成27年8月5日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,原告Bにおいて,916万3409円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を,原告Cにおいて,872万3600円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を,原告Dにおいて,916万3409円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求める(本訴請求)のに対し,被告が,原告らに支払った報酬が過払いであったと主張して,原告らに対し,不当利得返還請求として,それぞれ236万8765円及びこれに対する不当利得発生後である平成28年9月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(反訴請求)事案である。』
(2頁以下)
<経緯>
H13.12 5tionが韓国で結成
H25.08 原告らが被告と専属契約締結
H27.08 専属契約終了
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■判決内容
<争点>
1 報酬1及び報酬2の算定において収益から経費を控除すべきか
結論として、裁判所は、附属合意書1項及び2項における分配の対象となる収益とは、専属契約書10条で定められているように収入から経費を控除した金額をいうものと解すべきであるとして、報酬1及び報酬2の算定においては、収益から経費を控除すべきものと認めるのが相当であると判断しています(33頁以下)。
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2 報酬2における原告らへの分配の割合
裁判所は、報酬2における原告らへの分配割合は70%であると判断しています(36頁以下)。
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3 平成27年3月の被告による公演開催義務違反の有無
原告らは、被告が附属合意書8項において、原告らに対してSHOW BOXにおける公演を1か月当たり(最低でも)10回以上開催する義務を負っているにもかかわらず、平成27年3月はSHOW BOXにおける公演は一切開催されなかったため公演開催義務に違反していると主張しました。
この点について、裁判所は、被告が契約上公演開催義務を負っているとは認められないと判断。
原告の主張を容れていません。
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4 報酬1ないし報酬3における売上、経費及び既払金の額
報酬1ないし報酬3における売上、経費及び既払金の額の認定について、裁判所は、まず、売上及び既払金に関しては、明細書が存在する期間については明細書記載の金額を採用し、明細書が存在しない期間ないし活動内容については、原告らが主張する限りで被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳記載の金額を採用すると判断。
次に、経費に関しては、裁判所は、被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳記載の金額を採用すると判断しています。
結論として、別紙1ないし3の内容を認定しています(38頁以下)。
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5 報酬1ないし報酬3の支払時期
報酬1ないし報酬3の支払時期について、専属契約書及び附属合意書には何ら定めがなく、原告らは月ごとであると主張し、被告は契約終了時であると主張しました。裁判所は、原告らと被告との間では報酬の支払時期について、概ね月ごとに支払う旨の合意があったと認定。原告の主張を認めています(41頁以下)。
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6 未払報酬額ないし過払報酬額
結論として、裁判所は、報酬1ないし報酬3における未払報酬額の合計は一人当たり329万6597円と認定。原告個々人の既払い部分を控除して未払報酬額を認定しています(44頁以下)。
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■コメント
争点を見ると、芸能人と事務所の間の専属契約書の規定がそもそも曖昧な部分もあったようです。
グループ名でネット検索すると、メンバー脱退・加入や事務所との紛争など、いくつか記事が出てきます。
5tion専属契約報酬未払い事件
東京地裁平成30.8.30平成28(ワ)6073等報酬金支払等請求事件(本訴)過払報酬金返還請求事件(反訴)PDF
別紙1
別紙2
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官 奥 俊彦
裁判官 高桜慎平
*裁判所サイト公表 2018.9.12
*キーワード:専属契約、マネジメント契約、債務不履行
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■事案
K-POPアイドルグループが専属事務所との間で報酬支払いなどを巡って紛争になった事案
本訴原告・反訴被告:グループアーティスト4名
本訴被告・反訴原告:芸能マネジメント会社
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■結論
本訴請求一部認容、反訴請求棄却
