最高裁判所HP 知的財産裁判例集より
サンキッズシステム事件
東京地裁平成23.9.16平成22(ワ)28148著作権損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本 岳
裁判官 坂本康博
裁判官 寺田利彦
*裁判所サイト公表 2011.9.30
*キーワード:ソフトウェアライセンス契約、和解契約、損害額、複製権、譲渡権
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■事案
学校教育支援ソフトウェアの無許諾販売に関する損害額の算定が争われた事案
原告:ソフトウェア開発販売会社
被告:ソフトウェア販売会社
--------------------
■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法114条1項、21条、26条の2
1 本件インストール2ないし4に対する原告の許諾の有無
2 本件和解契約に基づく許諾料の額
3 原告の損害額
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■事案の概要
『本件は,後記2(2)のソフトウェア(コンピュータ・プログラム)に係る著作権ないし日本国内における著作権の独占的利用権を有する原告が,被告が当該ソフトウェアを販売し,販売先である教育機関に設置されたコンピュータにインストールした行為は,原告被告間の和解契約上の許諾料の支払条項に該当する,原告の著作権(複製権,譲渡権)を侵害する不法行為に該当すると主張して,被告に対し,和解契約に基づく許諾料の支払請求権に基づく許諾料616万7000円及びこれに対する和解契約日の翌日である平成20年12月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金並びに不法行為による損害賠償請求権に基づく損害賠償金2304万8916円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成22年8月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案』(2頁)
<経緯>
H16.12 原告が台湾法人から本件ソフトウェア1に係る著作権の
国内独占的利用許諾を受ける
被告は原告から本件ソフトウェアの複製品の供給を受け販売
H19.2 原被告間の取引中止
H20.10 被告による違法複製販売事実が発覚。
H20.12 原被告間で和解契約(本件和解契約)締結
H21.5 原告が被告に対して許諾料支払請求訴訟提起
(千葉地裁木更津支部平成21(ワ)131)
H22.1 訴訟上の和解成立(本件訴訟上の和解)
H22.4 原告が別件違法複製に関して証拠保全の申し立て
(仙台地裁古川支部平成22(モ)11)
H22.5 証拠保全決定に基づき被告本店所在地にて検証実施
本件和解契約及び本件訴訟上の和解の対象以外のインストール数
本件ソフトウェア1:「Neo Reborn」881本
本件ソフトウェア2:「Netウィッチ」584本
本件ソフトウェア3:「アップデート・コントロール」588本
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■判決内容
<争点>
1 本件インストール2ないし4に対する原告の許諾の有無
平成19年から20年にかけて行われた被告による本件ソフトウェアのインストール行為について、被告は原告との間で許諾を受けていたと反論しましたが、客観的な証拠が何ら提出されていないとして裁判所は容れていません(15頁以下)。
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2 本件和解契約に基づく許諾料の額
本件和解契約の概要は以下の通りで(3頁)、本件ソフトウェア1の新たに発覚した881件の無許諾のインストール行為に関して被告が本件和解契約に基づき原告に対して支払義務を負う許諾料額は、
7000円(1件当たり)×881本=616万7000円
と認定されています(17頁以下)。
【和解契約概要】
ア 被告は,原告に対し,原告の事前の許諾を得ることなく,本件ソフトウェア1を,岩手県一関市立の小学校に設置された354台のコンピュータにインストールしたことを認め,これを謝罪する。
イ 被告は,原告に対し,和解金(許諾料)として,インストール1件につき7000円の割合による金員の支払義務があることを認める。
ウ 被告は,原告に対し,上記アの354件のインストールにかかる和解金(許諾料)として247万8000円の支払義務があることを認め,これを平成21年1月31日限り原告に支払う。
エ 本件和解契約後,和解書添付の一覧表記載以外のインストール先の存在が判明した場合,被告は,原告に対して,上記イと同様の基準により許諾料を支払うものとする(遅延損害金は本件和解契約日の翌日から起算する)。
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3 原告の損害額
原告が著作権を有する本件ソフトウェア2及び3の被告による違法な譲渡、複製による損害について、原告は著作権法114条1項(譲渡等数量による損害額の請求規定)に基づく算定を主張しました(18頁以下)。
この点について、裁判所は、本件ソフトウェア2及び3の販売価格は一定しておらず、購入者との関係、販売数量等に応じて決定され個別の取引毎に異なっているとして、本件においては、その平均販売価格に基づき単位数量当たりの利益の額により算定しています。
本件ソフトウェア2:584本 平均販売価格(省略)、変動費用53円、単位数量利益(省略)
本件ソフトウェア3:588本 平均販売価格(省略)、変動費用53円、単位数量利益(省略)
これらと弁護士費用相当額100万円とあわせて、783万7684円が損害額として認定されています。
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■コメント
小中学校などでパソコン教育のために使用される教師用や生徒用のPCにインストールされる環境復元ソフトウェア(「Neo Reborn」)や集中管理ソフト(「Netウィッチ」)、アップデートソフト(「アップデート・コントロール」)が販売代理店で無断複製、譲渡がされた際の損害額の算定(著作権法114条1項)が争点となった事案です。
原告と被告販売代理店との間では過去に継続的な取引関係がありましたが、被告の売買代金支払遅延を原因とする信頼関係悪化から取引が中止されていたという背景事情があります。
サンキッズシステム事件
