最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
小動物用プラセンタサプリメント販売代理店契約事件
東京地裁平成26.8.28平成25(ワ)2695著作権侵害損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 高野輝久
裁判官 三井大有
裁判官 宇野遥子
*裁判所サイト公表 2014.9.5
*キーワード:販売代理店契約、事業提携、許諾、守秘義務
--------------------
■事案
小動物用のサプリメント販売代理店契約にあたって販促物の取扱いが争点となった事案
原告:健康食品製造販売会社
被告:サプリメント品企画製作販売会社、被告会社代表取締役
--------------------
■結論
請求棄却
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■争点
1 本件各物件の利用許諾の有無について
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告らに対し,被告らがインターネットのウェブサイトやチラシ等に原告が著作権や独占的利用権を有する著作物を無断で掲載するなどして原告の著作物の著作権(公衆送信権及び複製権)や独占的利用権を侵害し,これにより損害を受けたと主張して,著作権法112条に基づき,無断掲載部分のウェブサイトへの表示及び紙媒体への印刷,頒布の差止めと無断掲載部分のウェブサイトからの削除及び記載した紙媒体の廃棄を求めるとともに,不法行為に基づき,主位的に平成24年9月から平成25年2月までの間の使用料相当損害金300万円,予備的に裁判所が相当と認める損害額及びこれらに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。』(2頁)
<経緯>
H23.10 原被告会社間で「小動物用サプリメント販売協定書」(本件協定書)締結
H23.11 被告らがチラシ、ポスター、パンフレット作成
H23.12 被告らが被告会社のHPに掲載
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■判決内容
<争点>
1 本件各物件の利用許諾の有無について
原告は、被告に対して本件協定書に基づきパンフレットやポスターのデータ、チラシなどの資料(本件各物件)を提供していました。
本件協定書によれば、被告会社が原告から提供された資料を利用する場合には、その都度、原告から事前に許諾を得る必要があったものの、被告会社は、本件各物件の利用について、原告からの許諾を得ていないとして、原告は、原告の著作物の著作権(公衆送信権及び複製権)侵害性などを争点としました(8頁以下)。
本件各物件の利用許諾の有無について、裁判所は、
・本契約は、被告らによる営業活動を全面的に支援する目的である
・複製や加工等が容易なデータで提供されている
・販売市場開拓を行うに際し必要又は有益な情報である
・本件各物件は、パンフレットやチラシ等で一般に公表することが前提のものばかりである
・原告も本件各物件の内容を自らホームページに掲載していた
・被告サイトに本件各物件の複製等を掲載し、原告がこれを認識しながら特に異議を唱えていなかった
といった事情を総合考慮の上、被告会社が本件各物件を複製したりホームページに掲載したりするなどして自由に利用することを当然の前提としていたものと認められるとして、原告は、本件契約を締結するに当たって被告会社に対して、本件契約期間中、本件各物件等を複製したりホームページに掲載したりするなどして、自由に利用することを許諾していたものと認めるのが相当であると判断しています。
結論として、被告会社は包括的な許諾を受けていたとして、原告の著作権等の侵害の主張は認められていません。
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■コメント
犬などの小動物用のサプリメントの販売市場開拓を目的とした販売代理店契約が結ばれましたが、製造元から提供された資料の取扱いについて販売店との間で齟齬が生じました。
判決内容からは、どうして齟齬が生じたのか、また、契約上の信頼関係が破壊されるような違反はなかったのか、本件訴訟に至るまでの経緯も含め、不明なところです。原告としては、提供した情報のノウハウ性や営業秘密的な価値が軽んじられたと捉えたのかもしれませんが、そうであるならば提供資料の取り扱いについて、事前の詳細な取決めをするべきではなかったか、と思われる事案でした。
小動物用プラセンタサプリメント販売代理店契約事件
東京地裁平成26.8.28平成25(ワ)2695著作権侵害損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 高野輝久
裁判官 三井大有
裁判官 宇野遥子
*裁判所サイト公表 2014.9.5
*キーワード:販売代理店契約、事業提携、許諾、守秘義務
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■事案
小動物用のサプリメント販売代理店契約にあたって販促物の取扱いが争点となった事案
原告:健康食品製造販売会社
被告:サプリメント品企画製作販売会社、被告会社代表取締役
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■結論
請求棄却
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■争点
1 本件各物件の利用許諾の有無について
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■事案の概要
『本件は,原告が,被告らに対し,被告らがインターネットのウェブサイトやチラシ等に原告が著作権や独占的利用権を有する著作物を無断で掲載するなどして原告の著作物の著作権(公衆送信権及び複製権)や独占的利用権を侵害し,これにより損害を受けたと主張して,著作権法112条に基づき,無断掲載部分のウェブサイトへの表示及び紙媒体への印刷,頒布の差止めと無断掲載部分のウェブサイトからの削除及び記載した紙媒体の廃棄を求めるとともに,不法行為に基づき,主位的に平成24年9月から平成25年2月までの間の使用料相当損害金300万円,予備的に裁判所が相当と認める損害額及びこれらに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。』(2頁)
<経緯>
H23.10 原被告会社間で「小動物用サプリメント販売協定書」(本件協定書)締結
H23.11 被告らがチラシ、ポスター、パンフレット作成
H23.12 被告らが被告会社のHPに掲載
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■判決内容
<争点>
1 本件各物件の利用許諾の有無について
原告は、被告に対して本件協定書に基づきパンフレットやポスターのデータ、チラシなどの資料(本件各物件)を提供していました。
本件協定書によれば、被告会社が原告から提供された資料を利用する場合には、その都度、原告から事前に許諾を得る必要があったものの、被告会社は、本件各物件の利用について、原告からの許諾を得ていないとして、原告は、原告の著作物の著作権(公衆送信権及び複製権)侵害性などを争点としました(8頁以下)。
本件各物件の利用許諾の有無について、裁判所は、
・本契約は、被告らによる営業活動を全面的に支援する目的である
・複製や加工等が容易なデータで提供されている
・販売市場開拓を行うに際し必要又は有益な情報である
・本件各物件は、パンフレットやチラシ等で一般に公表することが前提のものばかりである
・原告も本件各物件の内容を自らホームページに掲載していた
・被告サイトに本件各物件の複製等を掲載し、原告がこれを認識しながら特に異議を唱えていなかった
といった事情を総合考慮の上、被告会社が本件各物件を複製したりホームページに掲載したりするなどして自由に利用することを当然の前提としていたものと認められるとして、原告は、本件契約を締結するに当たって被告会社に対して、本件契約期間中、本件各物件等を複製したりホームページに掲載したりするなどして、自由に利用することを許諾していたものと認めるのが相当であると判断しています。
結論として、被告会社は包括的な許諾を受けていたとして、原告の著作権等の侵害の主張は認められていません。
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■コメント
犬などの小動物用のサプリメントの販売市場開拓を目的とした販売代理店契約が結ばれましたが、製造元から提供された資料の取扱いについて販売店との間で齟齬が生じました。
判決内容からは、どうして齟齬が生じたのか、また、契約上の信頼関係が破壊されるような違反はなかったのか、本件訴訟に至るまでの経緯も含め、不明なところです。原告としては、提供した情報のノウハウ性や営業秘密的な価値が軽んじられたと捉えたのかもしれませんが、そうであるならば提供資料の取り扱いについて、事前の詳細な取決めをするべきではなかったか、と思われる事案でした。