最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
音楽原盤グヌーテラ送信発信者情報開示請求事件
東京地裁平成26.6.25平成26(ワ)3570発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 東海林保
裁判官 今井弘晃
裁判官 実本 滋
*裁判所サイト公表 2014.7.4
*キーワード:レコード製作者、送信可能化権、発信者情報開示請求、プロバイダ責任制限法
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■事案
グヌーテラファイル交換ソフトを利用した音楽原盤の無断送信可能化についてプロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求の可否が争点となった事案
原告:レコード会社ら
被告:インターネット接続プロバイダ事業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法96条の2、プロバイダ責任制限法4条1項、2条4号
1 プロバイダ責任制限法2条4号所定の「発信者」該当性
2 明らかな著作権侵害の有無
3 開示を受けるべき正当な理由の有無
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■事案の概要
『本件は,レコード製作会社である原告らが,インターネット接続プロバイダ事業を行っている被告に対し,原告らが送信可能化権(著作権法96条の2)を有するレコードが氏名不詳者によって原告らに無断で複製され,被告のインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置かれたことにより,原告らの送信可能化権が侵害されたと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,上記氏名不詳者に係る発信者情報(氏名,住所及び電子メールアドレス)の開示を求める事案である。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 プロバイダ責任制限法2条4号所定の「発信者」該当性
ファイル交換ソフト、ネットワークであるGnutella(グヌーテラ)を利用してユーザーが無断でAKB48が歌唱する楽曲「大声ダイヤモンド」を録音したレコード及び実演家であるGreeeeNが歌唱する楽曲「道」を録音したレコードを送信可能化した点について、被告は、無関係の第三者が契約者のIPアドレスや端末を不正に利用した可能性や契約者の端末が暴露ウィルスに感染した場合など、契約者の意思によらず送信可能になった可能性もあるとして、IPアドレスの割当てを受けた契約者がプロバイダ責任制限法2条4号にいう「発信者」に該当するとは限らない旨主張しました。
しかし、裁判所は、被告が主張するような事情は飽くまで一般的抽象的な可能性を述べるものにすぎないこと、本件全証拠によってもこれら不正利用や暴露ウイルスへの感染等を疑わせる具体的な事情は認められないことなどから被告の主張を認めていません(14頁以下)。
結論として、プロバイダ責任制限法2条4号所定の「発信者」該当性が肯定されています。
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2 明らかな著作権侵害の有無
裁判所は、本件利用者1及び2は、原告レコード1及び2の複製物である本件ファイル1及び2をコンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置した上で当該コンピュータを被告のインターネット接続サービスを利用して被告からIPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続し、Gnutella互換ソフトウェアにより本件ファイル1及び2をインターネットに接続している不特定の他の同ソフトウェア利用者(公衆)からの求めに応じてインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にしたことが認められるとして、本件利用者1及び2の上記行為は、原告らが原告レコード1及び2について有する送信可能化権を侵害したことが明らかであると認められると判断しています(プロバイダ責任制限法4条1項1号 15頁)。
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3 開示を受けるべき正当な理由の有無
原告らは、原告ら各自が原告レコード1及び2について有する送信可能化権に基づいて本件利用者1及び2に対して損害賠償請求及び差止請求を行う必要があり、本件利用者1及び2の氏名・住所等は原告らに不明であるため上記請求を行うことが実際上できない状態にあることから、原告らには、被告から本件利用者1及び2に係る発信者情報(氏名、住所及び電子メールアドレス)の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断しています(プロバイダ責任制限法4条1項2号 15頁)。
結論として、インターネットに接続していた者の氏名、住所及び電子メールアドレスの開示請求が認容されています。
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■コメント
ファイル共有ソフトの利用状況については、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と不正商品対策協議会(ACA)が利用実態調査(クローリング調査)を実施しており、結果が公表されています。
プレスリリース2014年5月14日PDF
