最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
ニコニコ動画発信者情報開示請求事件
東京地裁平成25.10.22平成25(ワ)15365発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 高橋 彩
裁判官 植田裕紀久
*裁判所サイト公表 2013.10.23
*キーワード:著作物性、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法
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■事案
ニコニコ動画サイトに掲載された動画の発信者に係る情報の開示を求めた事案
原告:宗教法人
被告:プロバイダ事業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、プロバイダ責任制限法4条1項
1 明らかな著作権侵害の有無について
2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無について
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■事案の概要
『本件は,原告が,氏名不詳者により被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイトに掲載された動画(以下「本件動画」という。)が原告の著作権を侵害していると主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案である。』(1頁)
<経緯>
H24.11 本件動画投稿
H25.06 本件提訴、本件動画削除
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■判決内容
<争点>
1 明らかな著作権侵害の有無について
(1)原告動画の著作物性
原告動画は、原告信者の体験談を紹介するインタビューを中心に構成されたもので、とりわけ本件動画の部分1ないし4については、視聴者に対して効果的に伝える工夫をした部分であって、著作者の思想又は感情を創作的に表現したもの(著作権法2条1項1号)として映画の著作物に該当すると裁判所は判断しています(3頁以下)。
(2)原告動画の著作権者
原告動画は、シナノ企画の発意に基づきシナノ企画の従業員であるAがシナノ企画の職務として作成したものであり、シナノ企画の著作の名義の下に公表されたことが認められ、職務著作(15条1項)としてシナノ企画に著作権が帰属し、シナノ企画はその後、原告に対して原告動画についてのすべての著作権を譲渡したと認められることから、原告が原告動画について著作権を有していると認めることができると判断されています(5頁)。
(3)著作権侵害の有無
本件動画の部分1に接した者は原告動画の部分1の、また、本件動画の部分4に接した者は原告動画の部分4の表現上の本質的な特徴を直接感得し得るものであるとして、本件動画の部分1及び4は、対応する原告動画の部分を有形的に再生し、複製したものと評価することができると裁判所は判断。
本件動画を作成して本件サイトに投稿する行為は、原告動画のうち少なくとも原告動画の部分1及び4についての複製権及び公衆送信権を侵害すると判断しています(5頁)。
結論として、本件動画の動画投稿サイト「ニコニコ動画」への投稿により、原告の著作権が侵害されたことは明らかであると認められています(プロバイダ責任制限法4条1項1号)。
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2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無について
原告が、原告動画の著作権を侵害した者に対して損害賠償請求権を行使するためには、被告が別紙動画投稿目録の「投稿日時」欄記載の日時に「投稿時IPアドレス」欄記載のIPアドレスを割り振った者、すなわち本件動画の発信者その他本件動画の送信に係る者の氏名又は名称、住所及び電子メールアドレスを取得することが必要であるとして、原告にはこれら発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると判断されています(プロバイダ責任制限法4条1項2号 6頁)。
結論として、別紙投稿動画目録記載の動画に関する以下の情報の開示請求が認められています。
1 発信者その他本件動画の送信に係る者の氏名又は名称
2 発信者その他本件動画の送信に係る者の住所
3 発信者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号)
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■コメント
プロバイダ責任制限法4条1項1号「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」の判断に際して著作権侵害性が検討されています。
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■追記(2013/11/1)
関連事案(別件動画に関する発信者情報開示請求事件 裁判所サイト公表11/1)
原告対KDDI
東京地裁平成25.10.25平成25(ワ)15969
シナノ企画対KDDI
東京地裁平成25.10.25平成25(ワ)15970
ニコニコ動画発信者情報開示請求事件
東京地裁平成25.10.22平成25(ワ)15365発信者情報開示請求事件PDF
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 長谷川浩二
裁判官 高橋 彩
裁判官 植田裕紀久
*裁判所サイト公表 2013.10.23
*キーワード:著作物性、発信者情報開示、プロバイダ責任制限法
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■事案
ニコニコ動画サイトに掲載された動画の発信者に係る情報の開示を求めた事案
原告:宗教法人
被告:プロバイダ事業者
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■結論
請求認容
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■争点
条文 著作権法2条1項1号、プロバイダ責任制限法4条1項
1 明らかな著作権侵害の有無について
2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無について
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■事案の概要
『本件は,原告が,氏名不詳者により被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイトに掲載された動画(以下「本件動画」という。)が原告の著作権を侵害していると主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案である。』(1頁)
<経緯>
H24.11 本件動画投稿
H25.06 本件提訴、本件動画削除
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■判決内容
<争点>
1 明らかな著作権侵害の有無について
(1)原告動画の著作物性
原告動画は、原告信者の体験談を紹介するインタビューを中心に構成されたもので、とりわけ本件動画の部分1ないし4については、視聴者に対して効果的に伝える工夫をした部分であって、著作者の思想又は感情を創作的に表現したもの(著作権法2条1項1号)として映画の著作物に該当すると裁判所は判断しています(3頁以下)。
(2)原告動画の著作権者
原告動画は、シナノ企画の発意に基づきシナノ企画の従業員であるAがシナノ企画の職務として作成したものであり、シナノ企画の著作の名義の下に公表されたことが認められ、職務著作(15条1項)としてシナノ企画に著作権が帰属し、シナノ企画はその後、原告に対して原告動画についてのすべての著作権を譲渡したと認められることから、原告が原告動画について著作権を有していると認めることができると判断されています(5頁)。
(3)著作権侵害の有無
本件動画の部分1に接した者は原告動画の部分1の、また、本件動画の部分4に接した者は原告動画の部分4の表現上の本質的な特徴を直接感得し得るものであるとして、本件動画の部分1及び4は、対応する原告動画の部分を有形的に再生し、複製したものと評価することができると裁判所は判断。
本件動画を作成して本件サイトに投稿する行為は、原告動画のうち少なくとも原告動画の部分1及び4についての複製権及び公衆送信権を侵害すると判断しています(5頁)。
結論として、本件動画の動画投稿サイト「ニコニコ動画」への投稿により、原告の著作権が侵害されたことは明らかであると認められています(プロバイダ責任制限法4条1項1号)。
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2 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無について
原告が、原告動画の著作権を侵害した者に対して損害賠償請求権を行使するためには、被告が別紙動画投稿目録の「投稿日時」欄記載の日時に「投稿時IPアドレス」欄記載のIPアドレスを割り振った者、すなわち本件動画の発信者その他本件動画の送信に係る者の氏名又は名称、住所及び電子メールアドレスを取得することが必要であるとして、原告にはこれら発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると判断されています(プロバイダ責任制限法4条1項2号 6頁)。
結論として、別紙投稿動画目録記載の動画に関する以下の情報の開示請求が認められています。
1 発信者その他本件動画の送信に係る者の氏名又は名称
2 発信者その他本件動画の送信に係る者の住所
3 発信者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号)
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■コメント
プロバイダ責任制限法4条1項1号「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」の判断に際して著作権侵害性が検討されています。
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■追記(2013/11/1)
関連事案(別件動画に関する発信者情報開示請求事件 裁判所サイト公表11/1)
原告対KDDI
東京地裁平成25.10.25平成25(ワ)15969
シナノ企画対KDDI
東京地裁平成25.10.25平成25(ワ)15970