最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
「基幹物理学」書籍出版事件
東京地裁平成25.3.1平成22(ワ)38003出版差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第４０部
裁判長裁判官 東海林保
裁判官 寺田利彦
裁判官 足立拓人
＊裁判所サイト公表 ２０１３．３．８
＊キーワード：氏名表示権、二次的著作物、出版契約、債務不履行、錯誤無効
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■事案
物理学に関する書籍の氏名表示が問題となった事案
原告：亡物理学者親族ら
被告：出版社、研究者ら
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法１９条、１１５条、１１６条、１１２条
１ 分冊�気涼�作者名表示が適法か否か
２ 原告Ｘ４の氏名表示権の侵害の有無
３ 原告Ｘ′に対する不法行為の成否
４ 被告Ｙ３の不法行為責任の有無
５ 謝罪広告の要否
６ 被告会社の出版権原の消滅の有無
７ 出版等差止め等の可否
８ 出版権原不存在確認請求の可否
９ 原告らの損害額
１０ 本件出版助成金提供契約が錯誤により無効となるか否か
１１ 原告Ｘ′の本冊に係る印税請求権の有無
１２ 原告らの分冊�亀擇喨�冊�兇坊犬覦�税請求権の有無
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■事案の概要
『本件は，被告会社が出版する別紙書籍目録記載１の書籍（以下「本冊」という。）及びその分冊である同目録記載２及び３の各書籍（以下，順に「分冊�機弋擇咫嵎�冊�供廚箸いΑ�）に関して，
（１）亡Ｗの相続人である原告Ｘ１，原告Ｘ３及び原告Ｘ２（以下，この３名を併せて「原告Ｘ′」という。）並びに原告Ｘ４が，本件著作物（本冊の本文部分）が亡Ｗ及び原告Ｘ４の共同著作物又は亡Ｗの原稿を原著作物とする原告Ｘ４の二次的著作物であるにもかかわらず，被告らが著作者名を被告Ｙ３と表示して分冊�気鮟佝任靴燭海箸�，亡Ｗ及び原告Ｘ４の氏名表示権を侵害し，これを理由に本件著作物に係る出版契約を解除したなどと主張して，
１．原告らが被告会社に対して，原告らの著作権に基づき（分冊�気砲弔い討蓮ね夙�的に，原告Ｘ１による亡Ｗの死後における人格的利益保護措置請求権に基づく請求及び原告Ｘ４による氏名表示権に基づく請求として），本件各書籍の出版等の差止め（上記第１「請求」の１）並びに本件各書籍及びその印刷用原版の廃棄（同の２）を求めるとともに，被告会社の本件著作物に係る出版権原の不存在の確認（同の１３）を求め，
２．原告Ｘ１が亡Ｗの死後における人格的利益保護措置請求権に基づき，原告Ｘ４が氏名表示権に基づき，それぞれ被告らに対して，分冊�気涼�作者名表示に係る謝罪広告の掲載（上記第１「請求」の３）を求め，
３．原告らが被告らに対して，分冊�気涼�作者名表示に係る共同不法行為に基づく慰謝料及びこれらに関連する弁護士費用並びにこれに対する平成２２年１１月７日（訴状送達の日の翌日）から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の支払（上記第１「請求」の８ないし１１）を求め，
（２）原告らが被告会社に対し，本件各書籍の出版契約に基づく印税及びこれに対する平成２２年１１月７日（訴状送達の日の翌日）から支払済みまでの商事法定利率による遅延損害金の支払（上記第１「請求」の４ないし７）を求め，
（３）原告Ｘ１が被告会社に対し，被告会社との間で締結した出版助成金提供契約が錯誤により無効であると主張して，不当利得返還請求権に基づき，提供した出版助成金の返還及びこれに対する平成２０年７月１日（出版助成金の最後の提供日の翌日）から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の支払（上記第１「請求」の１２）を求める』事案（４頁以下）
＜経緯＞
Ｈ１７．０９ Ｗ死亡、Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３が相続
Ｈ１７．１２ 原告らと被告会社が出版契約締結
Ｈ１９ 原告Ｘ１と被告会社が出版助成金提供契約締結
Ｈ２０．０６ 「基幹物理学−こつこつと学ぶ人のためのテキスト−」刊行
Ｈ２２．０４ 分冊�鬼�行
Ｈ２２．０６ 分冊�挟�行
Ｈ２２．０６ 原告らが被告会社に出版契約解除通知書送付
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■判決内容
＜争点＞
１ 分冊�気涼�作者名表示が適法か否か
