最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
VAN(Value Added Network)事業営業秘密事件(控訴審)
知財高裁平成29.6.28平成28(ネ)10110不正競争行為等差止請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官 中島基至
裁判官 岡田慎吾
*裁判所サイト公表 2017.7.6
*キーワード:ソフトウェア、翻案、競業制限、営業秘密
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■事案
電気通信回線を利用して小売業者からの商品の発注を卸売業者等に取次ぐ事業(VAN)について、ソフトウェアの無断翻案や仕入価格の営業秘密性などが争点となった事案
控訴人(1審原告) :情報処理会社
被告訴人(1審被告):情報処理会社
--------------------
■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法27条、不正競争防止法2条1項7号
1 競業禁止合意違反の有無
2 被控訴人による本件情報の不正使用の有無等
3 被控訴人による本件ソフトウェアの著作権侵害等の有無
4 被控訴人による本件データベースの著作権侵害等の有無
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,(1)被控訴人との間で,被控訴人が原判決別紙事業目録記載の事業(以下「本件事業」という。)を行わない旨の競業禁止の合意(以下「本件競業禁止合意」という。)をしたにもかかわらず,被控訴人が本件事業を行うのは,本件競業禁止合意に違反すると主張して,当該合意に基づき,被控訴人が本件事業を行うことの差止めを,(2)控訴人が有する原判決別紙営業秘密目録記載の情報(以下「本件情報」という。)は営業秘密に該当するところ,被控訴人は控訴人から示された本件情報を不正の利益を得る目的で使用しており,被控訴人において本件情報を使用する行為が不正競争防止法2条1項7号に該当すると主張して,同法3条1項及び2項に基づき,本件情報を利用して小売業者に対し仕入効率の良否を判定するための情報が記載された文書を配布することの差止めを求めるとともに,本件情報が記載された書面及び記憶媒体の廃棄を,(3)控訴人は,原判決別紙ソースコード1及び2(以下「本件ソフトウェア」という。)並びに原判決別紙データベース目録記載のデータベース(以下「本件データベース」という。)の著作権を有すると主張し,また,被控訴人との間で,被控訴人が控訴人の本件事業の拡大のために本件ソフトウェア及び本件データベースを利用する旨の合意(以下「本件利用合意」という。)をしたにもかかわらず,被控訴人が本件ソフトウェア及び本件データベースを無断で改変し自らの事業のためにこれらを使用する行為は,控訴人の著作権(翻案権)を侵害するとともに,本件利用合意にも違反すると主張して,著作権法112条1項及び2項並びに本件利用合意に基づき,本件ソフトウェア及び本件データベースの使用の差止めを求めるとともに,本件ソフトウェア及び本件データベースが収納された記憶媒体の廃棄を,それぞれ求める事案である。』
『原審は,本件情報及び本件データベースの各内容が特定されていないため,これらの情報に関する請求は特定を欠くものであって,上記(2)に係る全ての請求及び上記(3)に係る各請求のうち本件データベースに係る請求は不適法であるとして,これらをいずれも却下するとともに,本件競業禁止合意及び本件利用合意が成立したものと認めることができず,また,控訴人は,被控訴人が本件ソフトウェアを翻案したことを具体的に主張立証するものではないから,上記(1)に係る請求及び上記(3)に係る各請求のうち本件ソフトウェアに係る請求をいずれも棄却した。
控訴人は,これを不服として控訴した。』(2頁以下)
<経緯>
S44.08 1審原告会社(控訴人)設立
H22.04 Aが原告会社の取締役就任
H23.07 Aが1審被告会社(被控訴人)設立検討
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■判決内容
<争点>
1 競業禁止合意違反の有無
本件競業禁止合意及び本件利用合意が成立したことを裏付ける契約書その他の客観的証拠が認められず、控訴人の主張は容れられていません(3頁以下)。
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2 被控訴人による本件情報の不正使用の有無等
原審では、本件情報の特定がされておらず、営業秘密性を欠くなどと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。
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3 被控訴人による本件ソフトウェアの著作権侵害等の有無
原審では被控訴人が本件ソフトウェアを翻案したといえるかを控訴人が何ら具体的に主張立証していないと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。
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4 被控訴人による本件データベースの著作権侵害等の有無
原審では本件データベースも同様に十分特定されていないなどと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。
結論として、原審同様、控訴審でも控訴人(1審原告)の主張は認められていません。
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■コメント
原告会社と被告会社は人的にも密接な関係をもって協力して事業にあたっており、何がきっかけで訴訟にまで至ったか、興味を引くところです。
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■参考判例
