最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「巻くだけダイエット」書籍事件(控訴審)
知財高裁平成27.2.2平成26(ネ)100945著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 大寄麻代
裁判官 平田晃史
*裁判所サイト公表 2015.2.27
*キーワード:書籍、類否、複製、翻案、題号、商品等表示性
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■事案
ゴムバンドを使用したダイエット法に関する書籍の類否が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審原告) :カイロプラクター
被控訴人(一審被告):鍼灸院院長、出版社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法21条、27条、不正競争防止法2条1項1号、2号
1 著作権・著作者人格権侵害の成否
2 不正競争の成否
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人Y(以下「被控訴人Y」という。)が著作し,被控訴人日本文芸社(以下「被控訴人会社」という。)が出版する原判決別紙被告書籍目録1記載の書籍(題号「1日1分から 1本のバンドですっきりスリム 巻くだけでやせる!」。以下「被控訴人書籍1」という。)及び同目録2記載の書籍(題号「腰痛・肩こり・ひざ痛 巻くだけで痛みをとる!」。以下「被控訴人書籍2」といい,被控訴人書籍1と合わせて「被控訴人書籍」という。)の発行は,控訴人の著作した原判決別紙原告著作物目録記載の書籍(題号「バンド1本でやせる!巻くだけダイエット」。以下「控訴人書籍」という。)の著作権(複製権,翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)を侵害し,又は不正競争防止法2条1項1号若しくは2号の不正競争に当たると主張して,被控訴人らに対し,(1)控訴人書籍に係る複製権,翻案権,同一性保持権又は氏名表示権(著作権法21条,27条,20条1項,19条1項,112条1項)に基づき,被控訴人書籍の複製及び頒布の差止め,(2)不正競争防止法2条1項1号,2号,3条1項に基づき,被控訴人書籍の製造,販売,販売のための展示の差止め,(3)著作権法112条2項又は不正競争防止法3条2項に基づき,被控訴人書籍の廃棄,(4)民法709条,719条,著作権法114条1項,不正競争防止法4条,5条1項に基づき,損害賠償金4546万8122円及びこれに対する不法行為開始後の日である平成22年4月1日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を,それぞれ求める事案である。
原審は,(1)著作権及び著作者人格権に基づく請求については,控訴人書籍と被控訴人書籍は,表現上の創作性がある部分において共通しているとはいえないとして侵害を認めず,(2)不正競争防止法に基づく請求については,「巻くだけダイエット」という表示及び折り畳んだバンドを添付するという控訴人書籍の「形態」が控訴人の商品等表示であるとは認められず,控訴人書籍の表紙の画像も,控訴人を示す商品等表示として著名であったとは認められない上,被控訴人書籍が同一又は類似の商品等表示を使用したものともいえないとして,控訴人の請求を全部棄却した。原判決を不服として,控訴人が本件控訴をした。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 著作権・著作者人格権侵害の成否
原審では原告書籍と被告書籍は、表現上の創作性ある部分において共通しているとはいえないとして、被告書籍を作成することは、原告書籍の複製とも翻案ともいえず、原告の同一性保持権及び氏名表示権を侵害しないと判断されていましたが、控訴審でも控訴審における当事者の主張に対する判断を付加した上で原審の判断を維持しています(3頁以下)。
控訴審で控訴人が新たに主張した画像や記述の共通する部分について、いずれも具体的な表現内容が異なる、アイデア部分である、あるいはありふれた表現であるなどとして控訴人の主張を認めていません。
たとえば、控訴人は、「バンドを8の字にして」「両腕を上げて、バンザイします」などの説明表現がその言葉の選択において個性的であるなどと主張しましたが、控訴人書籍の具体的な記述である「バンドを8の字にして、両手首にかけます」や「両腕を上げて、バンザイします」という説明表現は、説明対象となる一連の動作を表現するための表現としてはごくありふれており、創作性がある表現とはいえないと控訴審は判断しています(4頁以下)。
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2 不正競争の成否
(1)「巻くだけダイエット」の著名表示冒用行為(不正競争防止法2条1項2号)
(2)「巻くだけダイエット」の混同惹起行為(2条1項1号)
(3)折り畳んだバンドを添付する形態の商品等表示性(2条1項1号、2号)
(4)表紙画像の商品等表示性(2条1項1号、2号)
原審同様、いずれの点についても控訴人の主張は認められていません(5頁以下)。
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■コメント
ダイエット本の類否についての控訴審となります。著作権侵害性、不正競争行為性いずれの点も否定との原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
