最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ソーシャルゲーム「白猫プロジェクト」発信者情報開示請求事件

東京地裁平成29.12.12平成29(ワ)27352発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    萩原孝基
裁判官    林 雅子

*裁判所サイト公表 2017.12.20
*キーワード:発信者情報開示請求、ゲーム、イラスト

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■事案

ゲーム攻略ブログに無断でゲームのキャラクターのイラストが掲載されたとして発信者情報開示請求がされた事案

原告:モバイルゲームサービス事業者
被告:電気通信事業会社

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 被告の「開示関係役務提供者」該当性
3 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経由して,インターネット上のブログに原告が著作権を有するイラスト画像を複製して作成したイラスト画像を含む記事を投稿した行為により,原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H29.05 本件ブログに本件記事1、2(本件イラスト画像1、2など)が投稿

本件ブログ:「しろそく!白猫まとめ!攻略速報!」

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

原告は、ソーシャルゲームである「白猫プロジェクト」の開発及び運営を行っていましたが、裁判所は、そのゲームに係るキャラクタのイラスト画像の原画の著作権は原告に帰属し、本件イラスト画像を含む各記事が本件ブログに投稿されたことによって原告の複製権及び公衆送信権が侵害されていると判断しています(5頁以下)。

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2 被告の「開示関係役務提供者」該当性

裁判所は、本件記事1及び本件記事2の投稿のプロバイダ責任制限法2条1号「特定電気通信」該当性を認定。また、被告は本件氏名不詳者らにインターネット接続サービスを提供していたことから、被告の本件記事1及び本件記事2の投稿に関して、同法4条1項に規定する「開示関係役務提供者」該当性を肯定しています(6頁)。

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3 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

原告が本件氏名不詳者らに対して複製権及び公衆送信権侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使する際に、原告がこれらの者の氏名や住所等を覚知することは困難であるとして、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は認定しています(6頁)。


結論として、裁判所は発信者情報開示請求を認容しています。

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■コメント

本件ブログは6月には閉鎖されたようですが、類似のブログからすると、本件ブログはゲームの攻略を内容とするブログだったようです。