「基幹物理学−こつこつと学ぶ人のためのテキスト−」（本冊）を複製ないし翻案した分冊�気涼�作者名表示について、著者として被告Ｙ３が表示されていましたが、裁判所は、著作権法１９条１項に基づき亡Ｗ及び原告Ｘ４の氏名が表示されていた本冊と同様、本来、少なくとも亡Ｗの氏名がその著作者名として表示されなければならないと判断しています（３２頁以下）。
この点、被告らは、前付などの記載から１９条３項により原著作者である亡Ｗの名前を省略することができると反論していました。
しかし、裁判所は、前付は分冊�気良住罎鬚瓩�った書籍の内側に記載されているにすぎず、外側から観察しただけでは読み取ることができず、また、亡Ｗの名を著作者名として表示することが困難または不適切であったと解すべき事情は認められないとして、亡Ｗが「創作者であることを主張する利益を害するおそれがない」と認めることはできないと判断しています。
結論として、分冊�気涼�作者名表示は亡Ｗの氏名表示権の侵害となるべき不適法なものであったとしています。
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２ 原告Ｘ４の氏名表示権の侵害の有無
物理学者で亡Ｗの親族である原告Ｘ４も本件著作物について執筆しており、裁判所は、原告Ｘ４は少なくとも創作部分を新たに執筆しているとして、その部分については本件著作物を翻案することにより創作した二次的著作物と認められる。したがって、原告Ｘ４は、少なくとも本件著作物について二次的著作物の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当であると判断。
本件著作物のうちの分冊�気冒蠹�する部分について、原告Ｘ４が二次的著作物の著作者として著作権及び著作者人格権を有していたと認められるから、分冊�気涼�作者名として被告Ｙ３の氏名のみが表示され、亡Ｗ及び原告Ｘ４の氏名が表示されなかったことは、原告Ｘ４の氏名表示権を侵害するものであったということができると判断しています（３４頁以下）。
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３ 原告Ｘ′に対する不法行為の成否
裁判所は、亡Ｗの親族らである原告Ｘ′は、亡Ｗの作品である本件著作物について深い愛着を持ち、その著作者名の表示についても重大な関心を有しており、亡Ｗの氏名表示権の侵害となるべき分冊�気涼�作者名表示によって多大な精神的苦痛を被ったものと推認することができると判断。分冊�気涼�作者名表示は、原告Ｘ′の固有の利益を侵害するものとして、原告Ｘ′に対する不法行為を構成すると解するのが相当であるとしています（３７頁以下）。
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４ 被告Ｙ３の不法行為責任の有無
分冊�気涼�者として表示された大学非常勤講師である被告Ｙ３が、分冊�気涼�作者名表示について被告会社及び被告会社の代表取締役であり本件各書籍の編集者である被告Ｙ２とともに共同不法行為者として責任を負うとの原告らの主張は採用されていません（３８頁以下）。
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５ 謝罪広告の要否
原告らは、名誉回復等の措置として謝罪広告を求めましたが、必要性が認められていません（４１頁以下）。
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６ 被告会社の出版権原の消滅の有無
分冊�気砲弔い討六疚症充┯⊃�害を理由とする債務不履行解除に基づき、また、本冊及び分冊�兇砲弔い討録�頼関係の破壊を理由とする解除に基づき、被告会社が本件各書籍を出版する権原はいずれも消滅したものと判断されています（４２頁以下）。
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７ 出版等差止め等の可否
原告らの本件各書籍の出版差止めと当該書籍及び印刷用原版（フィルムを含む）の廃棄請求が認められています（４５頁以下）。
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８ 出版権原不存在確認請求の可否
原告らの解除に基づいて被告会社が本件各書籍の出版権原を失ったことが認められるとして、被告会社の出版権原がないことの確認を求める原告らの請求は理由があると判断されています（４７頁）。
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９ 原告らの損害額
分冊�気涼�作者名表示に基づく慰謝料として、原告Ｘ４につき１０万円、原告Ｘ１につき２０万円、原告Ｘ２、Ｘ３につき各１０万円。弁護士費用について、原告Ｘ４は４万円、原告Ｘ１は８万円、原告Ｘ２、Ｘ３は各４万円として損害額が認定されています（４７頁以下）。