原審記事
「巻くだけダイエット」書籍事件(控訴審)
知財高裁平成27.2.2平成26(ネ)100945著作権侵害差止等請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 大寄麻代
裁判官 平田晃史
*裁判所サイト公表 2015.2.27
*キーワード:書籍、類否、複製、翻案、題号、商品等表示性
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■事案
ゴムバンドを使用したダイエット法に関する書籍の類否が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審原告) :カイロプラクター
被控訴人(一審被告):鍼灸院院長、出版社
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法21条、27条、不正競争防止法2条1項1号、2号
1 著作権・著作者人格権侵害の成否
2 不正競争の成否
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人Y(以下「被控訴人Y」という。)が著作し,被控訴人日本文芸社(以下「被控訴人会社」という。)が出版する原判決別紙被告書籍目録1記載の書籍(題号「1日1分から 1本のバンドですっきりスリム 巻くだけでやせる!」。以下「被控訴人書籍1」という。)及び同目録2記載の書籍(題号「腰痛・肩こり・ひざ痛 巻くだけで痛みをとる!」。以下「被控訴人書籍2」といい,被控訴人書籍1と合わせて「被控訴人書籍」という。)の発行は,控訴人の著作した原判決別紙原告著作物目録記載の書籍(題号「バンド1本でやせる!巻くだけダイエット」。以下「控訴人書籍」という。)の著作権(複製権,翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権,氏名表示権)を侵害し,又は不正競争防止法2条1項1号若しくは2号の不正競争に当たると主張して,被控訴人らに対し,(1)控訴人書籍に係る複製権,翻案権,同一性保持権又は氏名表示権(著作権法21条,27条,20条1項,19条1項,112条1項)に基づき,被控訴人書籍の複製及び頒布の差止め,(2)不正競争防止法2条1項1号,2号,3条1項に基づき,被控訴人書籍の製造,販売,販売のための展示の差止め,(3)著作権法112条2項又は不正競争防止法3条2項に基づき,被控訴人書籍の廃棄,(4)民法709条,719条,著作権法114条1項,不正競争防止法4条,5条1項に基づき,損害賠償金4546万8122円及びこれに対する不法行為開始後の日である平成22年4月1日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を,それぞれ求める事案である。
原審は,(1)著作権及び著作者人格権に基づく請求については,控訴人書籍と被控訴人書籍は,表現上の創作性がある部分において共通しているとはいえないとして侵害を認めず,(2)不正競争防止法に基づく請求については,「巻くだけダイエット」という表示及び折り畳んだバンドを添付するという控訴人書籍の「形態」が控訴人の商品等表示であるとは認められず,控訴人書籍の表紙の画像も,控訴人を示す商品等表示として著名であったとは認められない上,被控訴人書籍が同一又は類似の商品等表示を使用したものともいえないとして,控訴人の請求を全部棄却した。原判決を不服として,控訴人が本件控訴をした。』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 著作権・著作者人格権侵害の成否
原審では原告書籍と被告書籍は、表現上の創作性ある部分において共通しているとはいえないとして、被告書籍を作成することは、原告書籍の複製とも翻案ともいえず、原告の同一性保持権及び氏名表示権を侵害しないと判断されていましたが、控訴審でも控訴審における当事者の主張に対する判断を付加した上で原審の判断を維持しています(3頁以下)。
控訴審で控訴人が新たに主張した画像や記述の共通する部分について、いずれも具体的な表現内容が異なる、アイデア部分である、あるいはありふれた表現であるなどとして控訴人の主張を認めていません。
たとえば、控訴人は、「バンドを8の字にして」「両腕を上げて、バンザイします」などの説明表現がその言葉の選択において個性的であるなどと主張しましたが、控訴人書籍の具体的な記述である「バンドを8の字にして、両手首にかけます」や「両腕を上げて、バンザイします」という説明表現は、説明対象となる一連の動作を表現するための表現としてはごくありふれており、創作性がある表現とはいえないと控訴審は判断しています(4頁以下)。
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2 不正競争の成否
(1)「巻くだけダイエット」の著名表示冒用行為(不正競争防止法2条1項2号)
(2)「巻くだけダイエット」の混同惹起行為(2条1項1号)
(3)折り畳んだバンドを添付する形態の商品等表示性(2条1項1号、2号)
(4)表紙画像の商品等表示性(2条1項1号、2号)
原審同様、いずれの点についても控訴人の主張は認められていません(5頁以下)。
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■コメント
ダイエット本の類否についての控訴審となります。著作権侵害性、不正競争行為性いずれの点も否定との原審の判断が維持されています。
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