最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
メガネ商品広告写真事件
知財高裁平成28.6.23平成28(ネ)10025売掛金請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 杉浦正樹
裁判官 寺田利彦
原審:千葉地方裁判所松戸支部平成27年(ワ)第209号(裁判所サイト未掲載)
*裁判所サイト公表 2016.6.24
*キーワード:写真、広告、著作物性
--------------------
■事案
メガネの商品広告写真の著作物性などが争点となった事案
控訴人(一審原告) :個人
被控訴人(一審被告):会社
--------------------
■結論
控訴棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号
1 写真の著作物性
--------------------
■事案の概要
『本件は,原判決別紙写真目録記載(4),(5),(7)ないし(14),(17)ないし(25),(27),(30),(32),(34)及び(36)ないし(38)の各写真データである本件写真データにつき控訴人が著作権を有するにもかかわらず,被控訴人が本件写真データを使用して作成したチラシをメガネサロントミナガのホームページである本件ホームページに掲載した行為は控訴人の著作権(複製権)を侵害する旨主張して,控訴人が,被控訴人に対し,著作権侵害の不法行為による損害賠償及びこれに対する不法行為の日より後の日である平成27年3月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』
『原判決は,本件写真データは思想又は感情を創作的に表現したものとは認められず,著作物性があるとはいえない旨判示して,控訴人の請求を棄却した。控訴人はこれを不服として控訴した。』
(1頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 写真の著作物性
原審同様、写真の著作物性(著作権法2条1項1号)を否定しています。
--------------------
■コメント
原審の判断内容を確認できていないため、当事者の属性や紛争に至る経緯が明確ではありませんが、チラシ使用目的で撮影した画像をウェブサイトに流用されたため、二次使用料を請求した、といった状況でしょうか(売掛金請求というのも、よく分かりませんが)。
商品広告写真の著作物性については、スメルゲット事件知財高裁判決(知財高裁平成18年3月29日平成17年(ネ)第10094号請負代金請求控訴事件)が先例としてありますが、被告メガネショップのサイトのウェブチラシを参考に見てみると、よくあるメガネフレームの商品写真で、ライティングや切り抜きに一定の手間暇は掛かっているかと推察されるものの、著作物性を認めるほどのものでもない、との印象を受けます。
また、仮に著作物性を認めても、撮影契約内容として、ウェブチラシへの流用が許容されていたかどうかは、最近のマルチユースが常態の広告業界では、本事案のような場合は、紙媒体だけの使用だった、との認定は難しいのではないか、とは思われます。
メガネ商品広告写真事件
知財高裁平成28.6.23平成28(ネ)10025売掛金請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 杉浦正樹
裁判官 寺田利彦
原審:千葉地方裁判所松戸支部平成27年(ワ)第209号(裁判所サイト未掲載)
*裁判所サイト公表 2016.6.24
*キーワード:写真、広告、著作物性
--------------------
■事案
メガネの商品広告写真の著作物性などが争点となった事案
控訴人(一審原告) :個人
被控訴人(一審被告):会社
--------------------
■結論
控訴棄却
--------------------
■争点
条文 著作権法2条1項1号
1 写真の著作物性
--------------------
■事案の概要
『本件は,原判決別紙写真目録記載(4),(5),(7)ないし(14),(17)ないし(25),(27),(30),(32),(34)及び(36)ないし(38)の各写真データである本件写真データにつき控訴人が著作権を有するにもかかわらず,被控訴人が本件写真データを使用して作成したチラシをメガネサロントミナガのホームページである本件ホームページに掲載した行為は控訴人の著作権(複製権)を侵害する旨主張して,控訴人が,被控訴人に対し,著作権侵害の不法行為による損害賠償及びこれに対する不法行為の日より後の日である平成27年3月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。』
『原判決は,本件写真データは思想又は感情を創作的に表現したものとは認められず,著作物性があるとはいえない旨判示して,控訴人の請求を棄却した。控訴人はこれを不服として控訴した。』
(1頁以下)
--------------------
■判決内容
<争点>
1 写真の著作物性
原審同様、写真の著作物性(著作権法2条1項1号)を否定しています。
--------------------
■コメント
原審の判断内容を確認できていないため、当事者の属性や紛争に至る経緯が明確ではありませんが、チラシ使用目的で撮影した画像をウェブサイトに流用されたため、二次使用料を請求した、といった状況でしょうか(売掛金請求というのも、よく分かりませんが)。
商品広告写真の著作物性については、スメルゲット事件知財高裁判決(知財高裁平成18年3月29日平成17年(ネ)第10094号請負代金請求控訴事件)が先例としてありますが、被告メガネショップのサイトのウェブチラシを参考に見てみると、よくあるメガネフレームの商品写真で、ライティングや切り抜きに一定の手間暇は掛かっているかと推察されるものの、著作物性を認めるほどのものでもない、との印象を受けます。
また、仮に著作物性を認めても、撮影契約内容として、ウェブチラシへの流用が許容されていたかどうかは、最近のマルチユースが常態の広告業界では、本事案のような場合は、紙媒体だけの使用だった、との認定は難しいのではないか、とは思われます。