クローリング調査報告書PDF
ユーザーは減少傾向にあるようですが、引き続き関係団体、行政等による意欲的な対応が求められるところです。
音楽原盤グヌーテラ送信発信者情報開示請求事件
東京地裁平成26.6.25平成26(ワ)3570発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 東海林保
裁判官 今井弘晃
裁判官 実本 滋
*裁判所サイト公表 2014.7.4
*キーワード:レコード製作者、送信可能化権、発信者情報開示請求、プロバイダ責任制限法
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■事案
グヌーテラファイル交換ソフトを利用した音楽原盤の無断送信可能化についてプロバイダ責任制限法4条1項に基づく発信者情報開示請求の可否が争点となった事案
原告:レコード会社ら
被告:インターネット接続プロバイダ事業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法96条の2、プロバイダ責任制限法4条1項、2条4号
1 プロバイダ責任制限法2条4号所定の「発信者」該当性
2 明らかな著作権侵害の有無
3 開示を受けるべき正当な理由の有無
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■事案の概要
『本件は,レコード製作会社である原告らが,インターネット接続プロバイダ事業を行っている被告に対し,原告らが送信可能化権(著作権法96条の2)を有するレコードが氏名不詳者によって原告らに無断で複製され,被告のインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置かれたことにより,原告らの送信可能化権が侵害されたと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,上記氏名不詳者に係る発信者情報(氏名,住所及び電子メールアドレス)の開示を求める事案である。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 プロバイダ責任制限法2条4号所定の「発信者」該当性
ファイル交換ソフト、ネットワークであるGnutella(グヌーテラ)を利用してユーザーが無断でAKB48が歌唱する楽曲「大声ダイヤモンド」を録音したレコード及び実演家であるGreeeeNが歌唱する楽曲「道」を録音したレコードを送信可能化した点について、被告は、無関係の第三者が契約者のIPアドレスや端末を不正に利用した可能性や契約者の端末が暴露ウィルスに感染した場合など、契約者の意思によらず送信可能になった可能性もあるとして、IPアドレスの割当てを受けた契約者がプロバイダ責任制限法2条4号にいう「発信者」に該当するとは限らない旨主張しました。
しかし、裁判所は、被告が主張するような事情は飽くまで一般的抽象的な可能性を述べるものにすぎないこと、本件全証拠によってもこれら不正利用や暴露ウイルスへの感染等を疑わせる具体的な事情は認められないことなどから被告の主張を認めていません(14頁以下)。
結論として、プロバイダ責任制限法2条4号所定の「発信者」該当性が肯定されています。
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2 明らかな著作権侵害の有無
裁判所は、本件利用者1及び2は、原告レコード1及び2の複製物である本件ファイル1及び2をコンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置した上で当該コンピュータを被告のインターネット接続サービスを利用して被告からIPアドレスの割当てを受けてインターネットに接続し、Gnutella互換ソフトウェアにより本件ファイル1及び2をインターネットに接続している不特定の他の同ソフトウェア利用者(公衆)からの求めに応じてインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態にしたことが認められるとして、本件利用者1及び2の上記行為は、原告らが原告レコード1及び2について有する送信可能化権を侵害したことが明らかであると認められると判断しています(プロバイダ責任制限法4条1項1号 15頁)。
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3 開示を受けるべき正当な理由の有無
原告らは、原告ら各自が原告レコード1及び2について有する送信可能化権に基づいて本件利用者1及び2に対して損害賠償請求及び差止請求を行う必要があり、本件利用者1及び2の氏名・住所等は原告らに不明であるため上記請求を行うことが実際上できない状態にあることから、原告らには、被告から本件利用者1及び2に係る発信者情報(氏名、住所及び電子メールアドレス)の開示を受けるべき正当な理由があると裁判所は判断しています(プロバイダ責任制限法4条1項2号 15頁)。
結論として、インターネットに接続していた者の氏名、住所及び電子メールアドレスの開示請求が認容されています。
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■コメント
ファイル共有ソフトの利用状況については、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と不正商品対策協議会(ACA)が利用実態調査(クローリング調査)を実施しており、結果が公表されています。
プレスリリース2014年5月14日PDF
クローリング調査報告書PDF
ユーザーは減少傾向にあるようですが、引き続き関係団体、行政等による意欲的な対応が求められるところです。