最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
芸能プロダクション業務提携解消事件
大阪地裁平成30.5.10平成28(ワ)5587営業権確認等請求事件等PDF
別紙1 歌詞目録2
別紙2 楽曲目録
別紙3 動産目録
別紙4 CD販売一覧表
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 森崎英二
裁判官 野上誠一
裁判官 大川潤子
*裁判所サイト公表 2018.6.4
*キーワード:プロダクション、業務提携解消、合意
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■事案
芸能プロダクション業務における業務提携解消の際の合意内容が争点となった事案
原告:プロダクション事業者
被告:芸能プロダクション、代表取締役P2
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 民法415条
1 本件グループの各メンバーと被告モデル屋本舗との間に別紙契約目録記載の各契約が存在するか
2 原告は別紙債務目録記載1の債務を被告モデル屋本舗に対し同目録記載2、3の債務をP2に対して負っているか
3 原告は別紙動産目録記載の動産について所有権を有するか
4 原告は別紙楽曲目録記載の楽曲及び別紙歌詞目録記載の歌詞について著作権を有するか
5 被告モデル屋本舗は別紙不動産目録記載の不動産について転借権を有するか
6 平成26年11月28日にされた合意又はその債務不履行に基づく被告モデル屋本舗の原告に対する請求権の存否
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■事案の概要
『本件本訴請求事件は,別紙本件グループメンバー表記載のグループ名のアイドルグループ(以下「本件グループ」という。)に属する同表記載1ないし7のメンバー(以下,各メンバーを同表の番号に従い,「メンバー1」などという。)とマネジメント契約を締結している原告が,被告モデル屋本舗に対し,上記第1の1(1)ないし(6)で特定される権利義務の存在ないし不存在の確認を求めるほか,P2に対しては別紙債務目録記載2,3の債務が存在しないことの確認を求めた事案である。
本件反訴請求事件は,上記原告の主張を争う被告モデル屋本舗が,原告に対し,(1)本件グループの公演1回当たり1万円を支払うとの合意に基づく未払分の197万円,(2)CDの売上げに伴う支払についての合意に基づく未払分の300万0500円,及び(3)本件グループが公演場所とする不動産の使用方法の合意の債務不履行に基づく損害434万円の合計額931万0500円並びにうち622万0500円((1)の内金102万円,(2)の内金220万0500円,(3)の内金300万円の合計額)に対する反訴状送達の日の翌日である平成29年3月30日から,内金309万円((1)の内金95万円,(2)の内金80万円,(3)の内金134万円の合計額)に対する反訴請求に係る訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成30年2月6日から,それぞれ支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(3頁)
<経緯>
H24 被告モデル屋店舗が商店街活性化プロジェクト「DIVA FACTORY」立ち上げ
H24 原告がマネージャーとして関与
H24 本件グループが活動開始。各メンバーが被告モデル屋本舗とマネジメント契約締結
H25 原告が賃借人として本件不動産賃貸借契約締結
H26 メンバーAが本件グループを脱退、本件話合い実施
本件グループ各メンバーと被告モデル屋本舗間のマネジメント契約解除合意
H27 原告が被告モデル屋本舗宛てに合意書を送信
被告モデル屋本舗が楽曲及び歌詞の著作物(本件著作物)等の使用拒絶通知書送信
H28 原告が本件訴訟提起
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■判決内容
<争点>
1 本件グループの各メンバーと被告モデル屋本舗との間に別紙契約目録記載の各契約が存在するか
原告は、被告モデル屋本舗とメンバー1ないし7との間の契約という、原告自身が権利義務の主体でない契約の不存在の確認を求めました。
この点について、裁判所は、被告モデル屋本舗とメンバー1ないし7との間の契約が存在しないことが確認されたとしても、原告とメンバー1ないし7との間に契約があることが確認される、すなわち原告の実体法的地位を確保できる関係にあるわけではないとして、原告の求める確認の訴えについて原告に適格があるということはできないと判断。原告のこの点についての訴えは不適法と判断しています(21頁以下)。
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2 原告は別紙債務目録記載1の債務を被告モデル屋本舗に対し同目録記載2、3の債務をP2に対して負っているか
原告と被告モデル屋本舗との間で別紙債務目録記載1の債務の不存在を確認する利益があるとはいえないとして、その確認を求める訴えは不適法であると裁判所は判断。
また、原告とP2との間で別紙債務目録記載2、3の債務の不存在を確認する利益があるとはいえないとして、この点についても、その確認を求める訴えはいずれも不適法であると判断しています(22頁以下)。
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3 原告は別紙動産目録記載の動産について所有権を有するか
本件グループのイベントに来たファンに販売するDVDやグッズといった動産の所有権の帰属について、原告の所有であることが認められていません(23頁以下)。
