最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ツイキャス無断ライブ配信事件
東京地裁平成28.12.15平成28(ワ)11697著作権侵害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 林 雅子
裁判官 中嶋邦人
*裁判所サイト公表 2016.12.27
*キーワード:動画配信、公表権、時事の事件の報道、名誉声望侵害行為
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■事案
講演を無断でツイキャスでライブ動画配信した事案
原告:宗教法人元職員ら
被告:著述家
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法18条、41条、23条、113条6項
1 本件配信による公表権侵害の成否
2 本件配信の「時事の事件の報道」該当性
3 本件コメントによる原告Aの名誉又は声望の毀損の有無
4 損害額
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■事案の概要
『本件は,原告ら4名による講演を被告がインターネット上で配信したことに関し,(1)原告らが被告に対し,原告らそれぞれの著作物である上記講演中の各原告の口述部分に係る公表権及び公衆送信権が侵害されたと主張して,不法行為(民法709条)に基づく損害賠償金として原告A及び原告Bにつき各550万円,原告C及び原告Dにつき各110万円並びにこれらに対する不法行為の日である平成27年12月12日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を,(2)原告Aが被告に対し,上記配信は原告Aの名誉又は声望を害する方法で行われたと主張して,著作権法115条に基づく名誉回復措置として謝罪広告の掲載をそれぞれ求める事案である。』(2頁)
<経緯>
H27.12 第3回真理講演会開催
被告が講演をツイキャスでネット動画配信
被告が25件のコメントを投稿
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■判決内容
<争点>
1 本件配信による公表権侵害の成否
原告らは、本件配信はライブ配信であり、本件講演が原告らによる口述と同時に配信されるため本件配信の時点では本件講演は未公表であった旨主張しました(6頁以下)。
この点について、裁判所は、本件講演会は定員86名の会場で行われ、対象者が限定されておらず、事前に申込みをすれば誰でも参加することができるものであったとして、本件講演は不特定又は多数の者に対して行われたものであり、原告らの口述により公衆に提示され公表されたと判断。原告の本件配信による公表権侵害(著作権法18条)の主張を認めていません。
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2 本件配信の「時事の事件の報道」該当性
被告は、言語の著作物である本件講演をインターネット上の配信サイトで無断配信しており、被告の行為は本件講演に係る各原告の公衆送信権(23条)を侵害する行為に該当すると裁判所は認定。
これに対して、被告は、本件配信は「時事の事件の報道」(41条)に該当するため、原告らの著作権が制限され公衆送信権侵害は成立しない旨主張しました。
この点について、裁判所は、本件講演それ自体が同条にいう「時事の事件」に当たるとみることは困難であること、さらに、同条は時事の事件を報道する場合には当該事件を構成する著作物等を「報道の目的上正当な範囲内」において「当該事件の報道に伴って利用する」限りにおいて、当該著作物についての著作権を制限する旨の規定であるところ、本件配信は,約3時間にわたり本件講演の全部を本件コメントを付して配信するものであり、同条により許される著作物の利用に当たらないことは明らかであると判断。
結論として、本件配信は、上記公衆送信権を侵害すると判断しています(7頁)。
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3 本件コメントによる原告Aの名誉又は声望の毀損の有無
被告が本件配信の際に原告Aに関して、「ラスボス・Aは,この後3時から」「ラスボス登場」などのコメントを投稿したことが原告Aの名誉又は声望を毀損する方法で行われたものにあたり、著作者人格権を侵害する行為とみなされるかどうか(113条6項)について、裁判所は、 結論として、被告による本件講演の利用の方法が原告Aの名誉又は声望を害するものであったと認めることはできないと判断。名誉回復措置に関する謝罪広告掲載の請求(115条)を認めていません(7頁以下)。
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4 損害額
被告による公衆送信権侵害の点について、以下のように損害額を認定しています(8頁以下)。
(1)財産的損害
原告A、B 各6万円
原告C 1万円
原告D 3000円
(2)弁護士費用相当額損害
原告A、B 各1万円
原告C 2000円
原告D 1000円
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■コメント
