最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

アダルトビデオ「FC2動画」無断配信事件

東京地裁平成29.11.30平成29(ワ)21046発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    矢口俊哉
裁判官    廣鹵人

*裁判所サイト公表 2017.12.11
*キーワード:複製権、公衆送信権、発信者情報開示請求

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■事案

アダルトビデオを「FC2動画」サイトで無断配信した者の情報開示請求をプロバイダに求めた事案

原告:アダルトビデオ会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 原告の権利が侵害されたことが明らかであるか
2 被告が開示関係役務提供者に当たるか
3 本件アップロード行為を行ったのは本件契約者であるか
4 原告が本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

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■事案の概要

『本件は,原告が,別紙2著作物目録記載の著作物(以下「本件著作物」という。)の著作権を有しており,被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト「FC2動画」(以下「本件サイト」という。)に別紙3動画目録記載の動画(以下「本件動画」という。)がアップロードされた行為により原告の上記著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであり,上記行為についての損害賠償請求権等の行使のために,被告とのインターネット接続サービスに係る契約に基づき被告から上記アップロード行為に係るIPアドレスを割り当てられていた者(以下「本件契約者」という。)に関する別紙1発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」と総称する。)の開示を受ける必要があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

本件著作物:「エスカレートするドしろーと娘 235」

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■判決内容

<争点>

1 原告の権利が侵害されたことが明らかであるか

まず、裁判所は、原告が本件著作物の著作者・著作権者であることを認定。そして、本件動画は本件サイトにアップロードされ、公衆の求めに応じて自動的に公衆送信が行われる状態におかれたものであり、この本件アップロード行為により原告が有する本件著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことは明らかであると判断しています(6頁以下)。

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2 被告が開示関係役務提供者に当たるか

発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは,プロバイダ責任制限法2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当することを前提に、被告は法4条1項所定の「開示関係役務提供者」に該当すると裁判所は認定しています(7頁)。

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3 本件アップロード行為を行ったのは本件契約者であるか

本件アップロード行為を行った者は本件契約者であると推認されています(7頁以下)。

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4 原告が本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか

原告は、原告が有する本件著作物の著作権(公衆送信権)が侵害されたことに基づき、本件契約者に対して損害賠償等を請求するため、本件発信者情報の開示を求めているところ、損害賠償等を請求するためには本件アップロード行為を行った者を特定する必要があることから、原告は同特定のために本件発信者情報の開示を受ける必要があり、開示について正当な理由があると裁判所は認めています(8頁以下)。

結論として、原告の請求が認容されています。

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■コメント

アダルトビデオ会社プレステージの無断動画配信に関する発信者情報開示請求事案となります。
プレステージによる発信者情報開示請求事案は別作品でも今年いくつかありました。

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■過去のブログ記事

「FC2動画」アダルトビデオ無断配信発信者情報開示請求事件(プレステージ)
2017年07月03日記事