東京地裁平成23.9.16平成22(ワ)28148著作権損害賠償請求事件PDF
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 岡本 岳
裁判官 坂本康博
裁判官 寺田利彦
*裁判所サイト公表 2011.9.30
*キーワード:ソフトウェアライセンス契約、和解契約、損害額、複製権、譲渡権
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■事案
学校教育支援ソフトウェアの無許諾販売に関する損害額の算定が争われた事案
原告:ソフトウェア開発販売会社
被告:ソフトウェア販売会社
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■結論
請求一部認容
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■争点
条文 著作権法114条1項、21条、26条の2
1 本件インストール2ないし4に対する原告の許諾の有無
2 本件和解契約に基づく許諾料の額
3 原告の損害額
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■事案の概要
『本件は,後記2(2)のソフトウェア(コンピュータ・プログラム)に係る著作権ないし日本国内における著作権の独占的利用権を有する原告が,被告が当該ソフトウェアを販売し,販売先である教育機関に設置されたコンピュータにインストールした行為は,原告被告間の和解契約上の許諾料の支払条項に該当する,原告の著作権(複製権,譲渡権)を侵害する不法行為に該当すると主張して,被告に対し,和解契約に基づく許諾料の支払請求権に基づく許諾料616万7000円及びこれに対する和解契約日の翌日である平成20年12月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金並びに不法行為による損害賠償請求権に基づく損害賠償金2304万8916円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成22年8月7日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案』(2頁)
<経緯>
H16.12 原告が台湾法人から本件ソフトウェア1に係る著作権の
国内独占的利用許諾を受ける
被告は原告から本件ソフトウェアの複製品の供給を受け販売
H19.2 原被告間の取引中止
H20.10 被告による違法複製販売事実が発覚。
H20.12 原被告間で和解契約(本件和解契約)締結
H21.5 原告が被告に対して許諾料支払請求訴訟提起
(千葉地裁木更津支部平成21(ワ)131)
H22.1 訴訟上の和解成立(本件訴訟上の和解)
H22.4 原告が別件違法複製に関して証拠保全の申し立て
(仙台地裁古川支部平成22(モ)11)
H22.5 証拠保全決定に基づき被告本店所在地にて検証実施
本件和解契約及び本件訴訟上の和解の対象以外のインストール数
本件ソフトウェア1:「Neo Reborn」881本
本件ソフトウェア2:「Netウィッチ」584本
本件ソフトウェア3:「アップデート・コントロール」588本
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■判決内容
<争点>
1 本件インストール2ないし4に対する原告の許諾の有無
平成19年から20年にかけて行われた被告による本件ソフトウェアのインストール行為について、被告は原告との間で許諾を受けていたと反論しましたが、客観的な証拠が何ら提出されていないとして裁判所は容れていません(15頁以下)。
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2 本件和解契約に基づく許諾料の額
本件和解契約の概要は以下の通りで(3頁)、本件ソフトウェア1の新たに発覚した881件の無許諾のインストール行為に関して被告が本件和解契約に基づき原告に対して支払義務を負う許諾料額は、
7000円(1件当たり)×881本=616万7000円
と認定されています(17頁以下)。
【和解契約概要】
ア 被告は,原告に対し,原告の事前の許諾を得ることなく,本件ソフトウェア1を,岩手県一関市立の小学校に設置された354台のコンピュータにインストールしたことを認め,これを謝罪する。
イ 被告は,原告に対し,和解金(許諾料)として,インストール1件につき7000円の割合による金員の支払義務があることを認める。
ウ 被告は,原告に対し,上記アの354件のインストールにかかる和解金(許諾料)として247万8000円の支払義務があることを認め,これを平成21年1月31日限り原告に支払う。
エ 本件和解契約後,和解書添付の一覧表記載以外のインストール先の存在が判明した場合,被告は,原告に対して,上記イと同様の基準により許諾料を支払うものとする(遅延損害金は本件和解契約日の翌日から起算する)。
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3 原告の損害額
原告が著作権を有する本件ソフトウェア2及び3の被告による違法な譲渡、複製による損害について、原告は著作権法114条1項(譲渡等数量による損害額の請求規定)に基づく算定を主張しました(18頁以下)。
この点について、裁判所は、本件ソフトウェア2及び3の販売価格は一定しておらず、購入者との関係、販売数量等に応じて決定され個別の取引毎に異なっているとして、本件においては、その平均販売価格に基づき単位数量当たりの利益の額により算定しています。
本件ソフトウェア2:584本 平均販売価格(省略)、変動費用53円、単位数量利益(省略)
本件ソフトウェア3:588本 平均販売価格(省略)、変動費用53円、単位数量利益(省略)
これらと弁護士費用相当額100万円とあわせて、783万7684円が損害額として認定されています。
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■コメント
小中学校などでパソコン教育のために使用される教師用や生徒用のPCにインストールされる環境復元ソフトウェア(「Neo Reborn」)や集中管理ソフト(「Netウィッチ」)、アップデートソフト(「アップデート・コントロール」)が販売代理店で無断複製、譲渡がされた際の損害額の算定(著作権法114条1項)が争点となった事案です。
原告と被告販売代理店との間では過去に継続的な取引関係がありましたが、被告の売買代金支払遅延を原因とする信頼関係悪化から取引が中止されていたという背景事情があります。