最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ネコグッズデザイン翻案事件
東京地裁平成25.10.21平成24(ワ)10382著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 大須賀 滋
裁判官 小川雅敏
裁判官 西村康夫
*裁判所サイト公表 2013.11.6
*キーワード:著作物性、複製、翻案、改変、一般不法行為
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■事案
グッズ用のネコやクマの図柄の類否が争点となった事案
原告:雑貨製造販売会社
被告:雑貨製造販売会社、デザイナー
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、20条、112条、民法709条
1 被告商品が原告作品を複製・翻案したものであるか
2 原告の営業上の利益を故意に侵害することを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求の成否
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■事案の概要
『本件は,原告が,原告作品について,デザイナーとして原告に勤務しているAが職務上作成したものであると主張した上で,被告甲が提供したデザインに基づいて被告会社が製造・販売した被告商品について,原告作品を複製・翻案したものである旨主張して,(1)被告会社に対し,(ア)著作権(複製権,翻案権,譲渡権)侵害を理由とする著作権法112条1項に基づく差止請求として,被告商品の製造・販売の禁止,(イ)同様に同条2項に基づく廃棄請求として,被告会社が占有する被告商品の廃棄を求めるとともに,(2)被告らに対し,(ア)著作権(複製権,翻案権,譲渡権)・著作者人格権(同一性保持権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求として,3億1526万6060円(内訳・著作権侵害につき同法114条2項の推定により2億7615万0960円,著作者人格権侵害につき慰謝料500万円,弁護士費用相当額3411万5100円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年4月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,(イ)原告の営業上の利益を故意に侵害することを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求として,慰謝料500万円及びこれに対する前同様の遅延損害金の支払を求めた事案である。』(2頁)
原告作品:「くろねこフェイスタオル」「ガーゼハンカチねことさかな」等5点
被告図柄:「シャロン」「サビーヌ」「ノワール」
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■判決内容
<争点>
1 被告商品が原告作品を複製・翻案したものであるか
被告商品が原告作品を複製又は翻案したものであるかどうかについて、原告主張に係る原告作品の箇所と被告商品の対応箇所の対比、検討がまずされています(38頁以下)。
原告作品1について、原告作品のネコの図柄の目、鼻、口、ひげ、耳、顔といった構成部分を抽出した上で、被告作品と対比。相違点が認められるとして、被告商品は原告作品を有形的に再製したものではなく、また、原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものでもない、として複製又は翻案を裁判所は認めていません。
結論として、原告作品5点すべてについて、被告商品による複製又は翻案を裁判所は認めていません。
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2 原告の営業上の利益を故意に侵害することを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求の成否
原告は、被告らが何らの労力も費やさずに容易かつ大量に原告商品を模倣して営業上の利益を上げることは原告商品の価値を低下させるとともに、原告の顧客を奪うものであって、公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において著しく不公正な手段を用いて法律上保護される原告の営業活動上の利益を侵害するものとして、不法行為(民法709条)を構成するなどと主張しました(47頁以下)。
しかし、裁判所は、被告らが自由競争の範囲を逸脱して原告の営業を妨害していることを肯定できる事情は見当たらないとして、原告の主張を認めていません。
結論として、改変(同一性保持権侵害性)も含め原告のいずれの請求も棄却されています。
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■コメント
原告作品や被告商品の画像が無く、また相違点の対比一覧表も判決文に添付がないため、具体的なデザインの類否の判断内容が判然としません。
被告会社サイトを拝見しますと、ネコの「シャロン」とクマの「ノワール」のデザインがどのような雰囲気のものであるかが分かりますが、原告会社サイトを見る限りでは、ネコやクマの図柄の商品はあるものの、本件の原告作品がどのようなものだったのかは(10年以上前の製品でラインナップから既に外れているのかもしれません)、分かりませんでした。
「シャロン」と「ノワール」(コンパクトバッグ)
被告会社の取締役が原告の元従業員であった、また、被告会社の代表取締役が過去、別会社で原告が製造した商品を多数取り扱っていた、さらに、原告が被告会社に原告商品の販売を委託していたといった経緯があり、人的交流も含め原告商品については被告らは知悉している状況ではありました。
判決文37頁を読むと、商品の売れ筋といった市場分析も含めたノウハウへの被告側によるフリーライドといった認識が原告側にはあったようですが、一般不法行為論としても違法とは判断されていません。
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■過去のブログ記事
ネコのぬいぐるみの類否が争点となった事案
大阪地裁平成22.2.25平成21(ワ)6411著作権侵害差止等請求事件
猫ぬいぐるみ翻案事件(2010年3月8日記事)
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■参考サイト
原告サイト:商品一覧
被告会社サイト:商品一覧
ネコグッズデザイン翻案事件
