最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
空手団体選挙公約文書事件
東京地裁平成29.10.2平成29(ワ)21232発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官 天野研司
裁判官 西山芳樹
*裁判所サイト公表 2017.11.9
*キーワード:著作物性、複製権、公衆送信権、プロバイダ責任制限法
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■事案
空手団体の代表選挙立候補公約文書が無断でネット掲示板に掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案
原告:個人
被告:経由プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか
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■事案の概要
『本件は,別紙3著作物目録記載の文書(以下「本件文書」という。)の著作権者であると主張する原告が,被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の掲示板「2ちゃんねる」(以下「本件掲示板」という。)に投稿された別紙2投稿記事目録記載の各投稿記事(以下「本件各記事」という。)により,原告の著作者人格権(公表権,氏名表示権)及び著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,本件各記事に係る別紙1発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか
被告は、本件文書は空手団体の代表選挙における原告の公約文であり、本件文書を構成する個々の表現は公約としてありふれた表現であるとして、著作物性(著作権法2条1項1号)を争いました。
この点について、裁判所は、選挙公約には様々な内容のものがあり得、本件文書には空手団体の代表選挙における原告の19個もの公約や信条に係る記載があり、全体として40以上の文章からなるまとまりのある文書であると認められることから、その内容や記載順序等において原告の個性が表出されていると判断。
本件文書は原告の思想又は感情を創作的に表現したものであると認められ、言語の著作物として著作物性を有し、原告はその作成者としてその著作権を有すると認定されています(4頁以下)。
その上で、氏名不詳者において本件文書を分割して転載されており、被告の提供するインターネット接続サービスを経由して本件掲示板に投稿されたことにより公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態におかれていることから、原告が有する本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると判断されています。
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2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか
被告は本件発信者情報を保有しており、原告は本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことなどを原因として、本件各記事の投稿者に対して不法行為による損害賠償請求権を行使するため本件発信者情報の開示を求めているものと認められるところ、原告が著作権侵害を原因として不法行為による損害賠償請求権を行使するためには、本件各記事の投稿者を特定する必要があることから、原告にはそのために本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断(5頁)。
結論として、発信者情報開示請求が認容されています。
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■コメント
別紙3に選挙公約の内容が掲載されているので、言語の著作物の判断事例として参考になります。
空手団体選挙公約文書事件
東京地裁平成29.10.2平成29(ワ)21232発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官 天野研司
裁判官 西山芳樹
*裁判所サイト公表 2017.11.9
*キーワード:著作物性、複製権、公衆送信権、プロバイダ責任制限法
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■事案
空手団体の代表選挙立候補公約文書が無断でネット掲示板に掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案
原告:個人
被告:経由プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項
1 著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか
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■事案の概要
『本件は,別紙3著作物目録記載の文書(以下「本件文書」という。)の著作権者であると主張する原告が,被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の掲示板「2ちゃんねる」(以下「本件掲示板」という。)に投稿された別紙2投稿記事目録記載の各投稿記事(以下「本件各記事」という。)により,原告の著作者人格権(公表権,氏名表示権)及び著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,本件各記事に係る別紙1発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 著作権又は著作者人格権の侵害が明らかであるか
被告は、本件文書は空手団体の代表選挙における原告の公約文であり、本件文書を構成する個々の表現は公約としてありふれた表現であるとして、著作物性(著作権法2条1項1号)を争いました。
この点について、裁判所は、選挙公約には様々な内容のものがあり得、本件文書には空手団体の代表選挙における原告の19個もの公約や信条に係る記載があり、全体として40以上の文章からなるまとまりのある文書であると認められることから、その内容や記載順序等において原告の個性が表出されていると判断。
本件文書は原告の思想又は感情を創作的に表現したものであると認められ、言語の著作物として著作物性を有し、原告はその作成者としてその著作権を有すると認定されています(4頁以下)。
その上で、氏名不詳者において本件文書を分割して転載されており、被告の提供するインターネット接続サービスを経由して本件掲示板に投稿されたことにより公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態におかれていることから、原告が有する本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことは明らかであると判断されています。
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2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか
被告は本件発信者情報を保有しており、原告は本件文書の著作権(送信可能化権)が侵害されたことなどを原因として、本件各記事の投稿者に対して不法行為による損害賠償請求権を行使するため本件発信者情報の開示を求めているものと認められるところ、原告が著作権侵害を原因として不法行為による損害賠償請求権を行使するためには、本件各記事の投稿者を特定する必要があることから、原告にはそのために本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断(5頁)。
結論として、発信者情報開示請求が認容されています。
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■コメント
別紙3に選挙公約の内容が掲載されているので、言語の著作物の判断事例として参考になります。