最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
音楽原盤グヌーテラ送信発信者情報開示請求事件(対ソフトバンクBB)
東京地裁平成26.7.31平成26(ワ)3577発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 高橋 彩
裁判官 植田裕紀久
*裁判所サイト公表 2014.8.12
*キーワード:レコード製作者、送信可能化権、グヌーテラ、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法
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■事案
グヌーテラファイル交換ソフトを利用した音楽原盤の無断送信可能化についてプロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求の可否が争点となった事案(対ソフトバンクBB)
原告:レコード製作者ら
被告:プロバイダ事業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法96条の2、プロバイダ責任制限法4条1項
1 権利侵害の明白性
2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
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■事案の概要
『本件は,レコード製作会社である原告らが,被告に対し,原告らが送信可能化権を有するレコードに収録された楽曲を氏名不詳者が無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録して蔵置し,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して自動的に送信し得る状態にすることにより,原告らの送信可能化権が侵害されたと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 権利侵害の明白性
本件各レコードに録音された楽曲をMP3ファイル形式に変換して複製した本件各音楽ファイルを原告に無断で送信可能化した点について、被告は、「GnutellaなどのいわゆるP2P型ファイル交換ソフトについては,現時点においてIPアドレス等の特定方法の信頼性について具体的な基準を設けることは難しいとされている」(5頁)などとして、原告側の本件各音楽ファイル及び本件各IPアドレスの検出に関するクローリング調査技術の正確性を争点としました。
この点について、裁判所は、調査会社の実験結果などから、検出の正確性を肯定、被告サービスのユーザーである本件各契約者が各原告の本件各レコードに係る送信可能化権を侵害したことは明らかであると判断しています(6頁以下)。
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2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
裁判所は、各原告は、本件各契約者に対して著作隣接権侵害を理由に損害賠償請求権等を行使し得るところ、本件各契約者の氏名、住所等を覚知する手段が他にあるとうかがわれないとして、被告に対して本件各発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるということができると判断しています(8頁)。
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■コメント
P2Pネットワーク上の著作権侵害対策調査技術も日進月歩かと思いますが、発信者のプライバシーへの配慮との兼ね合いとはいえ、プロバイダ事業者に対して不明確な点について、1つ1つ訴訟によって明らかにした上で発信者情報開示を求める手間暇を考えると、レコード会社の労力も相当なものかと思われます。
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■過去のブログ記事
音楽原盤グヌーテラ送信発信者情報開示請求事件(対KDDI)
音楽原盤グヌーテラ送信発信者情報開示請求事件(対ソフトバンクBB)
東京地裁平成26.7.31平成26(ワ)3577発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 高橋 彩
裁判官 植田裕紀久
*裁判所サイト公表 2014.8.12
*キーワード:レコード製作者、送信可能化権、グヌーテラ、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法
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■事案
グヌーテラファイル交換ソフトを利用した音楽原盤の無断送信可能化についてプロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求の可否が争点となった事案(対ソフトバンクBB)
原告:レコード製作者ら
被告:プロバイダ事業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法96条の2、プロバイダ責任制限法4条1項
1 権利侵害の明白性
2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
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■事案の概要
『本件は,レコード製作会社である原告らが,被告に対し,原告らが送信可能化権を有するレコードに収録された楽曲を氏名不詳者が無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録して蔵置し,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して自動的に送信し得る状態にすることにより,原告らの送信可能化権が侵害されたと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案』(2頁以下)
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■判決内容
<争点>
1 権利侵害の明白性
本件各レコードに録音された楽曲をMP3ファイル形式に変換して複製した本件各音楽ファイルを原告に無断で送信可能化した点について、被告は、「GnutellaなどのいわゆるP2P型ファイル交換ソフトについては,現時点においてIPアドレス等の特定方法の信頼性について具体的な基準を設けることは難しいとされている」(5頁)などとして、原告側の本件各音楽ファイル及び本件各IPアドレスの検出に関するクローリング調査技術の正確性を争点としました。
この点について、裁判所は、調査会社の実験結果などから、検出の正確性を肯定、被告サービスのユーザーである本件各契約者が各原告の本件各レコードに係る送信可能化権を侵害したことは明らかであると判断しています(6頁以下)。
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2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由
裁判所は、各原告は、本件各契約者に対して著作隣接権侵害を理由に損害賠償請求権等を行使し得るところ、本件各契約者の氏名、住所等を覚知する手段が他にあるとうかがわれないとして、被告に対して本件各発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるということができると判断しています(8頁)。
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■コメント
P2Pネットワーク上の著作権侵害対策調査技術も日進月歩かと思いますが、発信者のプライバシーへの配慮との兼ね合いとはいえ、プロバイダ事業者に対して不明確な点について、1つ1つ訴訟によって明らかにした上で発信者情報開示を求める手間暇を考えると、レコード会社の労力も相当なものかと思われます。
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■過去のブログ記事
音楽原盤グヌーテラ送信発信者情報開示請求事件(対KDDI)