最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

タレント宣材写真チラシ使用事件

東京地裁平成29.11.29平成28(ワ)35002損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    天野研司
裁判官    西山芳樹

*裁判所サイト公表 2017.12.08
*キーワード:写真、使用許諾、プロダクション、移籍

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■事案

タレントの宣材写真の使用にプロダクションが関与していたかどうかが争点となった事案

原告:芸能プロダクション
被告:芸能プロダクション、タレント

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 著作権法21条

1 被告Aは本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真を被告会社に提供したか
2 被告会社は本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真をSBSプロモーションに提供したか

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■事案の概要

『本件は,別紙1の写真(以下「本件宣材写真」という。)の著作権者であると主張する原告が,ホテルセンチュリー静岡が頒布した別紙2のイベント広告用チラシ(以下「本件チラシ」という。)に掲載された写真(以下「本件プロフィール写真」という。)は,本件宣材写真の複製物であるから,ホテルセンチュリー静岡ないしその委託先において本件チラシを作成し,頒布したことは,原告が有する本件宣材写真の著作権(複製権,譲渡権)の侵害に当たるところ,同著作権侵害行為は,被告らがホテルセンチュリー静岡ないしその委託先をして行わせた共同不法行為であると主張して,著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為後の日である平成26年7月16日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H17 被告タレントが原告に所属
H21 原告が被告タレントを撮影
H26 SBSプロモーションが本件チラシを制作
   本件イベント開催、被告タレントが出演

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■判決内容

<争点>

1 被告Aは本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真を被告会社に提供したか
2 被告会社は本件宣材写真の著作権(複製権、譲渡権)が侵害されることを知りながら本件宣材写真をSBSプロモーションに提供したか

原告は、タレントである被告Aから被告会社へ、そして被告会社からSBSプロモーションへ本件宣材写真を提供したと主張しました。
この点について、裁判所は、本件チラシに掲載された本件プロフィール写真は、SBSプロモーションから本件チラシの制作を依頼されたデザイナーが、SBSプロモーションの担当者Cから伝えられたインターネット上のウェブサイトから取得したものであり、被告Aが被告会社代表者Bに提供して、BがCに提供した本件宣材写真を利用して本件チラシが制作されたとの原告主張に係る事実関係は存在しないと認定。

原告の主張は認められていません(5頁以下)。

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■コメント

以前に所属していたプロダクションで撮影されたタレントの宣材写真について、移籍先プロダクションが無断使用に関与しているかどうかが争点となりましたが、関与の事実が認定されませんでした。

なお、原告は本件訴訟に先立って原告が権利を有する宣材写真をタレントAが無断で利用したことなどを原因として、Aに対して損害賠償等を求めた訴訟が提起されていましたが、棄却判決が確定しています。