講演会を無断でツイキャス(http://twitcasting.tv/)でライブ動画配信した事案となります。
ツイキャス無断ライブ配信事件
東京地裁平成28.12.15平成28(ワ)11697著作権侵害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 林 雅子
裁判官 中嶋邦人
*裁判所サイト公表 2016.12.27
*キーワード:動画配信、公表権、時事の事件の報道、名誉声望侵害行為
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■事案
講演を無断でツイキャスでライブ動画配信した事案
原告:宗教法人元職員ら
被告:著述家
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法18条、41条、23条、113条6項
1 本件配信による公表権侵害の成否
2 本件配信の「時事の事件の報道」該当性
3 本件コメントによる原告Aの名誉又は声望の毀損の有無
4 損害額
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■事案の概要
『本件は,原告ら4名による講演を被告がインターネット上で配信したことに関し,(1)原告らが被告に対し,原告らそれぞれの著作物である上記講演中の各原告の口述部分に係る公表権及び公衆送信権が侵害されたと主張して,不法行為(民法709条)に基づく損害賠償金として原告A及び原告Bにつき各550万円,原告C及び原告Dにつき各110万円並びにこれらに対する不法行為の日である平成27年12月12日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を,(2)原告Aが被告に対し,上記配信は原告Aの名誉又は声望を害する方法で行われたと主張して,著作権法115条に基づく名誉回復措置として謝罪広告の掲載をそれぞれ求める事案である。』(2頁)
<経緯>
H27.12 第3回真理講演会開催
被告が講演をツイキャスでネット動画配信
被告が25件のコメントを投稿
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■判決内容
<争点>
1 本件配信による公表権侵害の成否
原告らは、本件配信はライブ配信であり、本件講演が原告らによる口述と同時に配信されるため本件配信の時点では本件講演は未公表であった旨主張しました(6頁以下)。
この点について、裁判所は、本件講演会は定員86名の会場で行われ、対象者が限定されておらず、事前に申込みをすれば誰でも参加することができるものであったとして、本件講演は不特定又は多数の者に対して行われたものであり、原告らの口述により公衆に提示され公表されたと判断。原告の本件配信による公表権侵害(著作権法18条)の主張を認めていません。
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2 本件配信の「時事の事件の報道」該当性
被告は、言語の著作物である本件講演をインターネット上の配信サイトで無断配信しており、被告の行為は本件講演に係る各原告の公衆送信権(23条)を侵害する行為に該当すると裁判所は認定。
これに対して、被告は、本件配信は「時事の事件の報道」(41条)に該当するため、原告らの著作権が制限され公衆送信権侵害は成立しない旨主張しました。
この点について、裁判所は、本件講演それ自体が同条にいう「時事の事件」に当たるとみることは困難であること、さらに、同条は時事の事件を報道する場合には当該事件を構成する著作物等を「報道の目的上正当な範囲内」において「当該事件の報道に伴って利用する」限りにおいて、当該著作物についての著作権を制限する旨の規定であるところ、本件配信は,約3時間にわたり本件講演の全部を本件コメントを付して配信するものであり、同条により許される著作物の利用に当たらないことは明らかであると判断。
結論として、本件配信は、上記公衆送信権を侵害すると判断しています(7頁)。
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3 本件コメントによる原告Aの名誉又は声望の毀損の有無
被告が本件配信の際に原告Aに関して、「ラスボス・Aは,この後3時から」「ラスボス登場」などのコメントを投稿したことが原告Aの名誉又は声望を毀損する方法で行われたものにあたり、著作者人格権を侵害する行為とみなされるかどうか(113条6項)について、裁判所は、 結論として、被告による本件講演の利用の方法が原告Aの名誉又は声望を害するものであったと認めることはできないと判断。名誉回復措置に関する謝罪広告掲載の請求(115条)を認めていません(7頁以下)。
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4 損害額
被告による公衆送信権侵害の点について、以下のように損害額を認定しています(8頁以下)。
(1)財産的損害
原告A、B 各6万円
原告C 1万円
原告D 3000円
(2)弁護士費用相当額損害
原告A、B 各1万円
原告C 2000円
原告D 1000円
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■コメント
講演会を無断でツイキャス(http://twitcasting.tv/)でライブ動画配信した事案となります。