最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

FC2動画アダルトサイト無断配信損害賠償請求事件3

東京地裁平成30.3.28平成29(ワ)19660損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    伊藤清隆
裁判官    天野研司

*裁判所サイト公表 2018ーー
*キーワード:海賊版動画、使用料相当額損害

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■事案

アダルト動画を無断配信した者に対する損害賠償請求の事案

原告:ビデオ映像制作会社
被告:個人

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法23条、114条3項

1 著作権侵害の有無
2 損害論

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■事案の概要

『原告は,被告に対し,民法709条及び著作権法114条3項に基づき,株式会社CAから承継した著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の一部請求として,本件著作物1につき659万円,本件著作物2につき61万円,本件著作物3につき8万円,弁護士費用相当額として72万円(本件各著作物の請求額に応じて案分される。)の合計800万円及びこれに対する不法行為後の日である平成29年6月19日(訴状送達日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める』事案

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■判決内容

<争点>

1 著作権侵害の有無

裁判所は、本件各著作物の一部と本件各動画との同一性を肯定した上で、原告がアメリカ合衆国連邦地方裁判所ネバダ州地区が発令した開示命令に基づき、FC2からニックネームを特定するために十分な情報として開示された住所及び氏名が被告の住所及び氏名と同一であると認められることを理由に、本件各動画が被告によってアップロードされたものであると認定。
結論として、被告の行為は株式会社CAの本件各著作物に係る公衆送信権(著作権法23条1項)の侵害に当たると判断されています。

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2 損害論

被告の本件著作物の著作権侵害に係る使用料相当額損害(114条3項)について、裁判所は、認定した事情その他本件において現れた事情を総合判断の上、本件著作物1及び2につき各50万円、本件著作物3につき5万円と認めるのが相当であると判断。
また、弁護士費用相当額損害として、本件著作物1及び2につき各5万円、本件著作物3につき5000円の合計10万5000円と判断。
結論として、合計115万5000円の損害額が認定されています。

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■コメント

動画共有サイト「FC2アダルト」で扱われた海賊版アダルト動画配信について、発信者への損害賠償を請求した事案となります。同一原告による海賊版対策の個人への損害賠償請求として裁判所サイトに公開された今年3件目の案件となります。

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■過去のブログ記事

2018年03月21日記事
アダルト動画無断配信損害賠償請求事件2