最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

不動産物件表示プログラム事件(控訴審)

知財高裁平成25.7.2平成24(ネ)10100損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 塩月秀平
裁判官      池下 朗
裁判官      新谷貴昭

*裁判所サイト公表 2013.7.3
*キーワード:著作物性、複製、一般不法行為論

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■事案

不動産物件表示プログラムの制作請負契約の成否を巡ってプログラムの複製権侵害性などが争点となった事案の控訴審

控訴人 (一審原告):ウェブサイト制作業者
被控訴人(一審被告):不動産会社

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、15号、10条1項9号、21条、47条の8、民法709条

1 本案前の主張
2 別件訴訟での書証としての印刷での複製権侵害による不法行為
3 本件各アクセスによる複製権侵害による不法行為
4 一般不法行為(予備的主張)

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■事案の概要

『控訴人は,プログラムの著作物の著作権を有すると主張して,被控訴人に対し,主位的には複製権侵害及びプログラム著作物の著作権侵害とみなされる行為に基づき,予備的には一般不法行為に基づき,控訴人が被った損害1120万円の一部請求として280万円及び遅延損害金の支払を求めたが,原判決は請求を棄却した。
 控訴人は,元金を10万円の限度で控訴した。 』(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 本案前の主張
2 別件訴訟での書証としての印刷での複製権侵害による不法行為
3 本件各アクセスによる複製権侵害による不法行為
4 一般不法行為(予備的主張)

控訴審でも原審の判断が維持されています。
なお、争点3について、控訴審は、仮に被控訴人のコンピュータのハードディスクに本件プログラムの複製物がブラウザキャッシュとして作成されたとして複製があったとしても、本件サーバ上の本件プログラムが平成21年1月16日以降に変更されたことを認める証拠はなく、被控訴人のコンピュータのブラウザキャッシュに格納された本件プログラムの複製物が、平成21年1月16日以降、被控訴人のコンピュータ上に改めて作成されたとは直ちに認めることはできない、として複製権侵害による不法行為を構成しないと判断しています(2頁以下)。

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■コメント

昨年末に判決が出た不動産物件表示プログラム事件の控訴審判決となります。原審同様、棄却の判断となっています。
なお、同一当事者の間での営業秘密不正競争事案の別訴判決(後掲参照)も最高裁判所サイトに本件と同日、公表されています。

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■過去のブログ記事

原審

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■関連判例

不正競争防止法(営業秘密)事案
東京地裁平成25.6.26平成24(ワ)29488