最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
漢字能力検定対策問題集事件(控訴審)
大阪高裁平成24.12.26平成24(ネ)1019著作権確認等請求控訴事件PDF
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 遠藤曜子
裁判官 横路朋生
*裁判所サイト公表 2012.01.07
*キーワード:編集著作権、著作者の推定、法人著作、営業誹謗行為
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■事案
漢字能力検定対策問題集の編集著作権の帰属や営業誹謗行為性が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審被告) :教材制作会社、代表者
被控訴人(一審原告):漢字検定実施財団法人
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法15条1項、不正競争防止法2条1項14号
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
2 不正競争防止法に基づく請求
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■事案の概要
『被控訴人が,本件各書籍の編集著作権は被控訴人に帰属しており,控訴人らの(ア)控訴人オークの取締役が,本件各書籍の印刷会社に対し,本件各書籍の著作権が控訴人オークに帰属しており,被控訴人からの依頼を受けて本件各書籍の印刷を行った場合,著作権侵害に基づき刑事的手続をとると告知した行為,(イ)控訴人らが,被控訴人の理事らや印刷会社等に対し,本件各書籍の著作権が控訴人オークに帰属しており,本件各書籍を印刷する行為はその著作権を侵害すると告知した行為が,不正競争防止法2条1項14号の営業誹謗行為に当たると主張して,控訴人らに対し,(1)本件対策問題集の編集著作権が被控訴人にあることの確認と,(2)同法3条1項に基づき,本件各書籍の編集著作権が控訴人オークに帰属する旨及び本件各書籍を制作販売する被控訴人の行為が控訴人オークの著作権を侵害している旨の告知・流布行為の禁止を求めた事案である(なお,控訴人らは,原審の弁論準備手続期日において,被控訴人が本件書籍1ないし11の編集著作権を有する旨の確認を求める請求を認諾した。)。』
『原審が被控訴人の請求を,控訴人らに対し,(1)本件対策問題集の編集著作権が被控訴人にあることの確認と,(2)不正競争防止法3条1項に基づき,本件対策問題集の編集著作権が控訴人オークに帰属する旨及び本件対策問題集を制作・販売する被控訴人の行為が控訴人オークの著作権を侵害している旨の告知・流布行為の禁止を求める限度で認容し,その余の請求を棄却したところ,控訴人らが控訴した。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
漢字能力検定の対策問題集の編集著作権の帰属について、控訴審でも原審と同様、著作権法15条1項により被控訴人(一審原告)に帰属すると判断されています(3頁以下)。
問題集の制作、編集には被控訴人の従業員、控訴人教材制作会社、訴外外部編集プロダクションが係わっていましたが、被控訴人の従業員が本件対策問題集について素材の選択・配列について創作性のある作業を行なっており、控訴人教材制作会社、外部編集プロダクションに編集著作権が発生したと認めることはできないと控訴審も判断。
被控訴人の編集著作権の確認請求について理由があるとした原審の判断を是認しています。
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2 不正競争防止法に基づく請求
控訴人らによる営業誹謗行為(不正競争防止法2条1項14号)の成否について、本件対策問題集の編集著作権は被控訴人に帰属し、控訴人教材制作会社には帰属しないと認められるとして、控訴人らが第三者に対してその編集著作権が控訴人教材制作会社に帰属する旨及び同書籍を制作販売する被控訴人の行為が控訴人教材制作会社の著作権を侵害している旨を告知、流布することは、教材の制作・販売等において競争関係にあると認められる被控訴人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知、流布となると判断。
控訴審でも原審と同様、不正競争防止法3条1項に基づき本件対策問題集に関し上記告知・流布行為の禁止を求める被控訴人の請求には理由があると判断しています(10頁以下)。
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■コメント
漢字検定事件の控訴審となります。協会側が事件を受けて取引先との権利関係の明確化処理の一環として提訴した事案で、問題集の編集著作権の帰属について、被告教材制作会社側は創作性のある編集作業の関与の程度に関して反論を重ねましたが、協会側に職務著作が成立するとして控訴審でも原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
原審 2012年3月5日記事
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■関連判例
原審 大阪地裁平成24.2.16平成21(ワ)18463著作権確認等請求事件
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■追記(2013/01/23)
商標関係訴訟
大阪地裁平成25.1.17平成23(ワ)3460商標権侵害差止等請求事件
