最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ゴルフクラブシャフトデザイン事件(控訴審)
知財高裁平成28.12.21平成28(ネ)10054著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官 片岡早苗
裁判官 古庄 研
*裁判所サイト公表 2016.12.28
*キーワード:工業デザイン、応用美術論、著作物性
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■事案
ゴルフシャフトのデザインやそのデザインを利用したカタログ表紙のデザインの著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :グラフィックデザイナー
被控訴人(1審被告):ゴルフ用品製造販売会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項、10条1項4号
1 本件シャフトデザイン及び本件原画の著作物性
2 本件カタログデザインの著作物性
3 被告シャフトによる翻案権及び二次的著作物の譲渡権並びに同一性保持権侵害の有無
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,(1)別紙被告シャフト目録(原判決別紙被告シャフト目録記載の各シャフトに,それぞれデザインを記載したもの)記載1〜83の被告シャフトが,主位的には,控訴人の著作物である本件シャフトデザインの翻案に当たり,予備的には,控訴人の著作物である本件原画の翻案に当たるから,被控訴人の被告シャフト製造,販売行為が,控訴人の著作権(翻案権,二次的著作物の譲渡権)を侵害し,(2)被告シャフトの製造は,主位的には,控訴人の意に反して本件シャフトデザインを改変してなされたものであり,予備的には,控訴人の意に反して本件原画を改変してなされたものであるから,控訴人の著作者人格権(同一性保持権)を侵害し,(3)別紙被告カタログ目録(原判決別紙被告カタログ目録記載の各カタログに,それぞれデザインを記載したもの)記載1及び2の被告カタログの製作は,控訴人の意に反して,控訴人の著作物である本件カタログデザインを改変してなされたものであるから,控訴人の著作者人格権(同一性保持権)を侵害しているとして,(1)被告シャフト5〜8による著作権(翻案権,二次的著作物の譲渡権)侵害につき民法703条,704条に基づく使用料相当額の不当利得金5400万円及びこれに対する不当利得日である平成19年6月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息の返還,(2)被告シャフト及び被告カタログによる著作者人格権(同一性保持権)侵害につき民法709条に基づく慰謝料850万円の内金425万円及びこれに対する不法行為の後である平成27年8月18日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,(3)被告シャフト及び被告カタログによる著作者人格権(同一性保持権)侵害につき著作権法112条1項に基づく被告シャフト及び被告カタログの製造及び頒布の差止め並びに同条2項に基づく廃棄,並びに,(4)被告シャフトによる著作者人格権(同一性保持権)侵害につき,同法115条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案である。
原判決は,本件シャフトデザイン,本件原画及び本件カタログデザインは,いずれも,著作権法上の著作物に当たらないとして,控訴人の請求を全部棄却した。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件シャフトデザイン及び本件原画の著作物性
控訴審は、応用美術の著作物性(美術の著作物 著作権法10条1項4号)の意義について言及した上で、本件シャフトデザイン及び本件原画の著作物性について検討しています(24頁以下)。
結論として、ありふれたものであるなどとして、本件シャフトデザイン等には創作的な表現は認められず、著作物性を認めていません。
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2 本件カタログデザインの著作物性
控訴審は、本件カタログデザインの著作物性について、特段の工夫が見られず平凡であるとして、本件カタログデザインには本件シャフトデザイン等より更に創作的な表現はなく、著作物性は認められないと判断しています(36頁以下)。
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3 被告シャフトによる翻案権及び二次的著作物の譲渡権並びに同一性保持権侵害の有無
控訴審は、念のため、として、仮に本件シャフトデザイン等に著作物性が認められるとした場合において、被告シャフトが本件シャフトデザイン等を翻案したものであり、被控訴人が控訴人の著作権(翻案権、二次的著作物の譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害したといえるかについて検討しています(37頁以下)。
結論としては、仮に本件シャフトデザイン等に著作物性が認められるとしても、被告シャフトは本件シャフトデザイン等の表現上の本質的特徴を直接感得できるものではないとして、仮に被告シャフトに創作性がある場合には別個の著作物であることとなると判断。被控訴人による被告シャフト製造、頒布が本件シャフトデザイン等に係る控訴人の著作権(翻案権、二次的著作物の譲渡権)を侵害したとは認められないと判断しています。
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■コメント
ゴルフシャフトのデザインやそのデザインを利用したカタログ表紙のデザインの著作物性について、控訴審でもそれらの著作物性が否定され、原審の棄却の結論が維持されています。
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■過去のブログ記事
