最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

プログラム利用許諾契約違反事件

大阪地裁平成23.8.25平成23(ワ)6526プログラム著作権使用料等請求事件PDF

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 山田陽三
裁判官      達野ゆき
裁判官      西田昌吾

*裁判所サイト公表 2011.8.31
*キーワード:サーバレンタルサービス契約、プログラム利用許諾契約

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■事案

サーバレンタルサービスに付帯して許諾されたプログラムの利用に関して、契約解除後も利用されたとして著作権侵害性が争点となった事案

原告:レンタルサーバ会社
被告:ホームページ制作会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法23条、26条の2、112条1項

1 本件プログラムに係る著作権侵害のおそれの有無
2 損害額等

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■事案の概要

『原告は,被告に対し,本件プログラムの著作権を侵害されたとして,著作権法112条1項に基づき,本件プログラムの複製物の譲渡及び公衆送信の差止めを求めるとともに,不法行為に基づき,70万円の損害賠償及びこれに対する最初の不法行為の後である平成22年5月28日から支払済みまで本件契約所定の年14.5%の割合による遅延損害金の支払を求めている』事案(3頁)

<経緯>

H18.5 原被告間で専用サーバレンタルサービス契約締結
H22.5 解除により契約終了
       被告による本件プログラムの無断利用に対し利用中止等通告
H23.3 被告による再度の無断利用に対して利用中止等通告

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■判決内容

<争点>

1 本件プログラムに係る著作権侵害のおそれの有無

別紙原告ソフト・プログラムコード一覧記載のプログラム(本件プログラム)の利用契約解除後の再利用について、被告は無断利用の警告を受けて利用を中止したものの、再度、無断で利用した事実経緯から、裁判所は、被告が本件プログラムの無断利用を再開し、原告の著作権を侵害するおそれは十分にあると認め、本件プログラムの複製物の譲渡及び公衆送信の差止(著作権法112条1項)を肯定しています(5頁)。

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2 損害額等

裁判所は、本件プログラムの月額利用料や他の同機能のプログラムの提供価格、また、被告による本件プログラムの利用態様や利用期間など一切の事情を考慮した上で平成22年5月28日頃と平成23年3月28日頃のそれぞれの無断利用について、各5万円の限度で損害が発生したと認定しています(5頁)。

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■コメント

被告は契約終了後の本件プログラムの無断利用の事実自体は争っておらず、差止の必要性と損害論が争点となっています。
レンタルサーバ契約に付帯してプログラムの利用許諾がされていますが、どのようなプログラムだったのか、判決文からは分かりません。原告会社のサイトを拝見すると、ECショップ運営に関するソフトの提供なども行っているようですので、あるいはそうした種類のものだったかもしれません。