最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
EM菌新聞記事事件(控訴審)
知財高裁平成28.11.10平成28(ネ)10050損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 中島基至
裁判官 岡田慎吾
*裁判所サイト公表 2016.11.14
*キーワード:著作物性、複製、翻案
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■事案
有用微生物群(EM)に関する新聞記事が研究者の著作権等を侵害するかどうかが争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :大学名誉教授
被控訴人(1審被告):新聞社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、20条、115条、民法709条
1 本件被控訴人記載1及び2が控訴人の複製権又は同一性保持権を侵害するか
2 控訴人を取材せずに本件記事1及び2を掲載した行為が不法行為に当たるか
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,新聞社である被控訴人に対し,被控訴人が発行する新聞の記事に控訴人の執筆したブログの一部を引用したことが控訴人の複製権(著作権法21条)及び同一性保持権(同法20条)の侵害に当たるとともに,控訴人を取材せずに記事を掲載した行為が不法行為に当たると主張して,(1)民法709条に基づき,慰謝料等の損害賠償金合計352万円及びこれに対する最終の不法行為の日である平成24年7月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,(2)著作権法115条及び人格権に基づき名誉回復措置として謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案である。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したため,控訴人は,原判決を不服として,控訴を提起した。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件被控訴人記載1及び2が控訴人の複製権又は同一性保持権を侵害するか
控訴審は、著作物性や複製、翻案の意義について言及した上で、本件控訴人記載の著作権侵害の成否を判断。結論として、本件被控訴人記載1及び2は、著作物の複製に当たらず複製権を侵害するものとはならない。また、被控訴人による複製権侵害を前提とする同一性保持権の侵害も認められず、控訴人の著作者人格権を侵害することにもならないと判断しています(4頁以下)。
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2 控訴人を取材せずに本件記事1及び2を掲載した行為が不法行為に当たるか
控訴人を取材せずに本件記事1及び2を掲載した行為は、被控訴人が作成し公表している「朝日新聞記者行動基準」が規定する取材方法に抵触するものとして、被控訴人社内における自律的処理の対象として検討されるのは格別、その態様、記事の内容及び趣旨、控訴人の学者としての社会的地位、本件記事1及び2の掲載により負うこととなった控訴人の負担等を総合考慮すると、本件記事1及び2の掲載行為により控訴人の被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいい難く、これを不法行為法上違法なものであるということはできないと控訴審は判断しています(6頁以下)。
結論として、控訴人(1審原告)の主張はいずれも認められていません。
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■コメント
原審の棄却の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
2016年05月11日
原審記事
EM菌新聞記事事件(控訴審)
知財高裁平成28.11.10平成28(ネ)10050損害賠償等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 中島基至
裁判官 岡田慎吾
*裁判所サイト公表 2016.11.14
*キーワード:著作物性、複製、翻案
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■事案
有用微生物群(EM)に関する新聞記事が研究者の著作権等を侵害するかどうかが争点となった事案の控訴審
控訴人(1審原告) :大学名誉教授
被控訴人(1審被告):新聞社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、20条、115条、民法709条
1 本件被控訴人記載1及び2が控訴人の複製権又は同一性保持権を侵害するか
2 控訴人を取材せずに本件記事1及び2を掲載した行為が不法行為に当たるか
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,新聞社である被控訴人に対し,被控訴人が発行する新聞の記事に控訴人の執筆したブログの一部を引用したことが控訴人の複製権(著作権法21条)及び同一性保持権(同法20条)の侵害に当たるとともに,控訴人を取材せずに記事を掲載した行為が不法行為に当たると主張して,(1)民法709条に基づき,慰謝料等の損害賠償金合計352万円及びこれに対する最終の不法行為の日である平成24年7月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,(2)著作権法115条及び人格権に基づき名誉回復措置として謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案である。
原審は,控訴人の請求をいずれも棄却したため,控訴人は,原判決を不服として,控訴を提起した。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件被控訴人記載1及び2が控訴人の複製権又は同一性保持権を侵害するか
控訴審は、著作物性や複製、翻案の意義について言及した上で、本件控訴人記載の著作権侵害の成否を判断。結論として、本件被控訴人記載1及び2は、著作物の複製に当たらず複製権を侵害するものとはならない。また、被控訴人による複製権侵害を前提とする同一性保持権の侵害も認められず、控訴人の著作者人格権を侵害することにもならないと判断しています(4頁以下)。
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2 控訴人を取材せずに本件記事1及び2を掲載した行為が不法行為に当たるか
控訴人を取材せずに本件記事1及び2を掲載した行為は、被控訴人が作成し公表している「朝日新聞記者行動基準」が規定する取材方法に抵触するものとして、被控訴人社内における自律的処理の対象として検討されるのは格別、その態様、記事の内容及び趣旨、控訴人の学者としての社会的地位、本件記事1及び2の掲載により負うこととなった控訴人の負担等を総合考慮すると、本件記事1及び2の掲載行為により控訴人の被った精神的苦痛が社会通念上受忍すべき限度を超えるとまではいい難く、これを不法行為法上違法なものであるということはできないと控訴審は判断しています(6頁以下)。
結論として、控訴人(1審原告)の主張はいずれも認められていません。
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■コメント
原審の棄却の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
2016年05月11日
原審記事