2016年05月30日 原審記事
ゴルフクラブシャフトデザイン事件(控訴審)
知財高裁平成28.12.21平成28(ネ)10054著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官 片岡早苗
裁判官 古庄 研
*裁判所サイト公表 2016.12.28
*キーワード:工業デザイン、応用美術論、著作物性
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■事案
ゴルフシャフトのデザインやそのデザインを利用したカタログ表紙のデザインの著作物性が争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :グラフィックデザイナー
被控訴人(1審被告):ゴルフ用品製造販売会社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、2条2項、10条1項4号
1 本件シャフトデザイン及び本件原画の著作物性
2 本件カタログデザインの著作物性
3 被告シャフトによる翻案権及び二次的著作物の譲渡権並びに同一性保持権侵害の有無
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人に対し,(1)別紙被告シャフト目録(原判決別紙被告シャフト目録記載の各シャフトに,それぞれデザインを記載したもの)記載1〜83の被告シャフトが,主位的には,控訴人の著作物である本件シャフトデザインの翻案に当たり,予備的には,控訴人の著作物である本件原画の翻案に当たるから,被控訴人の被告シャフト製造,販売行為が,控訴人の著作権(翻案権,二次的著作物の譲渡権)を侵害し,(2)被告シャフトの製造は,主位的には,控訴人の意に反して本件シャフトデザインを改変してなされたものであり,予備的には,控訴人の意に反して本件原画を改変してなされたものであるから,控訴人の著作者人格権(同一性保持権)を侵害し,(3)別紙被告カタログ目録(原判決別紙被告カタログ目録記載の各カタログに,それぞれデザインを記載したもの)記載1及び2の被告カタログの製作は,控訴人の意に反して,控訴人の著作物である本件カタログデザインを改変してなされたものであるから,控訴人の著作者人格権(同一性保持権)を侵害しているとして,(1)被告シャフト5〜8による著作権(翻案権,二次的著作物の譲渡権)侵害につき民法703条,704条に基づく使用料相当額の不当利得金5400万円及びこれに対する不当利得日である平成19年6月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による利息の返還,(2)被告シャフト及び被告カタログによる著作者人格権(同一性保持権)侵害につき民法709条に基づく慰謝料850万円の内金425万円及びこれに対する不法行為の後である平成27年8月18日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,(3)被告シャフト及び被告カタログによる著作者人格権(同一性保持権)侵害につき著作権法112条1項に基づく被告シャフト及び被告カタログの製造及び頒布の差止め並びに同条2項に基づく廃棄,並びに,(4)被告シャフトによる著作者人格権(同一性保持権)侵害につき,同法115条に基づく謝罪広告の掲載を求めた事案である。
原判決は,本件シャフトデザイン,本件原画及び本件カタログデザインは,いずれも,著作権法上の著作物に当たらないとして,控訴人の請求を全部棄却した。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件シャフトデザイン及び本件原画の著作物性
控訴審は、応用美術の著作物性(美術の著作物 著作権法10条1項4号)の意義について言及した上で、本件シャフトデザイン及び本件原画の著作物性について検討しています(24頁以下)。
結論として、ありふれたものであるなどとして、本件シャフトデザイン等には創作的な表現は認められず、著作物性を認めていません。
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2 本件カタログデザインの著作物性
控訴審は、本件カタログデザインの著作物性について、特段の工夫が見られず平凡であるとして、本件カタログデザインには本件シャフトデザイン等より更に創作的な表現はなく、著作物性は認められないと判断しています(36頁以下)。
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3 被告シャフトによる翻案権及び二次的著作物の譲渡権並びに同一性保持権侵害の有無
控訴審は、念のため、として、仮に本件シャフトデザイン等に著作物性が認められるとした場合において、被告シャフトが本件シャフトデザイン等を翻案したものであり、被控訴人が控訴人の著作権(翻案権、二次的著作物の譲渡権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害したといえるかについて検討しています(37頁以下)。
結論としては、仮に本件シャフトデザイン等に著作物性が認められるとしても、被告シャフトは本件シャフトデザイン等の表現上の本質的特徴を直接感得できるものではないとして、仮に被告シャフトに創作性がある場合には別個の著作物であることとなると判断。被控訴人による被告シャフト製造、頒布が本件シャフトデザイン等に係る控訴人の著作権(翻案権、二次的著作物の譲渡権)を侵害したとは認められないと判断しています。
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■コメント
ゴルフシャフトのデザインやそのデザインを利用したカタログ表紙のデザインの著作物性について、控訴審でもそれらの著作物性が否定され、原審の棄却の結論が維持されています。
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■過去のブログ記事
2016年05月30日 原審記事