最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
MAY J.提供楽曲著作権譲渡契約証書真否確認事件(控訴審)
知財高裁平成28.5.26平成28(ネ)10002証書真否確認等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 大西勝滋
裁判官 杉浦正樹
*裁判所サイト公表 2016.5.27
*キーワード:音楽、譲渡契約、証書真否確認、相殺
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■事案
楽曲の著作権譲渡契約書の真否が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審原告) :音楽マネジメント会社、同社代表者
被控訴人【一審被告):音楽制作会社ら
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 民法505条
1 本件契約書の成立の真否
2 不法行為に基づく損害賠償請求及び謝罪広告請求の可否
3 本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく代金請求の可否(相殺の抗弁の成否)
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■事案の概要
『本件は,控訴人らが,被控訴人らに対し,控訴人会社とエイベックス・エンタテインメント株式会社(AEI。被控訴人ADの旧商号)との間の2012年(平成24年)12月1日付け著作権譲渡契約書(本件契約書。その写しは別添のとおり。)は,被控訴人らの従業員らによって偽造されたものであるとして,本件契約書の成立の不真正の確認を求めるとともに,被控訴人らの従業員らによる本件契約書の偽造という不法行為について,被控訴人らは使用者責任を負うとして,民法709条,715条1項本文,723条に基づき,控訴人会社に対する損害賠償金80万9000円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払並びに控訴人らに対する当該不法行為により棄損された名誉を回復するための措置としての謝罪広告を求めた事案である。』
『原判決は,本件契約書は偽造されたものとは認められず,真正に成立したものと認められるとして控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らは,これを不服として本件控訴を提起した。そして,控訴人会社は,当審において,被控訴人らに対する損害賠償請求に係る請求額を70万9000円及びこれに対する遅延損害金に減縮するとともに,控訴人会社とAEIとの間で締結された本件楽曲に係る著作権の譲渡契約に基づき,当該契約上の代金債務をAEIから引き受けたと主張する被控訴人AMC及び同AMPに対し,代金10万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める請求を追加した。なお,被控訴人らは,いずれも控訴人会社による上記請求の減縮に同意した。』(3頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件契約書の成立の真否
本件契約書の成立の真否について、控訴審も、本件契約書は偽造されたものとは認められず、真正に成立したものであると判断しています(8頁以下)。
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2 不法行為に基づく損害賠償請求及び謝罪広告請求の可否
被控訴人らの従業員らが本件契約書を偽造したとの事実は認められないことから、当該事実が認められることを前提とする控訴人会社の損害賠償請求及び控訴人らの謝罪広告請求に理由がないと判断されています(15頁)。
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3 本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく代金請求の可否(相殺の抗弁の成否)
控訴人会社は、被控訴人AMPに対して控訴人会社とAEIとの間の本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく10万円の代金債権を有していたものの、被控訴人AMPは、控訴人会社に対して控訴人会社が平成25年4月頃から6か月以上に亘って、被控訴人AMPに対し面談や話合いを求めるなどしてその業務を妨害したことについて、不法行為に基づく損害賠償請求権として30万円の支払請求権を有していると裁判所は認定。
その上で、被控訴人AMPの相殺によって当該代金債権は消滅したと裁判所は判断。控訴人会社の被控訴人AMC及び同AMPに対する本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく代金請求には理由がないと判断されています(15頁以下)。
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■コメント
控訴審で追加した請求部分も含め、一審原告(控訴人)の請求は認められていません。
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■過去のブログ記事
東京地裁平成27.11.26平成27(ワ)10310証書真否確認等請求事件
2016年01月08日記事 原審記事
MAY J.提供楽曲著作権譲渡契約証書真否確認事件(控訴審)
知財高裁平成28.5.26平成28(ネ)10002証書真否確認等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 鶴岡稔彦
裁判官 大西勝滋
裁判官 杉浦正樹
*裁判所サイト公表 2016.5.27
*キーワード:音楽、譲渡契約、証書真否確認、相殺
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■事案
楽曲の著作権譲渡契約書の真否が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審原告) :音楽マネジメント会社、同社代表者
被控訴人【一審被告):音楽制作会社ら
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 民法505条
1 本件契約書の成立の真否
2 不法行為に基づく損害賠償請求及び謝罪広告請求の可否
3 本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく代金請求の可否(相殺の抗弁の成否)
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■事案の概要
『本件は,控訴人らが,被控訴人らに対し,控訴人会社とエイベックス・エンタテインメント株式会社(AEI。被控訴人ADの旧商号)との間の2012年(平成24年)12月1日付け著作権譲渡契約書(本件契約書。その写しは別添のとおり。)は,被控訴人らの従業員らによって偽造されたものであるとして,本件契約書の成立の不真正の確認を求めるとともに,被控訴人らの従業員らによる本件契約書の偽造という不法行為について,被控訴人らは使用者責任を負うとして,民法709条,715条1項本文,723条に基づき,控訴人会社に対する損害賠償金80万9000円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払並びに控訴人らに対する当該不法行為により棄損された名誉を回復するための措置としての謝罪広告を求めた事案である。』
『原判決は,本件契約書は偽造されたものとは認められず,真正に成立したものと認められるとして控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らは,これを不服として本件控訴を提起した。そして,控訴人会社は,当審において,被控訴人らに対する損害賠償請求に係る請求額を70万9000円及びこれに対する遅延損害金に減縮するとともに,控訴人会社とAEIとの間で締結された本件楽曲に係る著作権の譲渡契約に基づき,当該契約上の代金債務をAEIから引き受けたと主張する被控訴人AMC及び同AMPに対し,代金10万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める請求を追加した。なお,被控訴人らは,いずれも控訴人会社による上記請求の減縮に同意した。』(3頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件契約書の成立の真否
本件契約書の成立の真否について、控訴審も、本件契約書は偽造されたものとは認められず、真正に成立したものであると判断しています(8頁以下)。
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2 不法行為に基づく損害賠償請求及び謝罪広告請求の可否
被控訴人らの従業員らが本件契約書を偽造したとの事実は認められないことから、当該事実が認められることを前提とする控訴人会社の損害賠償請求及び控訴人らの謝罪広告請求に理由がないと判断されています(15頁)。
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3 本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく代金請求の可否(相殺の抗弁の成否)
控訴人会社は、被控訴人AMPに対して控訴人会社とAEIとの間の本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく10万円の代金債権を有していたものの、被控訴人AMPは、控訴人会社に対して控訴人会社が平成25年4月頃から6か月以上に亘って、被控訴人AMPに対し面談や話合いを求めるなどしてその業務を妨害したことについて、不法行為に基づく損害賠償請求権として30万円の支払請求権を有していると裁判所は認定。
その上で、被控訴人AMPの相殺によって当該代金債権は消滅したと裁判所は判断。控訴人会社の被控訴人AMC及び同AMPに対する本件楽曲の著作権譲渡契約に基づく代金請求には理由がないと判断されています(15頁以下)。
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■コメント
控訴審で追加した請求部分も含め、一審原告(控訴人)の請求は認められていません。
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■過去のブログ記事
東京地裁平成27.11.26平成27(ワ)10310証書真否確認等請求事件
2016年01月08日記事 原審記事