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１０ 本件出版助成金提供契約が錯誤により無効となるか否か
原告Ｘ１は、被告Ｙ２の説明によって本冊は需要が見込まれず、４００万円を支援しなければ定価が１万８０００円程度になると信じて本件著作物の価格を下げて出版する目的のために出版助成金を提供したが、実際には本冊には十分な需要があり、また、被告会社は多数回の新聞広告を出す等して出版助成金を価格の削減以外の目的で費消したことから出版助成金がなくとも本冊の定価を１万２０００円として出版することができたとして、本件出版助成金提供契約が錯誤により無効であると主張しました（４９頁以下）。
しかし、裁判所は、本件出版助成金提供契約の締結当時の具体的な事実関係について、要素の錯誤があったということはできないとして、原告Ｘ１の主張を認めていません。
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１１ 原告Ｘ′の本冊に係る印税請求権の有無
原告Ｘ′と被告会社との間で本冊の出版に係る印税に関する具体的な合意があったと認めるに足りる的確な証拠はない、あるいは、印税請求権を放棄していたとして、原告Ｘ′が本冊に係る印税請求権を有するものとは認められないと判断されています（５３頁以下）。
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１２ 原告らの分冊�亀擇喨�冊�兇坊犬覦�税請求権の有無
本件出版契約の締結当時、分冊の出版が具体的に予定されていたことはなく、同契約において分冊の出版についての合意がなされたことはないと認められる以上、そこで分冊に係る印税及び監修料についての合意がなされたと認めることはできないとして、裁判所は原告らの分冊�亀擇喨�冊�兇坊犬覦�税請求権の主張を認めていません（５４頁以下）。
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■コメント
被告出版社としては、分冊�気砲弔い徳杏佞笋泙┐�きなどを読めば、底本が分かるので底本の著者名を省略しても氏名表示として適法であると反論しましたが、裁判所は認めていません。出版社は、分冊�気砲弔い堂晋里海Δ靴臣�作者表示を行ったのか（分冊�兇醗磴辰椴�習問題の回答が新たに付されているものの）真意が不明ですが、結果的には著作者（及びその遺族）への配慮を欠く結果となっています。
「基幹物理学」書籍出版事件
東京地裁平成25.3.1平成22(ワ)38003出版差止等請求事件PDF
東京地方裁判所民事第４０部
裁判長裁判官 東海林保
裁判官 寺田利彦
裁判官 足立拓人
＊裁判所サイト公表 ２０１３．３．８
＊キーワード：氏名表示権、二次的著作物、出版契約、債務不履行、錯誤無効
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■事案
物理学に関する書籍の氏名表示が問題となった事案
原告：亡物理学者親族ら
被告：出版社、研究者ら
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法１９条、１１５条、１１６条、１１２条
１ 分冊�気涼�作者名表示が適法か否か
２ 原告Ｘ４の氏名表示権の侵害の有無
３ 原告Ｘ′に対する不法行為の成否
４ 被告Ｙ３の不法行為責任の有無
５ 謝罪広告の要否
６ 被告会社の出版権原の消滅の有無
７ 出版等差止め等の可否
８ 出版権原不存在確認請求の可否
９ 原告らの損害額
１０ 本件出版助成金提供契約が錯誤により無効となるか否か
１１ 原告Ｘ′の本冊に係る印税請求権の有無
１２ 原告らの分冊�亀擇喨�冊�兇坊犬覦�税請求権の有無
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■事案の概要
『本件は，被告会社が出版する別紙書籍目録記載１の書籍（以下「本冊」という。）及びその分冊である同目録記載２及び３の各書籍（以下，順に「分冊�機弋擇咫嵎�冊�供廚箸いΑ�）に関して，
（１）亡Ｗの相続人である原告Ｘ１，原告Ｘ３及び原告Ｘ２（以下，この３名を併せて「原告Ｘ′」という。）並びに原告Ｘ４が，本件著作物（本冊の本文部分）が亡Ｗ及び原告Ｘ４の共同著作物又は亡Ｗの原稿を原著作物とする原告Ｘ４の二次的著作物であるにもかかわらず，被告らが著作者名を被告Ｙ３と表示して分冊�気鮟佝任靴燭海箸�，亡Ｗ及び原告Ｘ４の氏名表示権を侵害し，これを理由に本件著作物に係る出版契約を解除したなどと主張して，
