最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
KPIマネジメントツールテンプレート制作業務委託契約事件
東京地裁平成26.9.30平成24(ワ)24628著作権に基づく差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 高野輝久
裁判官 三井大有
裁判官 宇野遥子
*裁判所サイト公表 2014.10.7
*キーワード:データベース、著作物性、複製権、ロイヤリティ、インセンティブ
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■事案
KPIマネジメントツール(経営可視化支援ソリューション)用のテンプレート制作契約を巡ってロイヤリティ未払い分の有無などが争われた事案
原告:公認会計士
被告:ソフト制作販売会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、10の3号、21条
1 本件テンプレートがデータベースの著作物であるか否か
2 被告が本件書面に係る原告の著作権を侵害したか否か
3 被告にロイヤリティ及びインセンティブの未払があるか否か
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■事案の概要
『原告の請求は,被告が被告製品を販売しながら,本件委託契約に基づく本件テンプレートの販売実績の報告及び本件インセンティブ契約に基づくQPR製品のインセンティブの通知をしなかったとして,(1)著作権(複製権ないしは翻案権)に基づき,被告製品の販売,頒布,広告及び展示の差止めを求めるとともに,(2)著作権侵害による実施料相当額の損害4500万円又は本件委託契約の債務不履行による未払のロイヤリティ相当額の損害3645万2578円,これが認められないときは同額の利得及び本件インセンティブ契約の債務不履行による未払のインセンティブ相当額の損害2641万0399円,これが認められないときは同額の利得の合計7141万0399円又は6286万2977円のうち1000万円(前者と後者との金額の比率は4500万対2641万0399である。)並びにこれに対する不法行為の後であり,支払催告の後である平成24年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。』(5頁以下)
<経緯>
H18.4 原被告間で業務委託契約(本件委託契約)締結
H18.7 原被告間で販売インセンティブ基本契約締結
被告がソフト「QPR J−SOX」を販売
H22.9 原告が未払い分の支払い請求
H24.2 原告が未払い分の支払い請求、被告が契約解除の意思表示
被告製品名 「日本版SOX法対応ソリューション」又は「QPR J−SOX」
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■判決内容
<争点>
1 本件テンプレートがデータベースの著作物であるか否か
原告が業務委託契約に基づき作成した本件テンプレートは、「販売,購買,在庫,会計及び現金出納の5つの主要プロセスについて,サブプロセスを含めると82の標準的な業務フローが登録されており,各プロセスには関連する勘定科目が定義され,364個の標準的,典型的なリスクがアサーションの定義とともに登録されていて,被告製品を購入したユーザーがこれをサンプルテンプレートとして利用することで必要な情報をデータベースに随時登録し,プロセス記述書,RCM等として引き出すことにより,内部統制に関する情報を容易に利用することが可能となるもの」といった仕様のものでした(11頁以下)。
しかし、裁判所は、本件テンプレートの実体や存在形式が判然とせず、具体的にどのような情報がいかなる体系で構成されているかについてその詳細が判然としないとして、仮に本件テンプレートがデータベースに該当するものであるとしても、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものであるとは認め難いと判断しています。
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2 被告が本件書面に係る原告の著作権を侵害したか否か
ソフト本体を日本版SOX法(金融商品取引法24条の4の4等)に適応させるため、原告は本件委託契約に基づいて「標準テンプレートおよび文書化モデルサンプル」と題する書面(本件書面)を作成しました。
原告は、被告が被告製品のパンフレットに原告の本件書面及び本件テンプレートを掲載しており、原告の複製権ないし翻案権を侵害していると主張しました。
この点について、裁判所は本件書面と本件パンフレットに掲載された被告製品の画面の表示、業務フローを示したフローチャート、業務処理の名称に符号を付したもの、あるいは短文といったものは、いずれも創作性のある表現ではないとして、著作権侵害性を否定しています(12頁以下)。
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3 被告にロイヤリティ及びインセンティブの未払があるか否か
被告が原告に報告していない被告製品の販売分があるとは認められないと認定されており、裁判所は、ロイヤリティ未払い分の存在を認めていません。また、インセンティブについても未払い分があることを認めていません(14頁以下)。
結論として、原告の請求は認められていません。
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■コメント
KPIマネジメントツール(経営可視化支援ソリューション)用のテンプレートについて、外注により制作した場合の販売ロイヤリティーと追加ライセンス分のインセンティブの支払い状況について、テンプレート制作者と発注者の間で認識に齟齬が生じた事案となります。
