最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「ホストラブ」発信者情報開示請求事件(対NTTぷらら)

東京地裁平成29.6.2平成29(ワ)9325信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 東海林 保
裁判官    廣瀬 孝
裁判官    遠山敦士

*裁判所サイト公表 2017.6.12
*キーワード:複製権、公衆送信権、同一性保持権、発信者情報開示請求

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■事案

インターネット掲示板「ホストラブ」に無断で写真が掲載されたとして発信者情報開示請求をした事案

原告:個人
被告:インターネット接続サービス事業者

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が、被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の電子掲示板に写真を投稿したことにより原告の著作権(複製権,公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H28.02 原告がコミュニティサイト「ワクワクメール」に原告写真2を掲載
H28.11 原告がコミュニティサイト「ワクワクメール」に原告写真1を掲載

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

原告は平成28年10月頃、青空や白い雲などを被写体とした原告写真1をスマートフォンで撮影し、平成28年11月9日、「コミュニティサイト『ワクワクメール』」における日記に同写真を掲載しました。そして、同月10日、本件発信者が上記日記に掲載された原告写真1を複製して本件写真1を本件スレッドに掲載しました(4頁以下)。
また、原告は平成28年2月頃、花の咲いた鉢植えなどを被写体とした原告写真2をスマートフォンで撮影し、上記「ワクワクメール」における日記に同写真を掲載。そして、同年11月10日、本件発信者が上記日記に掲載された原告写真2を複製し、これを切り取り、拡大するなどした上で画像上に赤字で丸印や矢印を付した本件写真2を本件スレッドに掲載しました。

この点について、裁判所は、原告が原告写真1及び2の著作者であること、本件各記事に掲載された本件写真1及び2はそれぞれ原告の著作物である原告写真1及び2を複製したものであること、本件写真2は原告写真2の一部を切り取り、拡大するなどした上、赤字で丸印や矢印を付して改変したものであると認定。
本件発信者による本件各記事の投稿は、原告写真1及び2に係る原告の複製権及び公衆送信権並びに原告写真2に係る同一性保持権の侵害に当たると判断しています。
結論として、本件各記事が本件ウェブサイトに掲載されたことによって原告の権利が侵害されたことは明らかであると判断しています。

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2 発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無

裁判所は、原告は本件発信者に対して原告写真1及び2の複製権及び公衆送信権並びに原告写真2の同一性保持権侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使することができるところ、その行使をするためには、その発信者情報の開示が必要であると判断。
原告には被告から本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認めています(6頁)。

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■コメント

無断でネット上の写真を転用されたことから転用者の情報開示をプロバイダに求めた事案です。
類似の案件となる対KDDI事件も本件の数日後に公表されています(原告側代理人が同一の事案です)。

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■関連判例

対KDDI事件
東京地裁平成29.6.9平成29(ワ)4222発信者情報開示請求事件

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 東海林 保
裁判官    遠山敦士
裁判官    勝又来未子

*裁判所サイト公表 2017.6.19