最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「知と文明のフォーラム」遺言書事件(控訴審)
知財高裁平成29.4.26平成28(ネ)10108不当利得返還等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 大西勝滋
裁判官 杉浦正樹
*裁判所サイト公表 2017.5.31
*キーワード:自筆証書遺言、遺贈、死因贈与契約
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■事案
遺言書などにより著作物の著作権が譲渡されていたかどうかが争点となった事案の控訴審
控訴人 (1審原告):フォーラム団体
被控訴人(1審被告):亡Aの法定相続人
--------------------
■結論
控訴棄却
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■争点
条文 民法968条
1 本件文書が自筆証書である遺言書に当たるか
2 亡Aとフォーラムの間で死因贈与契約が締結されたか
--------------------
■事案の概要
『(1) 本件は,設立中の法人で,「知と文明のフォーラム」と称する団体(フォーラム)からその権利義務を承継したと主張する控訴人が,亡A(亡A)の夫で,唯一の法定相続人である被控訴人に対し,以下の各請求をする事案である。
ア 控訴の趣旨第2項に係る請求
(ア) 主位的に,フォーラムが亡Aから自筆証書(本件文書)による遺言に基づく遺贈を受けたことにより同人の別紙著作物目録記載の著作物(本件各著作物)に係る著作権を含む全ての財産を取得し,これを控訴人が承継した旨を主張し,亡Aの預金その他の財産を保有する被控訴人に対し,法律上の原因なく利得しているとして,不当利得金の内金3000万円及びこれに対する平成27年12月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求
(イ) 予備的に,フォーラムが亡Aから同人の全ての財産の死因贈与を受け,その地位を控訴人が承継した旨を主張し,亡Aの相続人である被控訴人に対し,死因贈与契約の履行として,亡Aの預金等の内金3000万円及びこれに対する平成27年12月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求
イ 控訴の趣旨第3項に係る請求
控訴人は,上記ア(ア)又は(イ)のとおり本件各著作物に係る著作権を取得したとして,控訴人が当該著作権を有することの確認を求める請求
(2) 原判決は,本件文書は遺言書として完成したものとは認められないとして,自筆証書遺言としての効力を否定するとともに,亡Aとフォーラムとの間の死因贈与契約の成立も否定して,控訴人の各請求をいずれも棄却した。
そこで,控訴人は,原判決を不服として本件控訴を提起した。』
(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件文書が自筆証書である遺言書に当たるか
2 亡Aとフォーラムの間で死因贈与契約が締結されたか
控訴審も、争点(1)について、本件文書は遺言書の下書きないし草案であって、完成した遺言書といえるものではないから,自筆証書遺言としての効力を有しないものと判断。また、争点(2)について、亡Aとフォーラムの間で亡Aの財産に係る死因贈与契約が成立したとは認められないと判断。
結論として、原審の判断を維持して棄却しています。
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■コメント
故青木やよひ氏の著作物の著作権の帰属を巡る争いの控訴審です。
原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
2016年11月02日
原審記事
「知と文明のフォーラム」遺言書事件(控訴審)
知財高裁平成29.4.26平成28(ネ)10108不当利得返還等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 大西勝滋
裁判官 杉浦正樹
*裁判所サイト公表 2017.5.31
*キーワード:自筆証書遺言、遺贈、死因贈与契約
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■事案
遺言書などにより著作物の著作権が譲渡されていたかどうかが争点となった事案の控訴審
控訴人 (1審原告):フォーラム団体
被控訴人(1審被告):亡Aの法定相続人
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 民法968条
1 本件文書が自筆証書である遺言書に当たるか
2 亡Aとフォーラムの間で死因贈与契約が締結されたか
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■事案の概要
『(1) 本件は,設立中の法人で,「知と文明のフォーラム」と称する団体(フォーラム)からその権利義務を承継したと主張する控訴人が,亡A(亡A)の夫で,唯一の法定相続人である被控訴人に対し,以下の各請求をする事案である。
ア 控訴の趣旨第2項に係る請求
(ア) 主位的に,フォーラムが亡Aから自筆証書(本件文書)による遺言に基づく遺贈を受けたことにより同人の別紙著作物目録記載の著作物(本件各著作物)に係る著作権を含む全ての財産を取得し,これを控訴人が承継した旨を主張し,亡Aの預金その他の財産を保有する被控訴人に対し,法律上の原因なく利得しているとして,不当利得金の内金3000万円及びこれに対する平成27年12月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求
(イ) 予備的に,フォーラムが亡Aから同人の全ての財産の死因贈与を受け,その地位を控訴人が承継した旨を主張し,亡Aの相続人である被控訴人に対し,死因贈与契約の履行として,亡Aの預金等の内金3000万円及びこれに対する平成27年12月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求
イ 控訴の趣旨第3項に係る請求
控訴人は,上記ア(ア)又は(イ)のとおり本件各著作物に係る著作権を取得したとして,控訴人が当該著作権を有することの確認を求める請求
(2) 原判決は,本件文書は遺言書として完成したものとは認められないとして,自筆証書遺言としての効力を否定するとともに,亡Aとフォーラムとの間の死因贈与契約の成立も否定して,控訴人の各請求をいずれも棄却した。
そこで,控訴人は,原判決を不服として本件控訴を提起した。』
(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件文書が自筆証書である遺言書に当たるか
2 亡Aとフォーラムの間で死因贈与契約が締結されたか
控訴審も、争点(1)について、本件文書は遺言書の下書きないし草案であって、完成した遺言書といえるものではないから,自筆証書遺言としての効力を有しないものと判断。また、争点(2)について、亡Aとフォーラムの間で亡Aの財産に係る死因贈与契約が成立したとは認められないと判断。
結論として、原審の判断を維持して棄却しています。
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■コメント
故青木やよひ氏の著作物の著作権の帰属を巡る争いの控訴審です。
原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
2016年11月02日
原審記事