KPIマネジメントツールテンプレート制作業務委託契約事件
東京地裁平成26.9.30平成24(ワ)24628著作権に基づく差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 高野輝久
裁判官 三井大有
裁判官 宇野遥子
*裁判所サイト公表 2014.10.7
*キーワード:データベース、著作物性、複製権、ロイヤリティ、インセンティブ
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■事案
KPIマネジメントツール(経営可視化支援ソリューション)用のテンプレート制作契約を巡ってロイヤリティ未払い分の有無などが争われた事案
原告:公認会計士
被告:ソフト制作販売会社
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、10の3号、21条
1 本件テンプレートがデータベースの著作物であるか否か
2 被告が本件書面に係る原告の著作権を侵害したか否か
3 被告にロイヤリティ及びインセンティブの未払があるか否か
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■事案の概要
『原告の請求は,被告が被告製品を販売しながら,本件委託契約に基づく本件テンプレートの販売実績の報告及び本件インセンティブ契約に基づくQPR製品のインセンティブの通知をしなかったとして,(1)著作権(複製権ないしは翻案権)に基づき,被告製品の販売,頒布,広告及び展示の差止めを求めるとともに,(2)著作権侵害による実施料相当額の損害4500万円又は本件委託契約の債務不履行による未払のロイヤリティ相当額の損害3645万2578円,これが認められないときは同額の利得及び本件インセンティブ契約の債務不履行による未払のインセンティブ相当額の損害2641万0399円,これが認められないときは同額の利得の合計7141万0399円又は6286万2977円のうち1000万円(前者と後者との金額の比率は4500万対2641万0399である。)並びにこれに対する不法行為の後であり,支払催告の後である平成24年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。』(5頁以下)
<経緯>
H18.4 原被告間で業務委託契約(本件委託契約)締結
H18.7 原被告間で販売インセンティブ基本契約締結
被告がソフト「QPR J−SOX」を販売
H22.9 原告が未払い分の支払い請求
H24.2 原告が未払い分の支払い請求、被告が契約解除の意思表示
被告製品名 「日本版SOX法対応ソリューション」又は「QPR J−SOX」
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■判決内容
<争点>
1 本件テンプレートがデータベースの著作物であるか否か
原告が業務委託契約に基づき作成した本件テンプレートは、「販売,購買,在庫,会計及び現金出納の5つの主要プロセスについて,サブプロセスを含めると82の標準的な業務フローが登録されており,各プロセスには関連する勘定科目が定義され,364個の標準的,典型的なリスクがアサーションの定義とともに登録されていて,被告製品を購入したユーザーがこれをサンプルテンプレートとして利用することで必要な情報をデータベースに随時登録し,プロセス記述書,RCM等として引き出すことにより,内部統制に関する情報を容易に利用することが可能となるもの」といった仕様のものでした(11頁以下)。
しかし、裁判所は、本件テンプレートの実体や存在形式が判然とせず、具体的にどのような情報がいかなる体系で構成されているかについてその詳細が判然としないとして、仮に本件テンプレートがデータベースに該当するものであるとしても、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものであるとは認め難いと判断しています。
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2 被告が本件書面に係る原告の著作権を侵害したか否か
ソフト本体を日本版SOX法(金融商品取引法24条の4の4等)に適応させるため、原告は本件委託契約に基づいて「標準テンプレートおよび文書化モデルサンプル」と題する書面(本件書面)を作成しました。
原告は、被告が被告製品のパンフレットに原告の本件書面及び本件テンプレートを掲載しており、原告の複製権ないし翻案権を侵害していると主張しました。
この点について、裁判所は本件書面と本件パンフレットに掲載された被告製品の画面の表示、業務フローを示したフローチャート、業務処理の名称に符号を付したもの、あるいは短文といったものは、いずれも創作性のある表現ではないとして、著作権侵害性を否定しています(12頁以下)。
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3 被告にロイヤリティ及びインセンティブの未払があるか否か
被告が原告に報告していない被告製品の販売分があるとは認められないと認定されており、裁判所は、ロイヤリティ未払い分の存在を認めていません。また、インセンティブについても未払い分があることを認めていません(14頁以下)。
結論として、原告の請求は認められていません。
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■コメント
KPIマネジメントツール(経営可視化支援ソリューション)用のテンプレートについて、外注により制作した場合の販売ロイヤリティーと追加ライセンス分のインセンティブの支払い状況について、テンプレート制作者と発注者の間で認識に齟齬が生じた事案となります。