最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
食品包装デザイン使用改変許諾事件
東京地裁平成29.11.30平成28(ワ)23604損害賠償請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 萩原孝基
裁判官 大下良仁
*裁判所サイト公表 2017.12.11
*キーワード:デザイン、使用改変許諾、裁判手続等における複製
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■事案
食品パッケージデザインの使用許諾関係について争点となった事案
原告:デザイナー
被告:軟包装資材製造販売会社
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法21条、26条の2、42条
1 原告デザインの被告による使用又は改変に対する原告の承諾の有無
2 原告絵画の複製の裁判手続における必要性及び相当性
--------------------
■事案の概要
『本件は,(1)別紙原告デザイン目録記載1〜26の商品包装デザイン(以下,「原告デザイン」と総称し,個別のデザインを同目録記載の名称に付された番号〔1〜22〕に従い「原告デザイン1」などという。)を製作した原告が,原告デザインを被告が改変して別紙被告デザイン目録記載1〜25の商品包装デザイン(以下,「被告デザイン」と総称し,個別のデザインを同目録記載の名称に付された番号〔1〜22の2〕に従い「被告デザイン1」などという。)を作成した行為及び食品メーカーに対して納入した行為が原告の著作権(複製権,翻案権及び譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たる,(2)別紙原告絵画目録記載1及び2の筆及びレモンの各絵画(以下,「原告絵画」と総称し,同目録記載1の絵画を「原告筆絵画」,2の絵画を「原告レモン絵画」という。)を製作した原告が,本件訴訟手続において被告が当該絵画を複製して作成した文書を証拠として提出した行為が原告の著作権(複製権)を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条,著作権法114条3項に基づき,損害賠償金1111万7277円(上記(1)につき1069万1217円,上記(2)につき42万6060円)及びこれに対する不法行為の後の日(上記(1)につき訴状送達の日の翌日である平成28年7月27日,上記(2)につき請求の拡張申立書送達の日の翌日である平成29年8月24日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
原告が筆及びレモンの絵画を製作
H24 原告が被告から依頼を受けて食品包装デザインを製作
H26 原告が被告にデザイン料改定要望通知
H28 本件訴訟提起
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■判決内容
<争点>
1 原告デザインの被告による使用又は改変に対する原告の承諾の有無
裁判所は、原告が作成し被告に提出していた包装デザインについて、その提出後に顧客の指示等により修正が必要となることが当然にあり得るというものであったこと、かつ、原告はこのことを認識し、また、原告以外の者が上記デザインの修正をすることができることも認識していたと判断。
さらに、原被告間で原告が被告にデザインを提出した後の顧客の指示等による上記修正について、何らかの話がされたり合意がされたりしたことを認めるに足りる証拠はないと認定。
結論として、原告は、被告からの依頼に基づいて作成された原告デザインについて、被告による使用及び改変を当初から包括的に承諾していたと認められています(8頁以下)。
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2 原告絵画の複製の裁判手続における必要性及び相当性
原告は、原告が作成したデザインが相互に類似することは当然のことであり、被告が原告のデザインを裁判手続において複製する必要性は全くないと主張しました。
この点について、裁判所は、著作権法42条1項(裁判手続等における複製)の要件を充足するとして原告の主張を認めていません(15頁以下)。
結論として、原告デザインや原告絵画の著作権侵害性は否定されています。
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■コメント
デザイナーとデザイン発注会社との間での食品包装パッケージデザインの使用や改変の許諾の有無について、両者の取引状況から包括的な使用や改変の許諾があったと認定されています。
包装パッケージデザインなど様子は、別紙が添付されているため、どのような種類のデザインか良く分かります。
食品包装デザイン使用改変許諾事件
東京地裁平成29.11.30平成28(ワ)23604損害賠償請求事件PDF
別紙
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 萩原孝基
裁判官 大下良仁
*裁判所サイト公表 2017.12.11
*キーワード:デザイン、使用改変許諾、裁判手続等における複製
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■事案
食品パッケージデザインの使用許諾関係について争点となった事案
原告:デザイナー
被告:軟包装資材製造販売会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法21条、26条の2、42条
1 原告デザインの被告による使用又は改変に対する原告の承諾の有無
2 原告絵画の複製の裁判手続における必要性及び相当性
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■事案の概要
『本件は,(1)別紙原告デザイン目録記載1〜26の商品包装デザイン(以下,「原告デザイン」と総称し,個別のデザインを同目録記載の名称に付された番号〔1〜22〕に従い「原告デザイン1」などという。)を製作した原告が,原告デザインを被告が改変して別紙被告デザイン目録記載1〜25の商品包装デザイン(以下,「被告デザイン」と総称し,個別のデザインを同目録記載の名称に付された番号〔1〜22の2〕に従い「被告デザイン1」などという。)を作成した行為及び食品メーカーに対して納入した行為が原告の著作権(複製権,翻案権及び譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害に当たる,(2)別紙原告絵画目録記載1及び2の筆及びレモンの各絵画(以下,「原告絵画」と総称し,同目録記載1の絵画を「原告筆絵画」,2の絵画を「原告レモン絵画」という。)を製作した原告が,本件訴訟手続において被告が当該絵画を複製して作成した文書を証拠として提出した行為が原告の著作権(複製権)を侵害すると主張して,被告に対し,民法709条,著作権法114条3項に基づき,損害賠償金1111万7277円(上記(1)につき1069万1217円,上記(2)につき42万6060円)及びこれに対する不法行為の後の日(上記(1)につき訴状送達の日の翌日である平成28年7月27日,上記(2)につき請求の拡張申立書送達の日の翌日である平成29年8月24日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)
<経緯>
原告が筆及びレモンの絵画を製作
H24 原告が被告から依頼を受けて食品包装デザインを製作
H26 原告が被告にデザイン料改定要望通知
H28 本件訴訟提起
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■判決内容
<争点>
1 原告デザインの被告による使用又は改変に対する原告の承諾の有無
裁判所は、原告が作成し被告に提出していた包装デザインについて、その提出後に顧客の指示等により修正が必要となることが当然にあり得るというものであったこと、かつ、原告はこのことを認識し、また、原告以外の者が上記デザインの修正をすることができることも認識していたと判断。
さらに、原被告間で原告が被告にデザインを提出した後の顧客の指示等による上記修正について、何らかの話がされたり合意がされたりしたことを認めるに足りる証拠はないと認定。
結論として、原告は、被告からの依頼に基づいて作成された原告デザインについて、被告による使用及び改変を当初から包括的に承諾していたと認められています(8頁以下)。
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2 原告絵画の複製の裁判手続における必要性及び相当性
原告は、原告が作成したデザインが相互に類似することは当然のことであり、被告が原告のデザインを裁判手続において複製する必要性は全くないと主張しました。
この点について、裁判所は、著作権法42条1項(裁判手続等における複製)の要件を充足するとして原告の主張を認めていません(15頁以下)。
結論として、原告デザインや原告絵画の著作権侵害性は否定されています。
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■コメント
デザイナーとデザイン発注会社との間での食品包装パッケージデザインの使用や改変の許諾の有無について、両者の取引状況から包括的な使用や改変の許諾があったと認定されています。
包装パッケージデザインなど様子は、別紙が添付されているため、どのような種類のデザインか良く分かります。