東京地裁平成25.10.21平成24(ワ)10382著作権侵害差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 大須賀 滋
裁判官 小川雅敏
裁判官 西村康夫
*裁判所サイト公表 2013.11.6
*キーワード:著作物性、複製、翻案、改変、一般不法行為
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■事案
グッズ用のネコやクマの図柄の類否が争点となった事案
原告:雑貨製造販売会社
被告:雑貨製造販売会社、デザイナー
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■結論
請求棄却
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、21条、27条、20条、112条、民法709条
1 被告商品が原告作品を複製・翻案したものであるか
2 原告の営業上の利益を故意に侵害することを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求の成否
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■事案の概要
『本件は,原告が,原告作品について,デザイナーとして原告に勤務しているAが職務上作成したものであると主張した上で,被告甲が提供したデザインに基づいて被告会社が製造・販売した被告商品について,原告作品を複製・翻案したものである旨主張して,(1)被告会社に対し,(ア)著作権(複製権,翻案権,譲渡権)侵害を理由とする著作権法112条1項に基づく差止請求として,被告商品の製造・販売の禁止,(イ)同様に同条2項に基づく廃棄請求として,被告会社が占有する被告商品の廃棄を求めるとともに,(2)被告らに対し,(ア)著作権(複製権,翻案権,譲渡権)・著作者人格権(同一性保持権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求として,3億1526万6060円(内訳・著作権侵害につき同法114条2項の推定により2億7615万0960円,著作者人格権侵害につき慰謝料500万円,弁護士費用相当額3411万5100円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年4月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,(イ)原告の営業上の利益を故意に侵害することを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求として,慰謝料500万円及びこれに対する前同様の遅延損害金の支払を求めた事案である。』(2頁)
原告作品:「くろねこフェイスタオル」「ガーゼハンカチねことさかな」等5点
被告図柄:「シャロン」「サビーヌ」「ノワール」
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■判決内容
<争点>
1 被告商品が原告作品を複製・翻案したものであるか
被告商品が原告作品を複製又は翻案したものであるかどうかについて、原告主張に係る原告作品の箇所と被告商品の対応箇所の対比、検討がまずされています(38頁以下)。
原告作品1について、原告作品のネコの図柄の目、鼻、口、ひげ、耳、顔といった構成部分を抽出した上で、被告作品と対比。相違点が認められるとして、被告商品は原告作品を有形的に再製したものではなく、また、原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものでもない、として複製又は翻案を裁判所は認めていません。
結論として、原告作品5点すべてについて、被告商品による複製又は翻案を裁判所は認めていません。
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2 原告の営業上の利益を故意に侵害することを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求の成否
原告は、被告らが何らの労力も費やさずに容易かつ大量に原告商品を模倣して営業上の利益を上げることは原告商品の価値を低下させるとともに、原告の顧客を奪うものであって、公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において著しく不公正な手段を用いて法律上保護される原告の営業活動上の利益を侵害するものとして、不法行為(民法709条)を構成するなどと主張しました(47頁以下)。
しかし、裁判所は、被告らが自由競争の範囲を逸脱して原告の営業を妨害していることを肯定できる事情は見当たらないとして、原告の主張を認めていません。
結論として、改変(同一性保持権侵害性)も含め原告のいずれの請求も棄却されています。
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■コメント
原告作品や被告商品の画像が無く、また相違点の対比一覧表も判決文に添付がないため、具体的なデザインの類否の判断内容が判然としません。
被告会社サイトを拝見しますと、ネコの「シャロン」とクマの「ノワール」のデザインがどのような雰囲気のものであるかが分かりますが、原告会社サイトを見る限りでは、ネコやクマの図柄の商品はあるものの、本件の原告作品がどのようなものだったのかは(10年以上前の製品でラインナップから既に外れているのかもしれません)、分かりませんでした。
「シャロン」と「ノワール」(コンパクトバッグ)
被告会社の取締役が原告の元従業員であった、また、被告会社の代表取締役が過去、別会社で原告が製造した商品を多数取り扱っていた、さらに、原告が被告会社に原告商品の販売を委託していたといった経緯があり、人的交流も含め原告商品については被告らは知悉している状況ではありました。
判決文37頁を読むと、商品の売れ筋といった市場分析も含めたノウハウへの被告側によるフリーライドといった認識が原告側にはあったようですが、一般不法行為論としても違法とは判断されていません。
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■過去のブログ記事
ネコのぬいぐるみの類否が争点となった事案
大阪地裁平成22.2.25平成21(ワ)6411著作権侵害差止等請求事件
猫ぬいぐるみ翻案事件(2010年3月8日記事)
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■参考サイト
原告サイト:商品一覧
被告会社サイト:商品一覧