１．原告らが被告会社に対して，原告らの著作権に基づき（分冊�気砲弔い討蓮ね夙�的に，原告Ｘ１による亡Ｗの死後における人格的利益保護措置請求権に基づく請求及び原告Ｘ４による氏名表示権に基づく請求として），本件各書籍の出版等の差止め（上記第１「請求」の１）並びに本件各書籍及びその印刷用原版の廃棄（同の２）を求めるとともに，被告会社の本件著作物に係る出版権原の不存在の確認（同の１３）を求め，
２．原告Ｘ１が亡Ｗの死後における人格的利益保護措置請求権に基づき，原告Ｘ４が氏名表示権に基づき，それぞれ被告らに対して，分冊�気涼�作者名表示に係る謝罪広告の掲載（上記第１「請求」の３）を求め，
３．原告らが被告らに対して，分冊�気涼�作者名表示に係る共同不法行為に基づく慰謝料及びこれらに関連する弁護士費用並びにこれに対する平成２２年１１月７日（訴状送達の日の翌日）から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の支払（上記第１「請求」の８ないし１１）を求め，
（２）原告らが被告会社に対し，本件各書籍の出版契約に基づく印税及びこれに対する平成２２年１１月７日（訴状送達の日の翌日）から支払済みまでの商事法定利率による遅延損害金の支払（上記第１「請求」の４ないし７）を求め，
（３）原告Ｘ１が被告会社に対し，被告会社との間で締結した出版助成金提供契約が錯誤により無効であると主張して，不当利得返還請求権に基づき，提供した出版助成金の返還及びこれに対する平成２０年７月１日（出版助成金の最後の提供日の翌日）から支払済みまでの民法所定の割合による遅延損害金の支払（上記第１「請求」の１２）を求める』事案（４頁以下）
＜経緯＞
Ｈ１７．０９ Ｗ死亡、Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３が相続
Ｈ１７．１２ 原告らと被告会社が出版契約締結
Ｈ１９ 原告Ｘ１と被告会社が出版助成金提供契約締結
Ｈ２０．０６ 「基幹物理学−こつこつと学ぶ人のためのテキスト−」刊行
Ｈ２２．０４ 分冊�鬼�行
Ｈ２２．０６ 分冊�挟�行
Ｈ２２．０６ 原告らが被告会社に出版契約解除通知書送付
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■判決内容
＜争点＞
１ 分冊�気涼�作者名表示が適法か否か
「基幹物理学−こつこつと学ぶ人のためのテキスト−」（本冊）を複製ないし翻案した分冊�気涼�作者名表示について、著者として被告Ｙ３が表示されていましたが、裁判所は、著作権法１９条１項に基づき亡Ｗ及び原告Ｘ４の氏名が表示されていた本冊と同様、本来、少なくとも亡Ｗの氏名がその著作者名として表示されなければならないと判断しています（３２頁以下）。
この点、被告らは、前付などの記載から１９条３項により原著作者である亡Ｗの名前を省略することができると反論していました。
しかし、裁判所は、前付は分冊�気良住罎鬚瓩�った書籍の内側に記載されているにすぎず、外側から観察しただけでは読み取ることができず、また、亡Ｗの名を著作者名として表示することが困難または不適切であったと解すべき事情は認められないとして、亡Ｗが「創作者であることを主張する利益を害するおそれがない」と認めることはできないと判断しています。
結論として、分冊�気涼�作者名表示は亡Ｗの氏名表示権の侵害となるべき不適法なものであったとしています。
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２ 原告Ｘ４の氏名表示権の侵害の有無
物理学者で亡Ｗの親族である原告Ｘ４も本件著作物について執筆しており、裁判所は、原告Ｘ４は少なくとも創作部分を新たに執筆しているとして、その部分については本件著作物を翻案することにより創作した二次的著作物と認められる。したがって、原告Ｘ４は、少なくとも本件著作物について二次的著作物の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当であると判断。
本件著作物のうちの分冊�気冒蠹�する部分について、原告Ｘ４が二次的著作物の著作者として著作権及び著作者人格権を有していたと認められるから、分冊�気涼�作者名として被告Ｙ３の氏名のみが表示され、亡Ｗ及び原告Ｘ４の氏名が表示されなかったことは、原告Ｘ４の氏名表示権を侵害するものであったということができると判断しています（３４頁以下）。
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３ 原告Ｘ′に対する不法行為の成否
裁判所は、亡Ｗの親族らである原告Ｘ′は、亡Ｗの作品である本件著作物について深い愛着を持ち、その著作者名の表示についても重大な関心を有しており、亡Ｗの氏名表示権の侵害となるべき分冊�気涼�作者名表示によって多大な精神的苦痛を被ったものと推認することができると判断。分冊�気涼�作者名表示は、原告Ｘ′の固有の利益を侵害するものとして、原告Ｘ′に対する不法行為を構成すると解するのが相当であるとしています（３７頁以下）。
