最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」小道具事件(控訴審)
知財高裁平成25.10.30平成25(ネ)10046損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 西 理香
裁判官 田中正哉
*裁判所サイト公表 2013.11.6
*キーワード:著作権譲渡、対抗要件、背信的悪意者、展示権、複製権
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■事案
被控訴人らが、登録しなければ著作権譲渡を対抗することができない第三者(著作権法77条)に当たるかどうかが争点となった事案の控訴審
控訴人 (一審原告):韓国企業
被控訴人(一審被告):日本放送協会ら
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法77条
1 被控訴人らが本件小道具等の著作権の移転登録の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない第三者に当たるか
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人らが韓国のテレビドラマの展覧会を開催して小道具や衣装,ドラマセット等を展示し,関連グッズを販売して,控訴人の上記小道具等の著作権(展示権及び複製権)を侵害したと主張して,被控訴人らに対し,不法行為に基づき,損害賠償を請求した事案である。原審が控訴人の請求をいずれも棄却したのに対し,控訴人が上記の裁判を求めて控訴しているものである。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 被控訴人らが本件小道具等の著作権の移転登録の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない第三者に当たるか
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の美術や小物のデザイン、著作権等の権利譲渡を制作会社(MBCA)から受けたとする控訴人が、MBCAとライセンス契約を締結した上でドラマの展覧会を開催して小道具や衣装等を展示したり、関連グッズを販売した被控訴人らに対して小道具等の著作権(展示権、複製権)を侵害したと主張。
控訴人は登録を経ていなかったことから、登録を経ることなく対抗できる、いわゆる背信的悪意者に被控訴人らが当たるかどうかが原審に引き続き争点となっています(著作権法77条)。
この点について、被控訴人らが、控訴人に本件小道具等の著作権があることを知りながらMBCAと共謀してこれを否定したと評価すべき事情も見いだし難く、また、被控訴人らが控訴人の著作権の移転登録を妨げたといった事情も何ら窺えないとして、控訴審においても被控訴人らについて、控訴人の著作権の移転登録の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情があるということはできないと判断されています(5頁以下)。
結論として、控訴人の請求は棄却されています。
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■コメント
結論として原審の判断が維持されています。
平成23年7月7日にソウル高等法院で控訴人による韓国MBCの制作子会社であるMBCAに対する共同事業契約違反による損害賠償請求事件の判決があり(上告棄却確定)、本件一審判決の時点よりも控訴人とMBCAの紛争の経緯が明らかになっています(7頁以下参照)。控訴人とMBCAの間で紛争があるなかで、著作権譲渡の権利関係について移転登録もなく客観的に明確でない段階での取引として、被控訴人らがMBCAを信頼してライセンス契約を締結しても、やむを得ないところである、という裁判所の判断です。
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■過去のブログ記事
原審記事
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」小道具事件(控訴審)
知財高裁平成25.10.30平成25(ネ)10046損害賠償請求控訴事件PDF
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官 西 理香
裁判官 田中正哉
*裁判所サイト公表 2013.11.6
*キーワード:著作権譲渡、対抗要件、背信的悪意者、展示権、複製権
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■事案
被控訴人らが、登録しなければ著作権譲渡を対抗することができない第三者(著作権法77条)に当たるかどうかが争点となった事案の控訴審
控訴人 (一審原告):韓国企業
被控訴人(一審被告):日本放送協会ら
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法77条
1 被控訴人らが本件小道具等の著作権の移転登録の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない第三者に当たるか
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■事案の概要
『本件は,控訴人が,被控訴人らが韓国のテレビドラマの展覧会を開催して小道具や衣装,ドラマセット等を展示し,関連グッズを販売して,控訴人の上記小道具等の著作権(展示権及び複製権)を侵害したと主張して,被控訴人らに対し,不法行為に基づき,損害賠償を請求した事案である。原審が控訴人の請求をいずれも棄却したのに対し,控訴人が上記の裁判を求めて控訴しているものである。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 被控訴人らが本件小道具等の著作権の移転登録の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない第三者に当たるか
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の美術や小物のデザイン、著作権等の権利譲渡を制作会社(MBCA)から受けたとする控訴人が、MBCAとライセンス契約を締結した上でドラマの展覧会を開催して小道具や衣装等を展示したり、関連グッズを販売した被控訴人らに対して小道具等の著作権(展示権、複製権)を侵害したと主張。
控訴人は登録を経ていなかったことから、登録を経ることなく対抗できる、いわゆる背信的悪意者に被控訴人らが当たるかどうかが原審に引き続き争点となっています(著作権法77条)。
この点について、被控訴人らが、控訴人に本件小道具等の著作権があることを知りながらMBCAと共謀してこれを否定したと評価すべき事情も見いだし難く、また、被控訴人らが控訴人の著作権の移転登録を妨げたといった事情も何ら窺えないとして、控訴審においても被控訴人らについて、控訴人の著作権の移転登録の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情があるということはできないと判断されています(5頁以下)。
結論として、控訴人の請求は棄却されています。
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■コメント
結論として原審の判断が維持されています。
平成23年7月7日にソウル高等法院で控訴人による韓国MBCの制作子会社であるMBCAに対する共同事業契約違反による損害賠償請求事件の判決があり(上告棄却確定)、本件一審判決の時点よりも控訴人とMBCAの紛争の経緯が明らかになっています(7頁以下参照)。控訴人とMBCAの間で紛争があるなかで、著作権譲渡の権利関係について移転登録もなく客観的に明確でない段階での取引として、被控訴人らがMBCAを信頼してライセンス契約を締結しても、やむを得ないところである、という裁判所の判断です。
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