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■争点
条文 民法415条
1 報酬1及び報酬2の算定において収益から経費を控除すべきか
2 報酬2における原告らへの分配の割合
3 平成27年3月の被告による公演開催義務違反の有無
4 報酬1ないし報酬3における売上、経費及び既払金の額
5 報酬1ないし報酬3の支払時期
6 未払報酬額ないし過払報酬額
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■事案の概要
『本件は,原告らが,エンターテイメント事業を行う被告との間でマネジメント委託等を内容とする専属契約及び附属合意(以下,併せて「本件契約」という。)を平成25年8月に締結し,グループ名「5tion」としてアーティスト活動をしていたところ,被告が本件契約に定められた報酬を支払わず,また,本件契約に定められた公演を開催しなかったことにより報酬を得られなかったと主張して,被告に対し,本件契約に基づく未払報酬請求及び債務不履行に基づく損害賠償請求として,原告Aにおいて,847万9821円及びこれに対する本件契約終了以後である平成27年8月5日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を,原告Bにおいて,916万3409円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を,原告Cにおいて,872万3600円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を,原告Dにおいて,916万3409円及びこれに対する同日から支払済みまで同割合による遅延損害金の支払を求める(本訴請求)のに対し,被告が,原告らに支払った報酬が過払いであったと主張して,原告らに対し,不当利得返還請求として,それぞれ236万8765円及びこれに対する不当利得発生後である平成28年9月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(反訴請求)事案である。』
(2頁以下)
<経緯>
H13.12 5tionが韓国で結成
H25.08 原告らが被告と専属契約締結
H27.08 専属契約終了
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■判決内容
<争点>
1 報酬1及び報酬2の算定において収益から経費を控除すべきか
結論として、裁判所は、附属合意書1項及び2項における分配の対象となる収益とは、専属契約書10条で定められているように収入から経費を控除した金額をいうものと解すべきであるとして、報酬1及び報酬2の算定においては、収益から経費を控除すべきものと認めるのが相当であると判断しています(33頁以下)。
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2 報酬2における原告らへの分配の割合
裁判所は、報酬2における原告らへの分配割合は70%であると判断しています(36頁以下)。
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3 平成27年3月の被告による公演開催義務違反の有無
原告らは、被告が附属合意書8項において、原告らに対してSHOW BOXにおける公演を1か月当たり(最低でも)10回以上開催する義務を負っているにもかかわらず、平成27年3月はSHOW BOXにおける公演は一切開催されなかったため公演開催義務に違反していると主張しました。
この点について、裁判所は、被告が契約上公演開催義務を負っているとは認められないと判断。
原告の主張を容れていません。
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4 報酬1ないし報酬3における売上、経費及び既払金の額
報酬1ないし報酬3における売上、経費及び既払金の額の認定について、裁判所は、まず、売上及び既払金に関しては、明細書が存在する期間については明細書記載の金額を採用し、明細書が存在しない期間ないし活動内容については、原告らが主張する限りで被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳記載の金額を採用すると判断。
次に、経費に関しては、裁判所は、被告及びスーパーリッチ社の総勘定元帳記載の金額を採用すると判断しています。
結論として、別紙1ないし3の内容を認定しています(38頁以下)。
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5 報酬1ないし報酬3の支払時期
報酬1ないし報酬3の支払時期について、専属契約書及び附属合意書には何ら定めがなく、原告らは月ごとであると主張し、被告は契約終了時であると主張しました。裁判所は、原告らと被告との間では報酬の支払時期について、概ね月ごとに支払う旨の合意があったと認定。原告の主張を認めています(41頁以下)。
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6 未払報酬額ないし過払報酬額
結論として、裁判所は、報酬1ないし報酬3における未払報酬額の合計は一人当たり329万6597円と認定。原告個々人の既払い部分を控除して未払報酬額を認定しています(44頁以下)。
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■コメント
争点を見ると、芸能人と事務所の間の専属契約書の規定がそもそも曖昧な部分もあったようです。
グループ名でネット検索すると、メンバー脱退・加入や事務所との紛争など、いくつか記事が出てきます。