最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ソフトウェアリース契約事件

東京地裁平成26.10.29平成25(ワ)32154プログラム著作物使用権不存在確認等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官      西村康夫
裁判官      石神有吾

*裁判所サイト公表 2014.11.25
*キーワード:リース契約、不当利得、法律上の原因

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■事案

自動車整備業務において売上管理や顧客管理等を行うソフトウェアのリース契約内容が争点となった事案

原告:コンピュータシステム開発販売会社
被告:総合リース業務会社

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■結論

請求棄却

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■争点

条文 民法703条、704条

1 不当利得返還請求について

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■事案の概要

『本件は,別紙物件目録記載のソフトウェアプログラム(以下「本件ソフトウェア」という。)の著作権者である原告が,リース業者である被告に対し,不当利得金68万7750円(被告がユーザーから受領した再リース料相当額)及びこれに対する平成25年12月13日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』(1頁以下)

<経緯>

H19.04 原告が林兼石油とソフト使用許諾契約(本件直接契約)締結
       原告が住信リースと本件使用許諾権設定契約締結
       住信リースと林兼石油が本件リース契約締結
H22.04 被告が住信リースを吸収合併
H24.04 被告と林兼石油が契約更新
H25.04 被告と林兼石油が契約更新
H26.04 被告と林兼石油の間の本件リース契約終了

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■判決内容

<争点>

1 不当利得返還請求について

被告は本件ソフトウェアに関して林兼石油から再リース料を合計18万2448円(消費税別。消費税込みでは19万1570円。)収受していました。
原告は、被告には原告に何の連絡もなく継続使用料を支払わないで再リースを行う権限はないのであって、被告が本件ソフトウェアに関し再リース料の名目で林兼石油より収受した金員は、被告が法律上の原因なく取得した不当利得にあたると主張しました。
被告が林兼石油に再リースする権限を有していたかどうかについて、裁判所は、本件使用許諾権設定契約は、使用許諾期間に関する記載がなく、再リースの際に被告が原告に追加で支払うべき対価の定めもないといった点などから、被告に対する使用許諾及び再リースの承認の期間を当初の5年間に限ったものとは認められず、原告は被告に対して被告と顧客との間で本件リース契約が更新された場合にはその再リース期間を含めて、あらかじめ被告に対する本件ソフトウェアの使用許諾及び再リースを承認したものと認めるのが相当であると判断。
被告は、原告から再リースの承認を受けて適法に本件ソフトウェアを林兼石油に再リースして再リース料を収受したものであるから、その再リース料が原告との関係で不当利得を構成することはないと判断しています(8頁以下)。

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■コメント

エンドユーザーの契約更新の際の再許諾料について、ライセンシー(リース会社)がライセンサーに支払う必要が契約上あったかどうかが争点となった事案となります。