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4 原告は別紙楽曲目録記載の楽曲及び別紙歌詞目録記載の歌詞について著作権を有するか
本件楽曲の著作権について、本件話合い後も本件楽曲の著作権は被告モデル屋本舗が有していることに変わりはないとして、裁判所は、その権利者であることの確認を求める原告の請求には理由がないと判断しています(24頁以下)。
本件歌詞の著作権については、歌詞1ないし6に関しては、原告が著作者で原始的には著作権者でした。その後、JASRACで管理されていましたが、原告から被告モデル屋本舗への著作権譲渡がされた事実が認定されず、原告が著作権者であると判断されています。
歌詞7に関しては、原告はP3との共同著作であることなどを主張しましたが、結論としては、原告が歌詞7の著作権を有すると認めることはできないと判断されています。
歌詞8ないし13に関しても、原告が著作権を有すると認めることはできないと判断されています。
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5 被告モデル屋本舗は別紙不動産目録記載の不動産について転借権を有するか
被告モデル屋本舗は原告に対して本件不動産の転借権を有していると裁判所は認定。その不存在の確認を求める原告の請求は認められていません(26頁以下)。
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6 平成26年11月28日にされた合意又はその債務不履行に基づく被告モデル屋本舗の原告に対する請求権の存否
被告モデル屋本舗の原告に対する反訴請求について、裁判所は、本件グループが本件不動産で公演をした場合の支払いに関する合意を踏まえ、原告の被告モデル屋本舗に対する未払額は、平成29年3月24日以前の対象公演69回分に相当する69万円と同月25日から平成30年2月8日までの対象公演74回分に相当する74万円とが認定されています(27頁以下)。
また、原告が本件グループのCDを販売した場合の支払いに関する合意に関しては、本件話合い以前に被告らの負担で制作されたCDを対象とした上で、未払額は平成29年3月24日以前に発生した未払分である17万5500円が認定されています。
なお、被告モデル屋本舗が本件不動産を第三者に利用させて収益を得る機会を原告が妨害したとして、その逸失利益の損害賠償を請求する点については、裁判所はこれを認めていません。
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■コメント
アイドルを展開する際に複数のプロダクションが協業する場合(業務提携)がありますが、その協力関係の詳細を細かく取り決めていなかったこともあって、協力関係を解消するにあたり、事後処理内容を合意で細かく詰め切れなかった事案となります。
芸能プロダクション業務提携解消事件
大阪地裁平成30.5.10平成28(ワ)5587営業権確認等請求事件等PDF
別紙1 歌詞目録2
別紙2 楽曲目録
別紙3 動産目録
別紙4 CD販売一覧表
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 森崎英二
裁判官 野上誠一
裁判官 大川潤子
*裁判所サイト公表 2018.6.4
*キーワード:プロダクション、業務提携解消、合意
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■事案
芸能プロダクション業務における業務提携解消の際の合意内容が争点となった事案
原告:プロダクション事業者
被告:芸能プロダクション、代表取締役P2
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 民法415条
1 本件グループの各メンバーと被告モデル屋本舗との間に別紙契約目録記載の各契約が存在するか
2 原告は別紙債務目録記載1の債務を被告モデル屋本舗に対し同目録記載2、3の債務をP2に対して負っているか
3 原告は別紙動産目録記載の動産について所有権を有するか
4 原告は別紙楽曲目録記載の楽曲及び別紙歌詞目録記載の歌詞について著作権を有するか
5 被告モデル屋本舗は別紙不動産目録記載の不動産について転借権を有するか
6 平成26年11月28日にされた合意又はその債務不履行に基づく被告モデル屋本舗の原告に対する請求権の存否
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■事案の概要
『本件本訴請求事件は,別紙本件グループメンバー表記載のグループ名のアイドルグループ(以下「本件グループ」という。)に属する同表記載1ないし7のメンバー(以下,各メンバーを同表の番号に従い,「メンバー1」などという。)とマネジメント契約を締結している原告が,被告モデル屋本舗に対し,上記第1の1(1)ないし(6)で特定される権利義務の存在ないし不存在の確認を求めるほか,P2に対しては別紙債務目録記載2,3の債務が存在しないことの確認を求めた事案である。
本件反訴請求事件は,上記原告の主張を争う被告モデル屋本舗が,原告に対し,(1)本件グループの公演1回当たり1万円を支払うとの合意に基づく未払分の197万円,(2)CDの売上げに伴う支払についての合意に基づく未払分の300万0500円,及び(3)本件グループが公演場所とする不動産の使用方法の合意の債務不履行に基づく損害434万円の合計額931万0500円並びにうち622万0500円((1)の内金102万円,(2)の内金220万0500円,(3)の内金300万円の合計額)に対する反訴状送達の日の翌日である平成29年3月30日から,内金309万円((1)の内金95万円,(2)の内金80万円,(3)の内金134万円の合計額)に対する反訴請求に係る訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成30年2月6日から,それぞれ支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(3頁)
