最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
あぶらとり紙包装紙デザイン事件
東京地裁平成29.3.23平成28(ワ)16088著作権侵害損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 萩原孝基
裁判官 中嶋邦人
*裁判所サイト公表 2017.4.3
*キーワード:著作権者性
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■事案
あぶらとり紙商品の包装デザインの著作権の帰属などが争点となった事案
原告:健康食品製造販売会社
被告:箔加工品製造販売会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条2項、61条1項
1 本件著作物の著作者及び著作権者
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告に対し,原告は別紙著作物目録記載の「ふるや紙」等の文字及び図柄からなるデザイン(以下「本件著作物」という。)の著作権者であるところ,被告が製造販売する別紙被告商品目録の記載の商品(以下「被告商品」という。)のデザイン(同目録「表」欄記載のもの。以下「被告デザイン」という。)は本件著作物に依拠して作成されたものであり,原告の著作権(複製権)の侵害に当たると主張して,民法709条,著作権法114条2項に基づき損害賠償金の一部2000万円及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成28年5月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』(1頁以下)
<経緯>
S51 被告が「ふるや紙」名称のあぶらとり紙を製造販売
原告が被告から商品を仕入れて販売
H10 原被告間の取引終了
H12 被告が被告商品を製造販売
H27 Bが被告に書面送付
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■判決内容
<争点>
1 本件著作物の著作者及び著作権者
本件著作物の著作者及び著作権者について、本件著作物はBが作成したものであり、Bから原告代表取締役Aに、さらに、Aから原告へその著作権が譲渡されたと原告は主張しました。
この点について、裁判所は、本件著作物の作成者がBである根拠がないなどの点を含め、原告の主張を裏付ける客観的な証拠はないとして、原告が本件著作物の著作権者であると認めることはできないと判断。原告の主張を認めていません(6頁以下)。
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■コメント
15年以上前の包装紙デザインの制作の経緯について、当事者間で事実が大きく食い違っている事案です。被告は、本件著作物と被告デザインが同一又は類似であることを争っていません。
原告は、本件著作物の著作物性について、
・特に「紙」の文字の「氏」部の4画目が1画目の上に突き出ている点
・「糸」偏の形状、「る」の文字が小さく配置されている点
・「や」の文字の3画目の先の部分をかすれさせている点
などが特徴的で、全体として独創的かつ伝統的な雰囲気を醸し出している著作物であり、「ふるや紙」の文字の右上にある模様も同様であるとして、美的創作性を有する著作物性であると主張しました。
この論点について裁判所は判断していませんが、仮に判断されるとしても書や包装紙のデザインとして著作物性があるかどうかは、微妙な判断となりそうです。
あぶらとり紙包装紙デザイン事件
東京地裁平成29.3.23平成28(ワ)16088著作権侵害損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 萩原孝基
裁判官 中嶋邦人
*裁判所サイト公表 2017.4.3
*キーワード:著作権者性
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■事案
あぶらとり紙商品の包装デザインの著作権の帰属などが争点となった事案
原告:健康食品製造販売会社
被告:箔加工品製造販売会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条2項、61条1項
1 本件著作物の著作者及び著作権者
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告に対し,原告は別紙著作物目録記載の「ふるや紙」等の文字及び図柄からなるデザイン(以下「本件著作物」という。)の著作権者であるところ,被告が製造販売する別紙被告商品目録の記載の商品(以下「被告商品」という。)のデザイン(同目録「表」欄記載のもの。以下「被告デザイン」という。)は本件著作物に依拠して作成されたものであり,原告の著作権(複製権)の侵害に当たると主張して,民法709条,著作権法114条2項に基づき損害賠償金の一部2000万円及びこれに対する不法行為の日の後(訴状送達の日の翌日)である平成28年5月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』(1頁以下)
<経緯>
S51 被告が「ふるや紙」名称のあぶらとり紙を製造販売
原告が被告から商品を仕入れて販売
H10 原被告間の取引終了
H12 被告が被告商品を製造販売
H27 Bが被告に書面送付
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■判決内容
<争点>
1 本件著作物の著作者及び著作権者
本件著作物の著作者及び著作権者について、本件著作物はBが作成したものであり、Bから原告代表取締役Aに、さらに、Aから原告へその著作権が譲渡されたと原告は主張しました。
この点について、裁判所は、本件著作物の作成者がBである根拠がないなどの点を含め、原告の主張を裏付ける客観的な証拠はないとして、原告が本件著作物の著作権者であると認めることはできないと判断。原告の主張を認めていません(6頁以下)。
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■コメント
15年以上前の包装紙デザインの制作の経緯について、当事者間で事実が大きく食い違っている事案です。被告は、本件著作物と被告デザインが同一又は類似であることを争っていません。
原告は、本件著作物の著作物性について、
・特に「紙」の文字の「氏」部の4画目が1画目の上に突き出ている点
・「糸」偏の形状、「る」の文字が小さく配置されている点
・「や」の文字の3画目の先の部分をかすれさせている点
などが特徴的で、全体として独創的かつ伝統的な雰囲気を醸し出している著作物であり、「ふるや紙」の文字の右上にある模様も同様であるとして、美的創作性を有する著作物性であると主張しました。
この論点について裁判所は判断していませんが、仮に判断されるとしても書や包装紙のデザインとして著作物性があるかどうかは、微妙な判断となりそうです。