最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
Yahoo!知恵袋投稿記事発信者情報開示事件(対ソフトバンク)
東京地裁平成27.11.30平成27(ワ)18859発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官 笹本哲朗
裁判官 天野研司
*裁判所サイト公表 2015.12.02
*キーワード:著作物性、引用、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法
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■事案
電子掲示板「Yahoo!知恵袋」に掲載された肖像写真について発信者に係る情報の開示を求めた事案
原告:宗教法人
被告:プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 プロバイダ責任制限法4条1項、著作権法2条1項1号、15条1項、32条
1 本件記事により原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるか
2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか
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■事案の概要
『本件は,別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)の著作権を有すると主張する原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の電子掲示板「Yahoo!知恵袋」(以下「本件掲示板」という。)に投稿した別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)中に掲載されている別紙掲載写真目録記載の写真(以下「本件掲載写真」という。)は,本件写真を複製又は翻案したものであるから,本件記事を投稿した行為により原告が有する本件写真の著作権(本件写真の二次的著作物の利用に関する権利を含む。以下,同じ。)が侵害されたことは明らかであり,本件投稿者に対する損害賠償請求権の行使のために本件記事に係る別紙発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受ける必要があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下,単に「法」という。)4条1項に基づき,経由プロバイダである被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件記事により原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるか
(1)本件写真の創作性及び著作権者について
本件写真は、会談中のA名誉会長を当時原告の一部門である聖教新聞社の職員が撮影したもので、写真の著作物として著作物性(著作権法2条1項1号)が認められ、また、職務著作(15条1項)として原告が著作者・著作権者であることを裁判所は認めています(5頁以下)。
(2)本件掲載写真が本件写真を複製又は翻案したものであるかについて
本件掲載写真の一部を構成する本件肖像写真部分は、モノクロ加工され周辺部分がトリミングされている点において本件写真と異なる点があるものの、本件掲載写真からはなお本件写真で特徴的に表現されているA名誉会長の表情及び姿勢を明確に覚知することができると裁判所は判断。
本件掲載写真は、本件写真に依拠し、少なくともこれを翻案したものと認められています。
(3)引用(32条1項)の成否について
本件掲載写真を説明する記述がなく、本件記事において本件掲載写真を掲載する必要性は明らかではない上、本件記事は本件掲載写真を掲載するにあたってその出典を明示していないとして、裁判所は32条1項の引用に該当しないと判断しています。
結論として、プロバイダ責任制限法4条1項1号該当性が肯定されています。
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2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか
原告は、本件投稿者に対して本件写真の著作権(公衆送信権)侵害の不法行為による損害賠償請求権を行使するために本件発信者情報の開示を求めているものと認められ、損害賠償請求権を行使するためには本件投稿者を特定する必要があることから、原告には同特定のために本件発信者情報の開示を受ける必要があると裁判所は判断しています(7頁以下)。
結論として、プロバイダ責任制限法4条1項2号該当性が肯定されています。
以上から、原告の請求が認められています。
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■コメント
インターネット掲示板に池田名誉会長の写真画像が無断で使用された事案となります。
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■過去のブログ記事
東京地裁平成27.4.27平成26(ワ)26974発信者情報開示請求事件
Yahoo!知恵袋投稿記事発信者情報開示事件(対NTTコミュニケーションズ)
Yahoo!知恵袋投稿記事発信者情報開示事件(対ソフトバンク)
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東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官 笹本哲朗
裁判官 天野研司
*裁判所サイト公表 2015.12.02
*キーワード:著作物性、引用、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法
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■事案
電子掲示板「Yahoo!知恵袋」に掲載された肖像写真について発信者に係る情報の開示を求めた事案
原告:宗教法人
被告:プロバイダ
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■結論
請求認容
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■争点
条文 プロバイダ責任制限法4条1項、著作権法2条1項1号、15条1項、32条
1 本件記事により原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるか
2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか
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■事案の概要
『本件は,別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)の著作権を有すると主張する原告が,氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上の電子掲示板「Yahoo!知恵袋」(以下「本件掲示板」という。)に投稿した別紙投稿記事目録記載の記事(以下「本件記事」という。)中に掲載されている別紙掲載写真目録記載の写真(以下「本件掲載写真」という。)は,本件写真を複製又は翻案したものであるから,本件記事を投稿した行為により原告が有する本件写真の著作権(本件写真の二次的著作物の利用に関する権利を含む。以下,同じ。)が侵害されたことは明らかであり,本件投稿者に対する損害賠償請求権の行使のために本件記事に係る別紙発信者情報目録記載の情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を受ける必要があると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下,単に「法」という。)4条1項に基づき,経由プロバイダである被告に対し,本件発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 本件記事により原告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるか
(1)本件写真の創作性及び著作権者について
本件写真は、会談中のA名誉会長を当時原告の一部門である聖教新聞社の職員が撮影したもので、写真の著作物として著作物性(著作権法2条1項1号)が認められ、また、職務著作(15条1項)として原告が著作者・著作権者であることを裁判所は認めています(5頁以下)。
(2)本件掲載写真が本件写真を複製又は翻案したものであるかについて
本件掲載写真の一部を構成する本件肖像写真部分は、モノクロ加工され周辺部分がトリミングされている点において本件写真と異なる点があるものの、本件掲載写真からはなお本件写真で特徴的に表現されているA名誉会長の表情及び姿勢を明確に覚知することができると裁判所は判断。
本件掲載写真は、本件写真に依拠し、少なくともこれを翻案したものと認められています。
(3)引用(32条1項)の成否について
本件掲載写真を説明する記述がなく、本件記事において本件掲載写真を掲載する必要性は明らかではない上、本件記事は本件掲載写真を掲載するにあたってその出典を明示していないとして、裁判所は32条1項の引用に該当しないと判断しています。
結論として、プロバイダ責任制限法4条1項1号該当性が肯定されています。
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2 本件発信者情報が原告の損害賠償請求権の行使のために必要であるか
原告は、本件投稿者に対して本件写真の著作権(公衆送信権)侵害の不法行為による損害賠償請求権を行使するために本件発信者情報の開示を求めているものと認められ、損害賠償請求権を行使するためには本件投稿者を特定する必要があることから、原告には同特定のために本件発信者情報の開示を受ける必要があると裁判所は判断しています(7頁以下)。
結論として、プロバイダ責任制限法4条1項2号該当性が肯定されています。
以上から、原告の請求が認められています。
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■コメント
インターネット掲示板に池田名誉会長の写真画像が無断で使用された事案となります。
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■過去のブログ記事
東京地裁平成27.4.27平成26(ワ)26974発信者情報開示請求事件
Yahoo!知恵袋投稿記事発信者情報開示事件(対NTTコミュニケーションズ)