最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ヱヴァンゲリヲン予告映像無断配信事件

東京地裁平成28.12.20平成28(ワ)31972発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官    萩原孝基
裁判官    林 雅子

*裁判所サイト公表 2017.1.13
*キーワード:動画配信サイト、発信者情報開示、複製、公衆送信

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■事案

アニメ映画「ヱヴァンゲリヲン」の予告映像を無断でYouTubeで配信されたことから発信者情報開示請求が行われた事案

原告:映像制作会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法21条、23条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が被告に対し,氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の動画共有サイトに動画を掲載したことにより原告の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたと主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案である。』(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

氏名不詳者が平成28年、被告からインターネットプロトコルアドレスの割当てを受けてインターネットに接続し、インターネット上の動画共有サイト「YouTube」に別紙投稿動画目録記載の動画(本件動画)を投稿し、本件動画を不特定多数の者が閲覧することができる状態に置きました。
この点について、裁判所は、原告が本件予告映像の著作権者であること、本件動画は本件予告映像を複製したものであることが認められるとして、本件氏名不詳者による本件動画の投稿は本件予告映像に係る原告の複製権及び公衆送信権の侵害に当たると判断。
本件予告映像に係る複製権及び公衆送信権を制限する事由が存在することはうかがわれないとして、本件動画の投稿により本件予告映像に係る原告の複製権及び公衆送信権が侵害されたことは明らかであると判断しています(3頁)。

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2 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

原告は、本件氏名不詳者に対して本件予告映像の複製権及び公衆送信権侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使することができるところ、原告が本件氏名不詳者の氏名や住所等を覚知することは困難であると考えられることから、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断。
結論として、別紙発信者情報目録記載の各情報(IPアドレスに関する、氏名又は名称、住所、電子メールアドレス)の開示請求が認容されています(3頁以下)。

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■コメント

原告は庵野秀明監督が代表を務めるアニメ制作会社となります。本件映像は、アニメ映画である「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」のDVD内に収録されていた次回予定作品の予告映像でした。