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４ 被告Ｙ３の不法行為責任の有無
分冊�気涼�者として表示された大学非常勤講師である被告Ｙ３が、分冊�気涼�作者名表示について被告会社及び被告会社の代表取締役であり本件各書籍の編集者である被告Ｙ２とともに共同不法行為者として責任を負うとの原告らの主張は採用されていません（３８頁以下）。
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５ 謝罪広告の要否
原告らは、名誉回復等の措置として謝罪広告を求めましたが、必要性が認められていません（４１頁以下）。
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６ 被告会社の出版権原の消滅の有無
分冊�気砲弔い討六疚症充┯⊃�害を理由とする債務不履行解除に基づき、また、本冊及び分冊�兇砲弔い討録�頼関係の破壊を理由とする解除に基づき、被告会社が本件各書籍を出版する権原はいずれも消滅したものと判断されています（４２頁以下）。
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７ 出版等差止め等の可否
原告らの本件各書籍の出版差止めと当該書籍及び印刷用原版（フィルムを含む）の廃棄請求が認められています（４５頁以下）。
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８ 出版権原不存在確認請求の可否
原告らの解除に基づいて被告会社が本件各書籍の出版権原を失ったことが認められるとして、被告会社の出版権原がないことの確認を求める原告らの請求は理由があると判断されています（４７頁）。
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９ 原告らの損害額
分冊�気涼�作者名表示に基づく慰謝料として、原告Ｘ４につき１０万円、原告Ｘ１につき２０万円、原告Ｘ２、Ｘ３につき各１０万円。弁護士費用について、原告Ｘ４は４万円、原告Ｘ１は８万円、原告Ｘ２、Ｘ３は各４万円として損害額が認定されています（４７頁以下）。
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１０ 本件出版助成金提供契約が錯誤により無効となるか否か
原告Ｘ１は、被告Ｙ２の説明によって本冊は需要が見込まれず、４００万円を支援しなければ定価が１万８０００円程度になると信じて本件著作物の価格を下げて出版する目的のために出版助成金を提供したが、実際には本冊には十分な需要があり、また、被告会社は多数回の新聞広告を出す等して出版助成金を価格の削減以外の目的で費消したことから出版助成金がなくとも本冊の定価を１万２０００円として出版することができたとして、本件出版助成金提供契約が錯誤により無効であると主張しました（４９頁以下）。
しかし、裁判所は、本件出版助成金提供契約の締結当時の具体的な事実関係について、要素の錯誤があったということはできないとして、原告Ｘ１の主張を認めていません。
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１１ 原告Ｘ′の本冊に係る印税請求権の有無
原告Ｘ′と被告会社との間で本冊の出版に係る印税に関する具体的な合意があったと認めるに足りる的確な証拠はない、あるいは、印税請求権を放棄していたとして、原告Ｘ′が本冊に係る印税請求権を有するものとは認められないと判断されています（５３頁以下）。
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１２ 原告らの分冊�亀擇喨�冊�兇坊犬覦�税請求権の有無
本件出版契約の締結当時、分冊の出版が具体的に予定されていたことはなく、同契約において分冊の出版についての合意がなされたことはないと認められる以上、そこで分冊に係る印税及び監修料についての合意がなされたと認めることはできないとして、裁判所は原告らの分冊�亀擇喨�冊�兇坊犬覦�税請求権の主張を認めていません（５４頁以下）。
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■コメント
被告出版社としては、分冊�気砲弔い徳杏佞笋泙┐�きなどを読めば、底本が分かるので底本の著者名を省略しても氏名表示として適法であると反論しましたが、裁判所は認めていません。出版社は、分冊�気砲弔い堂晋里海Δ靴臣�作者表示を行ったのか（分冊�兇醗磴辰椴�習問題の回答が新たに付されているものの）真意が不明ですが、結果的には著作者（及びその遺族）への配慮を欠く結果となっています。
