最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「麦の会」規約事件
東京地裁平成25.9.9平成25(ワ)9561損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 大須賀 滋
裁判官 小川雅敏
裁判官 西村康夫
*裁判所サイト公表 2013.9.18
*キーワード:既判力、信義則、却下、濫訴
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■事案
グループの名称や規約の著作権の帰属を巡って争われた事案
原告:麦の会元メンバー死刑囚
被告:麦の会事務局代表B、運営委員C
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■結論
訴え却下
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■争点
条文 民訴法114条、115条
1 前訴判決の既判力
2 被告Cに対する訴えの適法性
3 被告Bに対する訴えの適法性
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■事案の概要
『本件は,原告が,「麦の会」の事務局代表である被告B及び「麦の会」の「獄外運営委員代表」であるとする被告Cに対し,「麦の会」の名称や規約等の改変が原告の著作権を侵害すると主張して,被告らに対し,各10万円の支払を求めるとともに,著作権法112条に基づき「麦の会」の活動の差止めを求める』事案(2頁)
<経緯>
S55 死刑囚らが「麦の会」結成、規約策定
S59 原告が強盗殺人、死刑判決確定
H03 原告が麦の会脱退、「ユニテ」結成
H23 原告が事務局代表D及びBに対して提訴、棄却判決
H25 原告が麦の会代表者Eに対して提訴、取下擬制により終了
H25 原告が本訴提起
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■判決内容
<争点>
1 前訴判決の既判力
原告は、「麦の会」グループの名称や規約等の改変が著作権侵害にあたると主張しましたが、裁判所は被告Bに対しては著作権及び著作者人格権に基づく損害賠償請求権及び差止請求権を有しないことが前訴判決の既判力により確定していると判断しています(4頁)。
また、「念のため」として、本件全証拠によっても原告が「麦の会」の名称や規約について著作権を有するとは認められず、被告Bが原告の著作権を侵害しているとは到底認められないと判断しています。
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2 被告Cに対する訴えの適法性
被告Cは前訴の当事者でもその承継人等でもなく前訴判決の既判力が及ぶわけではないものの、後訴が実質的に見て紛争の蒸し返しといえるときは、後訴の提起は信義則に照らして許されないと解するのが相当であると裁判所は説示。
その上で本件では、本訴において原告の主張する著作権侵害の内容が前訴において主張したものとほぼ同様であること、また前訴の被告らと本訴における被告らはいずれも麦の会関係者という点で共通しているとして、本訴は、実質的には前訴の蒸し返しというべきであり、本訴の提起は信義則に照らして許されないものと解するのが相当であると判断しています(4頁以下)。
3 被告Bに対する訴えの適法性
被告Bに対する関係においても本訴の提起は信義則に照らして許されないものと解するのが相当であると判断されています(5頁)。
結論として、本訴提起は被告いずれの関係でも却下されています。
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■コメント
著作権侵害に関わる紛争ですが、濫訴と評価されて却下された事案です。
死刑廃止運動を進めている死刑囚のグループ「麦の会」の内紛という様相ですが(信仰の問題を含めた運営方針の問題でしょうか)、すでに20年以上経過した時点での一連の提訴の背景、また、原告が規約改訂にどの程度関与したかなど、規約の内容(著作物性)を含め著作権の争点についての詳しい部分が判決文からは分かりません。
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■参考サイト
原告らが新たに結成した団体「ユニテ」について
死刑囚・命と向き合う ユニテ通信「希望」
「麦の会」規約事件
東京地裁平成25.9.9平成25(ワ)9561損害賠償等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 大須賀 滋
裁判官 小川雅敏
裁判官 西村康夫
*裁判所サイト公表 2013.9.18
*キーワード:既判力、信義則、却下、濫訴
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■事案
グループの名称や規約の著作権の帰属を巡って争われた事案
原告:麦の会元メンバー死刑囚
被告:麦の会事務局代表B、運営委員C
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■結論
訴え却下
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■争点
条文 民訴法114条、115条
1 前訴判決の既判力
2 被告Cに対する訴えの適法性
3 被告Bに対する訴えの適法性
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■事案の概要
『本件は,原告が,「麦の会」の事務局代表である被告B及び「麦の会」の「獄外運営委員代表」であるとする被告Cに対し,「麦の会」の名称や規約等の改変が原告の著作権を侵害すると主張して,被告らに対し,各10万円の支払を求めるとともに,著作権法112条に基づき「麦の会」の活動の差止めを求める』事案(2頁)
<経緯>
S55 死刑囚らが「麦の会」結成、規約策定
S59 原告が強盗殺人、死刑判決確定
H03 原告が麦の会脱退、「ユニテ」結成
H23 原告が事務局代表D及びBに対して提訴、棄却判決
H25 原告が麦の会代表者Eに対して提訴、取下擬制により終了
H25 原告が本訴提起
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■判決内容
<争点>
1 前訴判決の既判力
原告は、「麦の会」グループの名称や規約等の改変が著作権侵害にあたると主張しましたが、裁判所は被告Bに対しては著作権及び著作者人格権に基づく損害賠償請求権及び差止請求権を有しないことが前訴判決の既判力により確定していると判断しています(4頁)。
また、「念のため」として、本件全証拠によっても原告が「麦の会」の名称や規約について著作権を有するとは認められず、被告Bが原告の著作権を侵害しているとは到底認められないと判断しています。
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2 被告Cに対する訴えの適法性
被告Cは前訴の当事者でもその承継人等でもなく前訴判決の既判力が及ぶわけではないものの、後訴が実質的に見て紛争の蒸し返しといえるときは、後訴の提起は信義則に照らして許されないと解するのが相当であると裁判所は説示。
その上で本件では、本訴において原告の主張する著作権侵害の内容が前訴において主張したものとほぼ同様であること、また前訴の被告らと本訴における被告らはいずれも麦の会関係者という点で共通しているとして、本訴は、実質的には前訴の蒸し返しというべきであり、本訴の提起は信義則に照らして許されないものと解するのが相当であると判断しています(4頁以下)。
3 被告Bに対する訴えの適法性
被告Bに対する関係においても本訴の提起は信義則に照らして許されないものと解するのが相当であると判断されています(5頁)。
結論として、本訴提起は被告いずれの関係でも却下されています。
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■コメント
著作権侵害に関わる紛争ですが、濫訴と評価されて却下された事案です。
死刑廃止運動を進めている死刑囚のグループ「麦の会」の内紛という様相ですが(信仰の問題を含めた運営方針の問題でしょうか)、すでに20年以上経過した時点での一連の提訴の背景、また、原告が規約改訂にどの程度関与したかなど、規約の内容(著作物性)を含め著作権の争点についての詳しい部分が判決文からは分かりません。
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■参考サイト
原告らが新たに結成した団体「ユニテ」について
死刑囚・命と向き合う ユニテ通信「希望」