漢字能力検定対策問題集事件(控訴審)
大阪高裁平成24.12.26平成24(ネ)1019著作権確認等請求控訴事件PDF
大阪高等裁判所第8民事部
裁判長裁判官 小松一雄
裁判官 遠藤曜子
裁判官 横路朋生
*裁判所サイト公表 2012.01.07
*キーワード:編集著作権、著作者の推定、法人著作、営業誹謗行為
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■事案
漢字能力検定対策問題集の編集著作権の帰属や営業誹謗行為性が争点となった事案の控訴審
控訴人(一審被告) :教材制作会社、代表者
被控訴人(一審原告):漢字検定実施財団法人
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■結論
控訴棄却
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■争点
条文 著作権法15条1項、不正競争防止法2条1項14号
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
2 不正競争防止法に基づく請求
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■事案の概要
『被控訴人が,本件各書籍の編集著作権は被控訴人に帰属しており,控訴人らの(ア)控訴人オークの取締役が,本件各書籍の印刷会社に対し,本件各書籍の著作権が控訴人オークに帰属しており,被控訴人からの依頼を受けて本件各書籍の印刷を行った場合,著作権侵害に基づき刑事的手続をとると告知した行為,(イ)控訴人らが,被控訴人の理事らや印刷会社等に対し,本件各書籍の著作権が控訴人オークに帰属しており,本件各書籍を印刷する行為はその著作権を侵害すると告知した行為が,不正競争防止法2条1項14号の営業誹謗行為に当たると主張して,控訴人らに対し,(1)本件対策問題集の編集著作権が被控訴人にあることの確認と,(2)同法3条1項に基づき,本件各書籍の編集著作権が控訴人オークに帰属する旨及び本件各書籍を制作販売する被控訴人の行為が控訴人オークの著作権を侵害している旨の告知・流布行為の禁止を求めた事案である(なお,控訴人らは,原審の弁論準備手続期日において,被控訴人が本件書籍1ないし11の編集著作権を有する旨の確認を求める請求を認諾した。)。』
『原審が被控訴人の請求を,控訴人らに対し,(1)本件対策問題集の編集著作権が被控訴人にあることの確認と,(2)不正競争防止法3条1項に基づき,本件対策問題集の編集著作権が控訴人オークに帰属する旨及び本件対策問題集を制作・販売する被控訴人の行為が控訴人オークの著作権を侵害している旨の告知・流布行為の禁止を求める限度で認容し,その余の請求を棄却したところ,控訴人らが控訴した。』(2頁)
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■判決内容
<争点>
1 本件対策問題集の編集著作権の帰属
漢字能力検定の対策問題集の編集著作権の帰属について、控訴審でも原審と同様、著作権法15条1項により被控訴人(一審原告)に帰属すると判断されています(3頁以下)。
問題集の制作、編集には被控訴人の従業員、控訴人教材制作会社、訴外外部編集プロダクションが係わっていましたが、被控訴人の従業員が本件対策問題集について素材の選択・配列について創作性のある作業を行なっており、控訴人教材制作会社、外部編集プロダクションに編集著作権が発生したと認めることはできないと控訴審も判断。
被控訴人の編集著作権の確認請求について理由があるとした原審の判断を是認しています。
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2 不正競争防止法に基づく請求
控訴人らによる営業誹謗行為(不正競争防止法2条1項14号)の成否について、本件対策問題集の編集著作権は被控訴人に帰属し、控訴人教材制作会社には帰属しないと認められるとして、控訴人らが第三者に対してその編集著作権が控訴人教材制作会社に帰属する旨及び同書籍を制作販売する被控訴人の行為が控訴人教材制作会社の著作権を侵害している旨を告知、流布することは、教材の制作・販売等において競争関係にあると認められる被控訴人の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知、流布となると判断。
控訴審でも原審と同様、不正競争防止法3条1項に基づき本件対策問題集に関し上記告知・流布行為の禁止を求める被控訴人の請求には理由があると判断しています(10頁以下)。
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■コメント
漢字検定事件の控訴審となります。協会側が事件を受けて取引先との権利関係の明確化処理の一環として提訴した事案で、問題集の編集著作権の帰属について、被告教材制作会社側は創作性のある編集作業の関与の程度に関して反論を重ねましたが、協会側に職務著作が成立するとして控訴審でも原審の判断が維持されています。
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■過去のブログ記事
原審 2012年3月5日記事
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■関連判例
原審 大阪地裁平成24.2.16平成21(ワ)18463著作権確認等請求事件
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■追記(2013/01/23)
商標関係訴訟
大阪地裁平成25.1.17平成23(ワ)3460商標権侵害差止等請求事件