<経緯>
H24 被告モデル屋店舗が商店街活性化プロジェクト「DIVA FACTORY」立ち上げ
H24 原告がマネージャーとして関与
H24 本件グループが活動開始。各メンバーが被告モデル屋本舗とマネジメント契約締結
H25 原告が賃借人として本件不動産賃貸借契約締結
H26 メンバーAが本件グループを脱退、本件話合い実施
本件グループ各メンバーと被告モデル屋本舗間のマネジメント契約解除合意
H27 原告が被告モデル屋本舗宛てに合意書を送信
被告モデル屋本舗が楽曲及び歌詞の著作物(本件著作物)等の使用拒絶通知書送信
H28 原告が本件訴訟提起
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■判決内容
<争点>
1 本件グループの各メンバーと被告モデル屋本舗との間に別紙契約目録記載の各契約が存在するか
原告は、被告モデル屋本舗とメンバー1ないし7との間の契約という、原告自身が権利義務の主体でない契約の不存在の確認を求めました。
この点について、裁判所は、被告モデル屋本舗とメンバー1ないし7との間の契約が存在しないことが確認されたとしても、原告とメンバー1ないし7との間に契約があることが確認される、すなわち原告の実体法的地位を確保できる関係にあるわけではないとして、原告の求める確認の訴えについて原告に適格があるということはできないと判断。原告のこの点についての訴えは不適法と判断しています(21頁以下)。
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2 原告は別紙債務目録記載1の債務を被告モデル屋本舗に対し同目録記載2、3の債務をP2に対して負っているか
原告と被告モデル屋本舗との間で別紙債務目録記載1の債務の不存在を確認する利益があるとはいえないとして、その確認を求める訴えは不適法であると裁判所は判断。
また、原告とP2との間で別紙債務目録記載2、3の債務の不存在を確認する利益があるとはいえないとして、この点についても、その確認を求める訴えはいずれも不適法であると判断しています(22頁以下)。
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3 原告は別紙動産目録記載の動産について所有権を有するか
本件グループのイベントに来たファンに販売するDVDやグッズといった動産の所有権の帰属について、原告の所有であることが認められていません(23頁以下)。
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4 原告は別紙楽曲目録記載の楽曲及び別紙歌詞目録記載の歌詞について著作権を有するか
本件楽曲の著作権について、本件話合い後も本件楽曲の著作権は被告モデル屋本舗が有していることに変わりはないとして、裁判所は、その権利者であることの確認を求める原告の請求には理由がないと判断しています(24頁以下)。
本件歌詞の著作権については、歌詞1ないし6に関しては、原告が著作者で原始的には著作権者でした。その後、JASRACで管理されていましたが、原告から被告モデル屋本舗への著作権譲渡がされた事実が認定されず、原告が著作権者であると判断されています。
歌詞7に関しては、原告はP3との共同著作であることなどを主張しましたが、結論としては、原告が歌詞7の著作権を有すると認めることはできないと判断されています。
歌詞8ないし13に関しても、原告が著作権を有すると認めることはできないと判断されています。
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5 被告モデル屋本舗は別紙不動産目録記載の不動産について転借権を有するか
被告モデル屋本舗は原告に対して本件不動産の転借権を有していると裁判所は認定。その不存在の確認を求める原告の請求は認められていません(26頁以下)。
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6 平成26年11月28日にされた合意又はその債務不履行に基づく被告モデル屋本舗の原告に対する請求権の存否
被告モデル屋本舗の原告に対する反訴請求について、裁判所は、本件グループが本件不動産で公演をした場合の支払いに関する合意を踏まえ、原告の被告モデル屋本舗に対する未払額は、平成29年3月24日以前の対象公演69回分に相当する69万円と同月25日から平成30年2月8日までの対象公演74回分に相当する74万円とが認定されています(27頁以下)。
また、原告が本件グループのCDを販売した場合の支払いに関する合意に関しては、本件話合い以前に被告らの負担で制作されたCDを対象とした上で、未払額は平成29年3月24日以前に発生した未払分である17万5500円が認定されています。
なお、被告モデル屋本舗が本件不動産を第三者に利用させて収益を得る機会を原告が妨害したとして、その逸失利益の損害賠償を請求する点については、裁判所はこれを認めていません。
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■コメント
アイドルを展開する際に複数のプロダクションが協業する場合(業務提携)がありますが、その協力関係の詳細を細かく取り決めていなかったこともあって、協力関係を解消するにあたり、事後処理内容を合意で細かく詰め切れなかった事案となります。