東京地裁平成28.10.27平成27(ワ)24340不正競争行為等差止請求事件
原審判決文PDF
VAN(Value Added Network)事業営業秘密事件(控訴審)
知財高裁平成29.6.28平成28(ネ)10110不正競争行為等差止請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官 中島基至
裁判官 岡田慎吾
*裁判所サイト公表 2017.7.6
*キーワード:ソフトウェア、翻案、競業制限、営業秘密
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■事案
電気通信回線を利用して小売業者からの商品の発注を卸売業者等に取次ぐ事業(VAN)について、ソフトウェアの無断翻案や仕入価格の営業秘密性などが争点となった事案
控訴人(1審原告) :情報処理会社
被告訴人(1審被告):情報処理会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法27条、不正競争防止法2条1項7号
1 競業禁止合意違反の有無
2 被控訴人による本件情報の不正使用の有無等
3 被控訴人による本件ソフトウェアの著作権侵害等の有無
4 被控訴人による本件データベースの著作権侵害等の有無
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,(1)被控訴人との間で,被控訴人が原判決別紙事業目録記載の事業(以下「本件事業」という。)を行わない旨の競業禁止の合意(以下「本件競業禁止合意」という。)をしたにもかかわらず,被控訴人が本件事業を行うのは,本件競業禁止合意に違反すると主張して,当該合意に基づき,被控訴人が本件事業を行うことの差止めを,(2)控訴人が有する原判決別紙営業秘密目録記載の情報(以下「本件情報」という。)は営業秘密に該当するところ,被控訴人は控訴人から示された本件情報を不正の利益を得る目的で使用しており,被控訴人において本件情報を使用する行為が不正競争防止法2条1項7号に該当すると主張して,同法3条1項及び2項に基づき,本件情報を利用して小売業者に対し仕入効率の良否を判定するための情報が記載された文書を配布することの差止めを求めるとともに,本件情報が記載された書面及び記憶媒体の廃棄を,(3)控訴人は,原判決別紙ソースコード1及び2(以下「本件ソフトウェア」という。)並びに原判決別紙データベース目録記載のデータベース(以下「本件データベース」という。)の著作権を有すると主張し,また,被控訴人との間で,被控訴人が控訴人の本件事業の拡大のために本件ソフトウェア及び本件データベースを利用する旨の合意(以下「本件利用合意」という。)をしたにもかかわらず,被控訴人が本件ソフトウェア及び本件データベースを無断で改変し自らの事業のためにこれらを使用する行為は,控訴人の著作権(翻案権)を侵害するとともに,本件利用合意にも違反すると主張して,著作権法112条1項及び2項並びに本件利用合意に基づき,本件ソフトウェア及び本件データベースの使用の差止めを求めるとともに,本件ソフトウェア及び本件データベースが収納された記憶媒体の廃棄を,それぞれ求める事案である。』
『原審は,本件情報及び本件データベースの各内容が特定されていないため,これらの情報に関する請求は特定を欠くものであって,上記(2)に係る全ての請求及び上記(3)に係る各請求のうち本件データベースに係る請求は不適法であるとして,これらをいずれも却下するとともに,本件競業禁止合意及び本件利用合意が成立したものと認めることができず,また,控訴人は,被控訴人が本件ソフトウェアを翻案したことを具体的に主張立証するものではないから,上記(1)に係る請求及び上記(3)に係る各請求のうち本件ソフトウェアに係る請求をいずれも棄却した。
控訴人は,これを不服として控訴した。』(2頁以下)
<経緯>
S44.08 1審原告会社(控訴人)設立
H22.04 Aが原告会社の取締役就任
H23.07 Aが1審被告会社(被控訴人)設立検討
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■判決内容
<争点>
1 競業禁止合意違反の有無
本件競業禁止合意及び本件利用合意が成立したことを裏付ける契約書その他の客観的証拠が認められず、控訴人の主張は容れられていません(3頁以下)。
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2 被控訴人による本件情報の不正使用の有無等
原審では、本件情報の特定がされておらず、営業秘密性を欠くなどと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。
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3 被控訴人による本件ソフトウェアの著作権侵害等の有無
原審では被控訴人が本件ソフトウェアを翻案したといえるかを控訴人が何ら具体的に主張立証していないと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。
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4 被控訴人による本件データベースの著作権侵害等の有無
原審では本件データベースも同様に十分特定されていないなどと判断されていましたが、控訴審でも原審の判断が維持されています。
結論として、原審同様、控訴審でも控訴人(1審原告)の主張は認められていません。
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■コメント
原告会社と被告会社は人的にも密接な関係をもって協力して事業にあたっており、何がきっかけで訴訟にまで至ったか、興味を引くところです。
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■参考判例
東京地裁平成28.10.27平成27(ワ)24340不正競争行為等差止請求事件
原審判決文PDF